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『夫を味方にする方法』を勝手にレビュー、こんなに生きにくい設定どうしよう!?
Webtoon作品『夫を味方にする方法』――こちらの転生モノはどんな展開なのかな?と気になり手に取った本作。よくあるストーリーかと思いきや!切ない!泣ける!他の作品とは一線を画すこの物語を勝手にレビューします。ネタバレを避けたい方はご注意くださいませ。
夫を味方にする方法|無料漫画(まんが)ならピッコマ|SIRU Spice&Kitty
細い糸をたぐり寄せるように生きる道を探す主人公
主人公のルードベキアは転生前(前世)、血の繋がりのない家族に虐げられて育ちました。自分を命を守るために本音を隠して生きなきゃいけない。誰かの機嫌に左右され、ビクビクしている人生。オール他人軸で辛さ100%確定ですよね……
そんな彼女が苛烈な前世の人生を終えた直後、転生したのは読んでいた小説だったのですが、悪女で夫に命を奪われる妻の役でした。無念。
転生したのなら Happy お姫様がいいに決まってる!
と、ルビも悲観していました。物語としておもしろ要素に欠けるので、無理だとは重々分かっていますが、ちょっと幸せにしてあげてほしいw
本作の時代設定は宗教が世界を牛耳っており、ルードベキアは教皇(最高位の聖職者)の娘です。大事に大事に育てられていると思われていますが、実際は、父親はルビを自分の駒のように扱い、兄はサイコパス。主人公は転生後も、誰かの顔色をうかがって生きなきゃいけない絶望感にみまわれます。
声を大にして言いたい。
こどもに手をあげるのやめて?
男の人に力任せになぐられたら、こどもや女性は壊れるから!!と苛立ちが収まりませんよね。
ルビを傷つけてのうのうと生きている人間が教皇。
過去も現在も権力者ってやつは……
ルビが避けたい未来
本作でルビが入り込んだとされる小説で、ルビは夫イースケと結婚後ルビの兄の差し金によって、妹に毒を盛ってしまうのです。
ルビも生きるのに必死で兄に従ったが、結局は破滅。
その結末を避けたいルビは「私は無害です!」と嫁ぎ先の国でアピールして過ごすことを決めるんです。
ここまでルビを追い込む兄のチェシアレはほんと狂ってる。
いろいろ読んだけど、抜群に性格が狂ってる(笑)
彼にも理由があるみたいですけどね、それにしても限度というものがある!
だって、ごはんを食べているときに嫁に行くような年齢の妹を膝に乗せてるんですよ!!
こわ!
そもそも、愛している家族なら大事にすればいいじゃないですか。
なのにルビがちょっとでも反抗すると、鞭を持ち出す。
あれはどれだけ痛いのでしょうね……
殴ってどんどん追い詰めて閉じ込めて逆らう気をなくさせて……そうやって恐怖で支配していくんだなぁと。
私も医療従事者の端くれですから、死への恐怖がどれほど人を混乱させるか知っています。
生き物にとって死は最大の恐怖です。
そんな恐怖を味わえば、もう逆らえない。逆らう気が起きようはずがない。
でもルビのいいところはそんなえげつない兄に対し、こころの中で「このサイコ野郎!!」って言ってのけるところ(笑)
小動物みたいな見た目なのに、自分を救うようなユーモアに惹かれますね。
とはいえ、精神的に追い詰めたらどこかで不具合が出るもの。
ルビは拒食症を患います。
日本も明治時代まで精神疾患患者は閉じ込めておくのが一般的でしたから、おそらくルビたちの時代も、決して表立ってはならない事柄だったんでしょうね。
こころが辛くなって発症したというのに、さらに異端あつかい。
臭い物に蓋をする精神は本当によくない。
ここが私の感動ポイント!
本作で一番こころを動かされたのは、ルビやイースケの主要な登場人物だけでなく、脇を固める役も丁寧に感情が描かれているところ。
「この人だったらこう思っても仕方ないよね」
と、スッと自然にストーリーが入ってきて無理がないのです。
「この考え方はさすがに卑屈すぎない?」と疑問に思うことなく、キャラ同士のリアクションで物語が動いている感じがとても心地よい。
それは入り込んだ小説のヒロインの心情にいえます。
イースケの嫁の座を狙う幼馴染の女子。
小説内ではヒロインだったはずなのに、性格がしつこい(笑)
イースケに隠れてコソコソとルビに濡れ衣をかぶせるんですよ!
「教皇の愛娘なんだから、戻っても平気でしょ!さっさと出ていけ!」
とばかりに。
でも実際にはルビは故郷に帰れない。
帰ったら苦渋の日々が待っているから。
だから、必死に嫁ぎ先で生きている。
でも邪魔される。孤立させられる。
やっとこころを許せる相手ができたと思った瞬間、打ちのめされる。
あぁ……かわいそう(涙)
でもね、顔も性格も怖い夫イースケがね、ルビを支えるんですよ!
イースケは自分をきちんと見てくれるルビに次第に惹かれるけれど、不器用過ぎて!本当に不器用で!ルビを傷つけてしまったことがある。
だけど、ちゃんと「俺が悪かった」とこころから謝罪をし、「お前を苦しめるやつは容赦しない」って。
あぁかっこいい
「ただ、生きたいだけ」
そんな生き物として当然の願いなのにそれすら邪魔され絶望するルビ。
イースケのことも勇気をだして信じたい、でも自分に価値がないと家族に思い込まされているルビは、「自分のことなんて信じてもらえるはずがない」
と大事なところで一歩を踏み出せない。
その葛藤を乗り越え、イースケと分かり合えたよろこび、心からの安堵が画面からジワジワ伝わってきて
ほんと泣けた
どんなに人に貶められたって、誰かの近くに居場所がほしいですよね。
他人から見たらどんなに無様に見えても、『この人の隣が私の居場所だ』と思える場所がほしいと切実に願っている。
そして、ようやく互いが互いにとって大切な居場所だと思いあえたんです!
よかったねぇぇぇ!
と私は思ったけれど、ルビは「この奇跡のような記憶があれば、これからどんな悲劇が待ち受けていても構わない」と思うのです。
「これかもイースケと一緒にいられますように」
と、淡く願うのではなくて。
運命が2人を分かつときがくるかもしれない、その苦しみをも受け入れようとするルビのイースケへの想いの強さにウルウルしっぱなしでした。
表現力すごすぎ
ルビが「信じてほしい」と切実に流す涙と「もうダメかもしれない」というドン底から救い出されたときに流した安堵の涙の違いが明確に分かるってすご!って思ったんです。
セリフを読んでいるからそう見えるのかもしれませんが、泣き顔一つで多様な感情を表す表現力に脱帽。
ある場面で、ルビの壊れそうな華奢な肩をそっと包むイースケの手のアップが挿入される箇所があるんです。
そのワンシーンだけで、ものすごくイースケの後悔の思いとやさしさが伝わってきたんですよね。
私は絵はまったく書けませんから、なんとも言えないですけれど構図や手などの動きで感情を表現しているのが天才か!って思いました。
目立つところでなくても、ちょっとした絵で登場人物の感情を表現する。私も文章で表現できたらいいなぁと憧れてしまいます。
総評:とりあえず読んでほしい。
今ね~佳境なんですよ。
イースケはルビのために、ルビはイースケのために闘おうとしている。
ルビをあまりよく思っていなかった人達も、ルビ本人と関わることで考えがかわっていく。
2人が守れるものが守れますようにと願い、私は課金して読んでいくでしょう(笑)
ルビの秘められた力が気になりますし。
過酷な運命に気丈に立ち向かうルビがとにかく好き、というレビューでした。
あなたの貴重な時間を使って読んでいただいてありがとうございます!
ではまた!
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