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AIで架空の世界を創る手順と目的

この記事は「LLM・LLM活用 Advent Calendar 2024」シリーズ2の参加記事です。


この記事はCC0ライセンスで利用できます。許諾も対価もなしで、転載も加工も学習も自由に行えます。末尾に有料部分を設定していますが、中身は空っぽで、全て無料で読めます。


はじめに

先日第3回AIアートグランプリにて、『Qveria - 空想世界事典』という作品で佳作をいただきました。

Qveria - 空想世界事典

この作品はテキストと画像を生成するAIを使って架空の世界を構築し、その世界についての事典を生成したものです。似た試みはあまりないようで関心持っていただけました。

この記事では同じような遊びをもう少し簡単な題材で、しかし自分の世界を広げて辿れるよう詳しく解説します。

作業の大半は無料で使えるサービスを使い、誰でも気軽に試せるようにしています。ぜひ世界作りと、そこからAIが創作してくれる楽しさを体験してみてください。

「世界」を作るとは

今回解説する手法の本体は「分厚い世界を作る」というものです。世界という言葉がややこしいのですが、単純に言えば、創作の背景となる設定を細かく膨大に作りましょう、というだけのものです。

そうした手法を試す理由は「なぜ世界を作るのか」以降にまとめましたが、手法として重要なのは次の点です。

  • 作りたいものそのものではなく、それ表現し得るに十分な「世界」をAIに提示する

  • 提示する世界自体もAIを使って膨らませていく

  • 作った世界を元にAIに創作させる

並べてみると単純で、結局は「作りたいものが出てきてくれる情報をAIに与えましょう」というだけのものです。

AIが創作の土台とする膨大な設定を世界と読んでいるだけで、何か特殊なことをしているわけではありません。私の事典では最終的に約20万字のテキストを用意しましたが、もっと少なくても試してみるには十分です。

そうした膨大な設定を象徴するために「世界」と呼んではいますが、この手法はファンタジーな異世界だけでなく、SFやホラー、歴史のある瞬間、もっと身近な日常など、創作的なものは対象を選ばず扱えます。また文章だけでなく、画像や動画、音声や3Dやゲームなど、表現の様式は問わず使える手法だと考えています。

重要なのはたっぷり分厚く創作の土台を作り込むことで、最終的な表現を生成するAIに、どれだけその出力の輪郭を与えられるかにあります。その組み立て方や内容は選びません。

解説では分かりやすいファンタジーを対象にしていますが、その手順も対象も自由に置き換えられます。AIを用いた創作手法のひとつとして世界の構築を体験してみて、自由に応用いただけたら幸いです。

使用するAIの技術

創作的な表現の生成に使えるAIは色々ありますが、今回用いるのは「LLM」と呼ばれるものです。また「RAG」という技術も活用します。

LLMはChatGPTやClaudeなどが有名な、テキストを生成するAIの一種です。膨大な学習データを元に、与えられたテキストに基づいて、続きや関連する内容を生成します。これをチャット用に調整したサービスが広く知られており、今回もチャットを備えたサービスを利用します。

RAGは、AIが学習済みの知識に加えて、外部の情報を利用できる仕組みです。与えられたテキストの続きを生成する際、データベースや検索システムから関連する情報を探し出し、その内容を利用します。

世界を作る作業は、大量の設定をAIに認識させながら、指示を与えて生成しさらに積み上げていく、というものです。そのため指示に応えるLLMを使ったチャットと、蓄積していく設定を渡すためのRAGが必要です。

この両者に対応したサービスは幾つかありますが、今回は無料で使えるGoogleのNotebookLMを使います。Claudeなど同様のサービスが利用できる方は、そのまま読み替えても問題ありません。私の事典もNotebookLMとClaude Projectsの両方を使って作成しました。

NotebookLMの使い方

NotebookLMに慣れている方は、この部は丸ごと読み飛ばしても問題ありません。

Google NotebookLM

この解説ではLLMとRAGが無料で使えるサービスとしてGoogleが提供する「NotebookLM」を用います。将来有料化される可能性はありますが、現時点ではGoogleアカウントがあれば無料で使えます。

NotebookLMは情報の整理やメモの作成など、ビジネスや学術などに向いたサービスですが、創作にも使えます。世界作りという作業に絞って、このツールの重要な機能をご紹介します。

NotebookLMにアクセスする

Googleアカウントにログインした状態で下記のリンクを開いてください。なお、作業はテキストのコピーペーストや編集が中心のためパソコンの方が快適です。

以下のような画面が表示されれば準備完了です。

NotebookLMのホーム画面

NotebookLMの開始画面が表示されたら、「新規作成」ボタンから新しいノートブックを作成しましょう。

ノートブックとはNotebookLMが情報を整理する一番大きな単位で、今回の解説ではひとつの世界ごとにひとつのノートブックを作成します。

チャットにはソースが必要

ノートブックを作成すると、いきなり「ソースを追加」という画面が表示されます。

ソース追加のダイアログ

NotebookLMは与えた情報の整理や理解を目的としたサービスであり、その与えた情報を「ソース」と呼んでいます。ソースありきのため、何かひとつでもソースが登録されていなければチャット機能が使えません。

他のAIによるチャットサービスと違い、NotebookLMのチャットは、できるだけソースに登録されている情報を元に応答しようとします。ソースがなければチャット自体できませんし、ソースに無い情報はチャットでも「ソースにないため答えられません」と返される場合があります。

たとえば「NotebookLMの使い方」という一文だけをソースに登録して「江戸時代の代表的な人物は?」と質問した場合、次のようにそっけなく返されます。

申し訳ありませんが、ソースやこれまでの会話の中に江戸時代の人物に関する情報は含まれていません。ご質問に答えるためには、江戸時代に関する別の資料を参照する必要があります。

このようにNotebookLMはソースの登録を前提としており、それをチャットによって理解したり分析したりします。そのため創作目的で使うには少し工夫が必要です。

ソースの追加と削除

NotebookLM自体はPDFやウェブサイトや音声、さらにはYouTubeの動画まで幅広い情報をソースとして扱えますが、この解説ではテキストのみを使うため、全て「テキストを貼り付ける」を使ってソースを追加します。

具体的なテキストは後に掲載していますが、まずは何でも構わないので「テキストを貼り付ける」から自由に登録してみてください。"コピーしたテキストを貼り付ける"とありますが、直接入力しても問題ありません。

ソースへのテキスト入力ダイアログ

挿入ボタンを押してソースをノートブックに追加すると、その内容が反映されます。現在登録されているソースの概要が表示され、チャットにはソースに関する質問が提案されます。

ソース登録後のチャット機能

試しにチャットから質問してみましょう。ソースに入力が少ない場合、おそらく色々質問しても「ソースにありません」と返されるでしょう。

つれない応答

テストで登録したソースは削除しておきましょう。一覧から削除したいソースを探し、端にあるメニューから削除できます。

ソースの削除メニュー

なおソースを追加した際には必ず、「ソース名を変更」から分かりやすい名前に変更しましょう。そのままでは"テキストを貼り付けました"という酷い名前になってしまい識別できずとても困ります。

チャットの保存にはメモ機能を使う

NotebookLMの重要な仕様として「チャットの履歴が保存されない」という特徴があります。

サービスの目的がソースの理解や分析、そしてそれを元にした文章の作成であるためか、チャットはそうした作業の合間に繰り返される一時的なものという扱いです。ページを再読み込みしたり別の端末に移ったりすると、それまでの対話は消えてしまいます。

他のチャットサービスを使い慣れていると、いつでも履歴にアクセスできる感覚でチャットを流してしまいますが、NotebookLMでは同じ会話を再度開くことができません。

チャットの結果を残しておきたい場合、「メモ」という機能を使用します。チャットの各応答にある「メモに保存」というボタンを押せば、その応答がメモとして保存されます。

「メモに保存」ボタンが付いたチャットの応答

作成したメモは画面右側の「Studio」というブロックの一部として表示され、クリックすれば内容を確認できます。ただしチャットの応答を保存したメモは表示専用で、後から編集することができません。

チャットの応答は時間経過によるログアウトなどで消える可能性があるため、残しておきたいものがあれば忘れないようにメモ化しましょう。

メモ機能

なお、メモはその名の通りメモしておきたい内容を残せる機能であり、ユーザーが自分で「メモを追加」ボタンから入力することも可能です。こちらは何度でも編集できます。

世界作りを進める上で、構想をまとめたりアイデアを並べておいたり、テキストを残したい状況は色々ありますが、他のツールを使わずメモしておけば、作業がNotebookLM上で完結できて便利です。

メモはAIから見えない

メモに保存した内容は、AIがチャット時に参照する対象に含まれません。AIが参照するのはあくまでソースです。

ただしメモをソース化するのは簡単です。一覧から対象のメモを選択し、「選択したメモをソースに変換」を実行するだけで、その内容がソースとして登録されます。

メモの詳細とソースへの変換ボタン

この機能も今回の解説では繰り返し使います。チャットで残しておきたい応答があればメモに保存して残しておき、それらを選別しながら、今度は手入力のメモ上に集めて編集。そしてソースに変換してチャットに反映。こうした流れを繰り返すことで世界を膨らませていきます。

ファンタジー世界を作ろう

さあ、世界作りを始めましょう。ただしファンタジーといっても多様で、どんな世界を目指すのか、大まかな方針が必要です。

独立した異世界を舞台とするファンタジーは、ル=グウィンの『ゲド戦記』やトールキンの『指輪物語』など、素晴らしい作品が多数あります。ハイファンタジーとも分類されるそうした作品は、現実とは異なる法則を持つ世界の魅力にあふれています。

私の事典もそうしたハイファンタジーの一種と言えますが、短い解説で扱うにはやや複雑過ぎます。世界そのものの基本構造から始めて、独自の言語体系を用意したり、超常的な力の原理を設けたりと、分かりにくい段階が多数必要です。

そこで解説用にはゲームや漫画で広く扱われるような、いわゆる"剣と魔法の世界"をテーマにします。豊富な共通観念で多くの人が想像しやすく、設定の不足もAI側に蓄積された情報でいい具合にカバーしてもらえるでしょう。

最初のソース

以降は先ほど用意したNotebookLMの画面を使って進めます。

最初の作業は、NotebookLMに基点となるソースを与えることです。前述の通りNotebookLMはソースがなければチャットが使えませんが、創作が目的の場合、分析や解説作業のような事前に与える情報がありません。

そこで代わりに、世界を作る方針や大まかな指示を書いた次のテキストを、最初のソースとして与えます。

このプロジェクトの目的:
オーソドックスな剣と魔法のファンタジーを元に、
個性的なオリジナルの世界を作る。

たったこれだけですが、ここからでも十分世界を作り始められます。もし自分の希望があれば、続けてどんどん書き込んでも問題ありません。

質問に「ソースにありません」と応答してくるNotebookLMのチャットですが、このようなソースを登録しておけば、創作的な質問にも十分応えてくれます。

では、このテキストをNotebookLMに登録しましょう。NotebookLMの画面左側の「ソース」から追加ボタンを押して「テキストを貼り付ける」を選択し、上のテンプレートやそれを編集したものを貼り付けてください。

登録後はソース名を「プロジェクトの目的」など、自分が分かりやすいものに変えておくといいでしょう。

登録が終わると、無効になっていたチャット機能が使えるようになります。

最初のチャット

早速最初の指示を出しましょう。チャット欄に以下を入力し送信します。

オリジナル世界の案を、3つ提案して。

またも単純な指示ですが、これで十分です。提案の個数は自由に変えられますし、ここでも自由に希望を追加しても構いません。

個数の指定は応答のバリエーションを確保するためのものです。単に「提案して」とすると、ひとつの案が返される場合があり、アイデアの検討段階では効率が悪いためこのようにしています。複数同時に返させるため、提案内容には一定の多様さが確保されます。

さて上記の指示に対し、私の環境では次の答えが返ってきました。

ソースによると、このプロジェクトの目的は、オーソドックスな剣と魔法のファンタジーをベースに、個性的なオリジナルの世界を作ることです。 以下に、オリジナル世界のアイデアを3つ提案します。

魔法が禁忌視される世界: 剣と魔法の世界では、魔法は一般的に広く受け入れられています。しかし、もし魔法が何らかの理由で禁忌視され、人々が魔法を使うことを恐れている世界だったらどうでしょうか? 魔法使いは迫害され、隠れ住んで魔法を使わなければならず、魔法を使う者は社会から追放されるかもしれません。このような世界では、主人公は魔法使いとして、魔法に対する偏見と戦いながら、自分たちの存在意義を模索していくストーリーが展開できます。

剣が魔法を生み出す世界: 多くのファンタジー世界では、魔法は生まれつき備わっている能力、あるいは特別な訓練によって得られるものです。しかし、もし剣が魔法の源であり、特別な剣を持つ者だけが魔法を使える世界だったらどうでしょうか? 剣の種類によって使える魔法が異なり、剣を失った魔法使いは力を失ってしまうかもしれません。この世界では、剣と魔法使いの関係、そして剣をめぐる争いが物語の中心となります。

動物と心を通わせる魔法が存在する世界: 剣と魔法の世界に、動物と心を通わせることができる魔法が存在するとしたらどうでしょうか? この魔法は、動物との共存を重視する社会を生み出すかもしれません。しかし、悪意を持った者がこの魔法を使って動物を操り、戦争や犯罪に利用する可能性も考えられます。主人公は、動物と心を通わせる魔法使いとして、動物たちを守り、世界を脅かす悪と戦う冒険を繰り広げることができます。

これらのアイデアは、オーソドックスな剣と魔法のファンタジーをベースにしつつ、独自の要素を加えることで、個性的なオリジナル世界を構築するのに役立つでしょう。

チャットでのLLMの応答はある程度ランダム性が与えられているため、同じ質問でも全く同じにはなりにくく、ある程度異なる答えが提示されている筈です。

あなたへの応答はいかがでしょう。もしかするとひどく的外れに感じるものだったかもしれません。

ひとつの応答に価値を見出さない

残念ながらこうしたAIとのチャットで返される答えのひとつひとつは、大した価値を持ちません。少なくとも今のテキストを生成するAIは、与えられた文字列の妥当そうな続きを算出しているだけで、しかもランダム性が与えられています。そうして生成された答えは、真実でもなければ創作的な正解でもありません。

そもそも創作には正解がありません。どんなに問いを緻密に作り上げても、根本が架空の何かを拵えようという作業であり、最終的には自分が何を選択するかの積み重ねです。

ある特定の応答にこだわるのは極端な間違いにつながり得ますし、ひとつひとつは重視しない方が安全な、非常に不安定で不完全なものと認識しておいた方が良いでしょう。

重要なのは単体の答えそのものではなく、それを吟味し聞き直し選択し加工し、材料に過ぎないと理解し、道具として使うことです。

一度で望む応答なら喜ぶとして、意図から外れていたり意図通りでも気に入らないものなら、何度でもやり直しましょう。単にやり直してもだめなら聞き方を変えましょう。人間なら辛いやり直しも、今のAIにとっては無数の計算の単なる一回です。

正解のない問いを投げかけ、不確実な答えを選び取る。そうした作業を延々と繰り返すのが、今のAIを通した創作の基本的な流れです。

再提案

面白そうな提案ではなかったので、指示を変えて再提案してもらいましょう。

再提案してもらうための指示は、「もっと◯◯なものを」と具体的に指示しても良いですし、「〇〇は良いんだけど、それを元に選択肢を増やして」と既出の提案を指定して改善をさせても良いでしょう。

ここでは面白いものが出てくる確率向上を期待し、次の指示で再提案してもらいます。

つまらないし凡庸だなあ。他に10個提案して。

ソースによると、このプロジェクトの目的は、オーソドックスな剣と魔法のファンタジーをベースに、個性的なオリジナルの世界を作ることです。 以前提案したアイデアは物足りなかったとのことなので、さらにオリジナル世界のアイデアを提案します。

1. 五感が共有される世界: この世界では、人々は視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を、ある程度共有することができます。 これは、強力な魔法使いや特殊な能力を持つ者によって行われるか、あるいはこの世界の自然法則の一部である可能性があります。 このような世界では、人々は他人の喜びや苦しみをより深く理解し、共感することができます。しかし、同時に、プライバシーの概念が希薄になり、個人のアイデンティティが曖昧になる可能性も秘めています。

2. 色が支配する世界: この世界では、色は単なる視覚的な要素ではなく、人々の運命や能力、社会的地位などを決定づける重要な要素です。 例えば、赤は情熱と力を、青は知性と冷静さを、緑は自然と癒しを表すなど、それぞれの色に特別な意味と力があるかもしれません。 人々は生まれながらに特定の色に属し、その色の運命に従って生きていくことになります。

3. 鏡像世界が存在する世界: 現実世界とは別に、鏡像世界が存在する世界を想像してみてください。 鏡像世界は、現実世界の歪んだ反映であり、現実世界とは異なる法則や文化、生物が存在するかもしれません。 現実世界と鏡像世界は、特定の場所や条件下で繋がっており、人々は鏡像世界を行き来することができます。

4. 意思を持つ武器が存在する世界: 武器が単なる道具ではなく、独自の意思と人格を持つ世界を想像してみてください。 剣や弓、槍などが、自らの意志で持ち主を選び、共に戦ったり、時には持ち主を裏切ったりするかもしれません。 武器との絆、そして武器に宿る意志との葛藤が、物語の重要な要素となります。

5. 空が別の世界に繋がっている世界: 空を見上げると、そこには別の世界が広がっている世界を想像してみてください。 空に浮かぶ島々、雲の上にある都市、あるいは空を泳ぐ巨大な生物など、空は無限の可能性を秘めたフロンティアとなります。

6. 植物が文明を築いている世界: 動物ではなく、植物が知性と文明を持つ世界を想像してみてください。 巨大な樹木が都市となり、花々が言葉を話し、森全体が一つの意識を共有しているかもしれません。 人間は、この植物文明の中で、共存するか、対立するかの選択を迫られるでしょう。

7. すべての生物が不死の世界: この世界では、すべての生物は不死であり、老化や病気で死ぬことはありません。 しかし、不死であるがゆえに、人口増加、資源不足、そして永遠に続く生命の苦悩といった問題が生じます。

8. 記憶が貨幣として扱われる世界: この世界では、人々の記憶が価値を持ち、貨幣として取引されます。 記憶を売買することで、新しい知識や経験を得たり、過去のトラウマを消し去ったりすることができます。 しかし、記憶を失うことは、アイデンティティを失うことにも繋がり、倫理的な問題も孕んでいます。

9. 重力が反転する周期が存在する世界: 一定の周期で、重力が反転する世界を想像してみてください。 人々は、天井に張り付いたり、空を歩いたりする必要があり、建築物や生活様式もそれに適応したものになります。 重力の反転は、予測可能な現象である場合もあれば、突発的に起こる場合もあり、人々に混乱と冒険をもたらします。

10. 音が視覚化される世界: 音が見える世界を想像してみてください。 音楽は美しい光のショーになり、人の声は色とりどりの波となって伝わります。 この世界では、音楽や音声が持つ力がより一層増し、芸術やコミュニケーションの手段として重要な役割を果たすでしょう。

これらのアイデアは、オーソドックスな剣と魔法のファンタジーをベースにしつつ、独自の要素を加えることで、個性的なオリジナル世界を構築するのに役立つでしょう。

「4. 意思を持つ武器が存在する世界」は面白そうです、これにしましょう。

このように再提案が一度で通る場合もあれば、指示を変え追加し、何度も何度もやり直す場合もあります。

設定を膨らまさせる

AIが提案してくれた次の設定を、今回の解説では採用しました。

4. 意思を持つ武器が存在する世界: 武器が単なる道具ではなく、独自の意思と人格を持つ世界を想像してみてください。 剣や弓、槍などが、自らの意志で持ち主を選び、共に戦ったり、時には持ち主を裏切ったりするかもしれません。 武器との絆、そして武器に宿る意志との葛藤が、物語の重要な要素となります。

これだけではちょっと物足りないので、チャットを続けてもう少し膨らませてもらいましょう。

「4. 意思を持つ武器が存在する世界」は面白そう。更に詳しく設定して。

ソースによると、このプロジェクトの目的は、オーソドックスな剣と魔法のファンタジーをベースに、個性的なオリジナルの世界を作ることです。 「意思を持つ武器が存在する世界」を、世界観の設定としてより深掘りしてみましょう。

「意思を持つ武器」が存在する世界の基本設定世界観: 古代魔法文明の隆盛と衰退
かつて世界には、高度な魔法文明が存在していました。人々は魔法を自在に操り、魔法生物と共存し、繁栄を極めていました。しかし、魔法の overuse や、魔法生物との対立、あるいは自然災害など、何らかの原因によって、古代魔法文明は衰退し、滅亡への道を辿ることになります。 現代では、古代魔法文明の知識や技術は失われ、わずかに遺跡や伝説として語り継がれているのみです。
「意思を持つ武器」の誕生: 古代魔法文明の遺産
古代魔法文明の魔法使いたちは、強力な魔法の力を武器に宿らせ、意思を与えることに成功しました。これらの武器は、持ち主と共に戦い、成長し、時には持ち主を超える力を発揮しました。しかし、魔法文明の衰退と共に、これらの武器もまた失われた存在となりました。 現代では、古代の遺跡やダンジョンに眠っている「意思を持つ武器」は、伝説のアイテムとして、冒険者たちの憧れの的となっています。
「意思を持つ武器」の覚醒: 魂の共鳴
「意思を持つ武器」は、単に所有するだけではその真価を発揮しません。持ち主の魂と共鳴し、真に認められた時にのみ、その力を解放します。 武器は持ち主の性格や能力、そして精神的な成長に影響を受け、共に進化していきます。持ち主が勇気と決意を持って武器を振るう時、武器は持ち主に力を貸し、共に困難を乗り越えるでしょう。
「意思を持つ武器」の存在意義: 世界の均衡を守る
「意思を持つ武器」は、単なる武器ではなく、世界の均衡を守るために古代魔法文明が遺した遺産です。 世界に再び危機が訪れた時、選ばれし勇者と共に戦うことで、世界を破滅から救う存在となるでしょう。

ポイント:古代魔法文明の遺産である「意思を持つ武器」は、世界に散らばっており、それぞれに個性と能力を持っています。
武器は持ち主を選び、持ち主は武器と心を通わせることで、真の力を引き出すことができます。
「意思を持つ武器」は、世界を脅かす脅威に対抗するための鍵であり、物語の重要な要素となります。

この世界観では、:主人公は、偶然、あるいは運命によって「意思を持つ武器」と出会い、冒険の旅に出ることになります。
旅の途中で、他の「意思を持つ武器」や、その持ち主と出会い、協力したり、対立したりしながら、成長していきます。
最終的には、「意思を持つ武器」の真の力を解放し、世界を救うための戦いに挑むことになります。

この設定は、オーソドックスな剣と魔法のファンタジーの世界観をベースにしつつ、「意思を持つ武器」という要素を加えることで、より深みのある、個性的な世界観を構築できるでしょう。

どうも好みではない方向の応答になってしまいました。色々と注文をつけてやり直してもらいます。AIから提示を受けると、それが刺激になって着想が拡がり、指示も具体的になっていきます。

勝手に主人公を設定しないで。
魂と共鳴とかいうクサい設定もいらない。

次の指示を元に提案しなおして。

・武器たちは強大矮小たくさん存在してる
・作られた武器に意思と力が宿る
・意思の由来も原理も不明
・宿る力は武器ごとに異なるが、系統や傾向はある
・武器たちにはそれぞれの欲求と感情がある
・欲求を満たす使い手には協力的
・武器たちには寿命はないが、破壊されれば死ぬ
・武器としての性能と、武器が宿す超常的な力は概ね比例する
・稀に、貧弱なナイフが絶大な力を宿す

あとごちゃごちゃして見にくい。
読み物として見やすいように提示して。

この指示に対し、何度か不満の残る応答と再提案を繰り返し、最終的に次の設定が決定しました。これはAIが応答した内容を元にしつつ、複数の回答から良いものを集めたり、まったく新規に書き加えたりしたものです。

この世界では作られた武器に意思と力が宿るという不思議な現象が起こる。鍛冶屋が鉄を打ち、刀匠が刃を研ぎ澄ますその過程で、ごく稀に武器に意思が芽生える。

意思の宿る武器
剣、斧、弓矢、杖…あらゆる種類の武器に、意思が宿る可能性がある。
誰が、いつ、どのようにして作ったのかは関係なく、名工の鍛えた名刀であっても、そうでなくても、意思が宿るかどうかは予測不可能である。武器に意思が宿る原理は全くの謎であり、学者たちは研究を続けているが解明には至っていない。
ただし極僅かに、高い確率で意思を宿す武器を生み出す者もおり、珍重される。

武器の力と欲求
武器に宿る力はそれぞれ異なり、系統や傾向はあるが、同じ種類の武器でも全く異なる能力を持ちうる。

武器たちは それぞれ独自の欲求と感情 を持ち、意思に基づいて振る舞う。戦いを好み血に飢えた武器もあれば、平和を望み争いを嫌う武器もある。名声を求め英雄譚に名を刻みたいと願う武器もあれば、静かに持ち主を守りたいと願う武器もある。
また、植物を切りたい、日差しを浴びたい、錆びたくない、投げられたい、他の武器を破壊したい、雑に扱われたいなど、欲求は多様。

武器たちは 自分の欲求を満たしてくれる使い手には協力的。使い手と協力しその力を最大限に発揮する。しかし 欲求に反する行動をとる使い手には、力を貸さない どころか、反抗 することさえある。

武器の寿命と力
武器たちは 寿命を持たない。しかし破壊されれば死ぬ。
武器としての性能と武器が宿す超常的な力は 概ね比例する。強力な力を持つ武器は物理的な強度や威力、使い勝手なども高い傾向にある。
しかし稀に、貧弱なナイフが絶大な力を宿す といった、例外もある。

ひとつ設定が固まった所で、次はこの内容をソースとして登録します。

世界の追加と更新

NotebookLMを使った世界作りでは、ソースに登録した情報が世界そのものを表します。先ほどのテキストをソースとして登録することで、それ以降のチャットはその内容を踏まえてくれます。

登録したら合わせて、最初に登録した「00_プロジェクトの目的」というソースを書き換えます。なおNotebookLMではソースの書き換えをサポートしないため、実際には一旦ソースを削除し、再度登録します。

なぜこの段階でプロジェクトの目的を記したソースも変更するかというと、現在そこに含まれる「オーソドックスな剣と魔法のファンタジーを元に」という一文が、今後ノイズとなるためです。

チャットのたびにソースは参照され得るため、その応答は「意思を持つ武器」という設定と、「オーソドックスな剣と魔法のファンタジーを元に」という設定が、両方考慮されたものになってしまいます。すでにある程度独自の設定が行われた状態に、余計な情報が混入してこないよう書き換える必要があるのです。

このプロジェクトの目的:
「基本設定」を元に、独自のファンタジー世界を構築する。

内容はこのようにしました。これで大きなノイズとなることはなく、しかしファンタジーという一般概念には影響された応答が得られます。

舞台を決める

なかなか魅力的な、意思持つ武器たちの蠢く世界設定が決まりました。次はその舞台となる地理的時代的な設定を決めましょうしましょう。

設定対象が変わっても、決めていく流れは大きく変わりません。アイデアを複数提示させ、選別したり改善し、膨らませてソースに登録。この流れは全ての設定で同様の基本的なものです。

次のような指示を繰り返して決定しました。

このファンタジーの舞台となる地域の設定案を、5パターン提案して。
提案してくれた1から4までを統合した、ひとつの世界を作って。

更に、一度ソースとして暫定的な設定を登録した上で、「権力構造の対立がステレオタイプすぎる」とか、「宗教権力の世俗への組み込みをもっと複雑で柔軟に」とか、指示を重ねて調整した結果、次の舞台が決まりました。

地域
大陸中央部:衰退しつつも強大な軍事力を誇る帝国が存在する。
帝国周辺:複数の王国が点在。
海洋:交易で栄える商業都市国家が存在。
隔絶された地域:辺境地域が存在。

勢力
帝国
:かつて高度な武器製造技術と意思を持つ強力な武器によって大陸の大部分を支配していた。衰退しつつも、依然として大陸で最大の勢力を誇る。皇帝は強大な力を持つとされる意思を持つ武器を所有。反乱軍の鎮圧と失われた領土の回復を目指している。
王国:それぞれが独自の文化、歴史、軍事力を持ち、帝国からの独立を維持するために同盟と裏切りを繰り返している。中には、帝国に代わって大陸の覇権を握ろうと目論む王国も存在する。自国の軍事力を強化するために、意思を持つ強力な武器を求めている。
商業都市国家:海洋交易によって莫大な富を蓄積し、独自の海軍力と高度な武器製造技術を有する。帝国や王国との関係を巧みに利用し、自らの利益を追求する。海賊対策や貿易ルートの安全確保のため、強力な武器と意思を持つ武器を求めている。
反乱軍:帝国の圧政に苦しむ人々によって組織された、様々な思想・背景を持つ集団。自由と独立を求めて戦い、帝国に対抗するために、強力な武器と意思を持つ武器を求めている。中には、独自の理想国家を建設することを目指す者もいる。
教団:大陸全土に広がる強大な宗教組織。意思を持つ武器を神聖なものとみなし、その使用を厳しく管理しようとする。政治や社会に大きな影響力を持っており、帝国や王国、反乱軍とも複雑な関係を持っている。

対立構造
帝国 vs. 王国・反乱軍
:帝国は、失われた領土と権威を取り戻そうと、王国や反乱軍と対立する。
王国間の対立:各王国は、領土拡大や資源獲得、覇権争いなどをめぐって互いに争っている。
商業都市国家 vs. 海賊:海賊は、商業都市国家の商船を襲い、財宝や資源を奪う。都市国家は、海賊の脅威から自らの利益を守るために、海軍力を強化し、海賊と戦う。
教団 vs. 世俗権力:教団は、意思を持つ武器の管理を巡って、帝国や王国と対立する。教団は、武器の力を利用しようとする世俗権力を警戒し、時に対立する。
辺境地域 vs. 外部世界:辺境地域の人々は、外部世界からの接触によって、自分たちの文化や伝統が脅かされることを恐れている。彼らは、外部世界との関係をどのように築いていくか、選択を迫られる。

かなりベタで記号化されすぎていますが、特異性を注入するには、これぐらい分かりやすい方がいいかもしれません。

世界の充実

ここまでで確認した手順が、世界を作っていく全ての基本です。あとは世界に何を追加していくのか、その選択を行い、同じサイクルを回し続けることになります。

設定の対象は無限にありますが、どうしても大きな要素は先に定義していく方が望ましいです。後からでは矛盾や名前の問題が手に負えなくなってしまうため、主要な国家や集団を設定しましょう。

この世界の主要な国家や集団を詳しく定義して。
それぞれを深堀りし、固有名詞を与えて。

1. エルディア帝国 (Eldia Empire)
概要
エルディア帝国はかつて大陸の大半を支配していた強大な国家であり、高度な武器製造技術と「意思を持つ武器」の力で他国を圧倒した。現在は衰退の一途を辿っているが、未だに大陸で最も広大な領土と軍事力を誇る。
統治者
皇帝 ヴァルディス・カールトン (Valdis Carlton):帝国の象徴であり、強力な意思を持つ武器「黒炎の大剣《ケル=ノクトル》」を所有する。
特徴
帝国は重厚な鎧をまとった騎士団と大規模な軍隊を持ち、兵士は意思を持つ武器と共に戦場を支配する。帝国の都市は石造りの巨大な建築群で構成され、広大な街道網が整備されている。
目標
反乱軍の鎮圧、王国への支配力回復、そしてかつての栄光の再興。
象徴
黒と赤を基調とした双頭の鷲。

2. アヴァンティス連合王国 (Avantis Allied Kingdoms)
概要
エルディア帝国に対抗し、独立を維持している複数の王国の連合体。表面上は協力し合っているが、互いの利害や覇権争いで度々対立が生じる。王国ごとに異なる文化、歴史、武器の伝統を持つ。
主要王国
ヴァレンドール王国 (Valendor Kingdom):冷涼な高地に位置し、青銅色の鎧をまとった重騎兵と弓兵が主力。
リュミナール王国 (Luminare Kingdom):豊かな平野を持ち、農耕と魔法の研究が盛ん。光の魔法を宿す武器が多い。
ドラヴァス王国 (Dravas Kingdom):山岳地帯に広がり、斧や槌を好む屈強な戦士が多い。
目標
帝国の圧政からの自由な独立、さらには大陸の覇権掌握。
象徴
連合の象徴は、白地に黄金の星。

3. ヴェリス商業都市国家 (Velis Maritime Republic)
概要
海洋交易で栄えた独立都市国家。経済力と海軍力を武器に、商業と政治の両面で大陸に影響を与える。市民による共和制が敷かれ、商人組合が実質的に国家を運営する。
統治者
ドミナ・カスティリオ (Domina Castilio):商人評議会の議長であり、交易政策を取り仕切る。
特徴
強力な海軍力と多種多様な意思を持つ武器を有し、船員や商人がそれらを駆使して交易路を守る。
目標
貿易の安全確保、海賊の排除、そして大陸各国との利益重視の外交。
象徴
青と銀の波紋が描かれた紋章。

4. ダルクノール反乱軍 (Darknore Rebellion)
概要
エルディア帝国の圧政に抵抗する反乱組織。様々な思想や背景を持つ者たちが集い、自由と平等を求めて戦う。
リーダー
リサ・エルガード (Risa Elgard):元帝国軍士官で、反乱軍の統一的な象徴として指揮を執る。
特徴
反乱軍はゲリラ戦術を得意とし、帝国の支配地域で急襲を繰り返す。意思を持つ武器を確保するため、遺跡や旧戦場を探索することが多い。
目標
帝国の打倒、圧政からの解放、そして理想国家の建設。
象徴
赤い狼の旗印。

5. 聖教団《ルーメ・アルカナ》 (The Holy Order of Lume Arcana)
概要
大陸全土に影響力を持つ強力な宗教組織。意思を持つ武器を神聖視し、その管理と使用を厳格に制限しようとする。
最高司祭
オルフィナ・カリュード (Orphina Calliude):教団の精神的指導者であり、教義と秩序を守る象徴。
特徴
教団は修道士や戦闘僧、聖騎士団を擁し、聖なる武器と共に世俗権力の抑制を試みる。
目標
武器の神聖性の保持、世俗の武力支配の抑制、そして大陸全土の精神的な統一。
象徴
黄金の光輪をまとった白い聖剣。

6. 辺境の民《ヴァルダリアン族》 (Valdarian Tribes)
概要
大陸の辺境地域に住む独立した部族社会。文明世界から距離を置き、自然と共生しながら独自の文化を守る。
首領
グレイム・サガラス (Graim Sagallas):勇猛な戦士であり、部族の伝統を守るリーダー。
特徴
獣を模した意思を持つ武器や自然由来の魔法を操る。外部との接触を嫌うが、信頼を得た者には協力的。
目標
自然と文化の保護、外部勢力からの自立。
象徴
木の葉と狼の紋様。

これらに対する社会的な要素として、次のようなものを満たしていくことで、事典や物語を内包する空間としてより複雑でリアリティあるものになっていくでしょう。

  • 経済

    • 貨幣

    • 生産力

    • 所有

    • 簿記

    • 富裕と蓄財

    • 貧困

    • 資本

  • 生産

    • 食料生産

    • 生産方法

    • 生産力

    • 分配

    • 輸送

    • 加工

    • 廃棄

  • 食文化

    • 食料の種類

    • 供給方法

    • 料理法

    • 味覚

    • 地域ごとの特産品

    • 儀礼やマナー

    • 飢饉や豊作

    • 交易や流通

    • 宗教や祭事

  • 医療

    • 病気の種類

    • 治療法

    • 医療従事者の役割

    • 薬草や魔法

    • 信仰と癒し

    • 疫病と対策

    • 健康と死の観念

  • 家族制度

    • 結婚の形態

    • 子育ての方法

    • 親族間の絆

    • 家族の伝統や価値観

    • 継承権や相続

    • 家庭内での役割分担

  • 集団やコミュニティ

    • 村、都市

    • ギルド

    • 宗教団体

    • 秘密結社

    • 組織のルール、階級

    • リーダーシップ

    • 連帯感、敵対関係

  • 芸術と文化

    • 音楽、舞踊

    • 絵画、彫刻

    • 演劇

    • 芸術家の地位

    • 支援者

    • 禁じられた表現

    • 流派やスタイル

  • 文学

    • 神話や英雄譚

    • 詩歌

    • 歴史書

    • 哲学書

    • 知識人や学派

    • 本の普及度

    • 識字率

  • 信仰と死生観

    • 神々や精霊

    • 教義

    • 儀礼

    • 禁忌

    • 聖職者の役割

    • 異端や宗教戦争

    • 死後の世界

    • 葬儀や墓制

    • 霊的存在

  • 法と秩序

    • 法律や慣習

    • 裁判

    • 罰則

    • 警察や軍隊

    • 治安

    • 正義や罪の考え方

    • 犯罪者や反逆者の扱い

正解などなく、極端に言えば、どんなものでも追加していくことで世界は豊かになります。重要なのは、AIに尋ね、提案させ、選別と修正を行い、ソースとして与え、また尋ねるというサイクルを積み上げ続けることで、ひとりでは到底扱えなかった時間や規模で、世界を充実させていけるという点です。

たとえば経済システムは、次のものを選択しました。

1. 通貨システム

この世界には複数の通貨が流通していますが、大陸全体で広く受け入れられる統一的な価値尺度も存在します。

エルディア帝国の通貨:帝国金貨《クラウス (Klaus)》
帝国が発行する金貨で、最も広く信用される通貨。帝国の紋章が刻印され、金の含有量が高い。
1クラウス = 約10銀貨《シルム (Silm)》
1銀貨 = 約100銅貨《カロル (Karol)》

アヴァンティス連合王国の通貨:王国標準貨《ローナ (Rona)》
連合内で共通して使われる銀貨。各王国は独自のデザインを採用しているが、価値はほぼ統一されている。
1ローナ = 1帝国銀貨《シルム》に相当

ヴェリス商業都市国家の通貨:商業金貨《メルク (Merc)》
海洋交易の標準通貨。取引所での相場変動があるものの、他地域との貿易に便利な通貨。
1メルク = 1.2帝国金貨《クラウス》

ダルクノール反乱軍の通貨:反乱銅貨《リフ (Rif)》
戦時経済に適応した簡易な貨幣。反乱地域でのみ使用され、銀や金が不足しているため、物々交換が頻繁に行われる。

教団の通貨:聖印貨《ルミエ (Lume)》
神聖な価値を象徴する銀貨。教団領や信者の間で使用され、武器や聖具の取引に重宝される。

2. 経済の主要要素

エルディア帝国

主要資源:鉄鉱石、石炭、木材
特産品:高品質な武具、意思を持つ武器、戦馬
経済の特徴:帝国の経済は軍需産業が中心。戦争による略奪や属国からの貢納も経済の支えとなっている。

アヴァンティス連合王国
主要資源:農産物、染料、宝石
特産品:魔法細工品、工芸品、弓矢や軽量武器
経済の特徴:王国間の交易が盛んで、都市間の商人ギルドが大きな影響力を持つ。互いの特産品を交換し、経済的な独立を保っている。

ヴェリス商業都市国家
主要資源:海産物、貴金属、香辛料
特産品:船舶、海図、高度な海洋武器
経済の特徴:海洋貿易が経済の柱。遠方の地域から珍しい資源を輸入し、高値で販売する。金融業も発達しており、商人銀行が融資や保険を提供する。

ダルクノール反乱軍
主要資源:盗品、廃墟からの回収品、密輸品
特産品:即席武器、ゲリラ装備
経済の特徴:戦争経済に依存し、略奪や密輸、帝国の物資供給網の破壊によって物資を得る。協力者や同情者からの寄付が重要な収入源。

聖教団《ルーメ・アルカナ》
主要資源:聖なる鉱石、羊皮紙、薬草
特産品:聖具、魔法書、聖油
経済の特徴:教団が管理する聖域や巡礼地から得られる収益が大きい。信者からの献金や、儀式用物品の取引も重要。

ヴァルダリアン族
主要資源:動物の毛皮、薬草、希少な鉱石
特産品:狩猟用武器、自然由来の薬、呪具
経済の特徴:自給自足が基本だが、信頼した外部者と限定的な交易を行う。貴重な薬草や特殊な武器は高値で取引される。

3. 貿易と流通

大陸主要交易ルート中央街道 (The Central Road)
帝国首都から連合王国、商業都市国家を結ぶ大陸横断街道。陸上交易の要であり、武器、農産物、工芸品が行き交う。

黄金航路 (The Golden Sea Route)
ヴェリス商業都市国家が管理する主要な海洋交易路。香辛料、宝石、希少金属が遠方の島国から運ばれる。

影の回廊 (The Shadow Corridor)
反乱軍が密かに使用する地下通路や隠れ道。武器や物資の密輸に利用される。

貿易同盟と商人ギルドヴェリス商業連合 (Velis Trade Consortium)
大陸最大の貿易同盟。商人ギルドが主導し、交易ルートの安全確保や価格調整を行う。

王国交易評議会 (Council of Royal Trade)
連合王国の商人たちが結成する組織。帝国への依存を避け、独自の経済圏を築こうとする。

帝国商工会議所 (Imperial Chamber of Commerce)
帝国内の商業活動を統制し、国庫への税収を管理。軍事物資の調達も行う。

4. 税と関税

帝国:軍事力維持のため重税を課す。戦時中は領民から追加徴税が行われる。

王国:王国ごとに税制が異なるが、農民や商人への課税が主。戦争時には増税する。

商業都市国家:貿易に関する関税が主な収入源。港湾使用料や海上輸送税も存在する。

教団:信者からの献金と巡礼税を徴収する。特定の商取引には免税措置がある。

こうした設定が追加されることで、また次の設定がより詳細に生成されるようになり、その循環はひたすら続きます。

旅人による確認

こうした設定を世界に組み込む過程で、その結果が自分の求めるものになっているか、都度確認しながら進めることも重要です。また望まぬ設定が混入していたり、不足している部分の認識も必要です。

そうした確認の作業は非常に手間のかかるもので、世界が大きくなればなるほど困難になります。多数に分かれた設定を見比べながら、意図に沿うものそうでないものを拾い上げる作業は、退屈で膨大な時間を要求されます。

そこでそうした確認の手間を減らす方法として「旅人」と呼んでいる確認方法があります。旅人というのは比喩ですが、要はその世界を旅するような文章を生成させ、それを読むことで設定を確認するものです。

たとえば意思持つ武器の世界に、経済・生産システム、信仰、食文化などの設定を更に追加し、次の指示で旅人を出力させてみました。

この世界を旅するとある旅人を想定して、
彼の旅行記を書いてください。
具体的で詳細な、ある1つの地点を体験する濃密な記録を書いて。
できるだけ長い方が良い。

ヴァレンドール王都:石と歌が織りなす王国の心臓

馬車が石畳を叩く音で目が覚めた。夜明け前の薄暗がりの中、私は荷馬車から降り立ち、周囲を見渡した。そこは、アヴァンティス連合王国の中心都市、ヴァレンドール王都だった。 巨大な城壁に囲まれた街は、まだ眠りの中にあったが、空には既に朝焼けの光が差し込み始めていた。

城門をくぐると、冷たく澄んだ空気が頬を撫でる。石畳の道は、長い年月を経て닳れて丸みを帯びており、道の両脇には、石造りの建物が軒を連ねていた。 帝国の重厚な建築とは異なり、どこか温かみを感じる。それは、建物の随所に施された繊細な装飾や、窓辺に置かれた色とりどりの花々のためだろうか。

街の中心部には、広大な市場が広がっていた。まだ店の準備をしている商人たちの活気のある声が聞こえてくる。 帝国では見られなかった、色鮮やかな果物や野菜、香辛料が山積みになっていた。

私は、市場の喧騒に足を踏み入れた。商人の威勢の良い呼び声、客たちの値切る声、荷車が行き交う音。活気に満ちた市場の風景は、旅の疲れを忘れさせてくれる。

露店で売られていた焼きたてのエルフウィートブレッドとハーブバターの朝食を済ませた後、私は王宮へと向かった。 王宮は、街の中心に位置する丘の上に建つ、壮麗な石造りの建築だった。城壁には、王国の歴史を物語る彫刻が施され、その威容は、訪れる者を圧倒する。

城内では、衛兵が厳重な警備を行っていた。私は、旅行者であることを告げ、城内を見学する許可を得た。城内には、美しい庭園や噴水、美術館などがあり、王国の文化と歴史を感じることができた。特に、光の魔法で作られたステンドグラスは息を呑む美しさだった。

城を後にした私は、街の探索を続けた。路地裏には、小さな工房が軒を連ねていた。そこでは、職人たちが、金属を叩き、革をなめし、糸を紡いでいた。彼らの手から生み出される作品は、どれも精巧で美しく、職人技の高さを感じさせた。

夕方になると、街には、陽気な音楽が流れ始めた。広場では、人々が輪になって踊り、酒を酌み交わしていた。私は、地元の人々に混じって踊りに参加した。彼らの温かい笑顔と歌声に、私は、この国の魅力に深く惹かれていくのを感じた。

ヴァレンドール王都は、石と歌が織りなす、美しく、そして力強い都市だった。私は、この街で、人々の温かさ、自然への畏敬の念、そして、伝統を重んじる心を学んだ。

旅は続く。しかし、ヴァレンドールで過ごした数日間は、私の心に深く刻まれ、忘れられない思い出となるだろう。

読むと問題のある設定が色々と見つかります。私の世界には魔法というあやふやな超常の力は存在せず、それらは全て意思持つ武器の力によるものです。しかし「光の魔法」という語が現れています。これはファンタジーという基本的な指示がもたらしたかもしれませんし、どこかに魔法を想起させる設定が混入している可能性もあります。

こうした確認を繰り返すことで、世界が今どのように表現可能なものか、設定を延々と見比べることなく把握することが出来ます。

旅人というのは比喩であって、確認の表現はもっと多様なもので構いません。

この世界のどこかの酒場でかわされる会話を、
なるべく長く書いて。
具体的でリアリティあるセリフで、
臨場感ある状況の描写も行いながら。

薄暗く煤けた店内には、かがり火の揺らめく光とエールと汗の入り混じった匂いが充満していた。エルディア帝国の辺境にあるヴェルク鍛冶の街にあるその酒場は、今日も一日中槌を振るってきた屈強な男たちで賑わっていた。

木のテーブルを囲んだ3人の男たちは、ジョッキを傾けながら熱心に議論を交わしている。彼らのたくましい腕には、鍛冶仕事でついた火傷の跡や金属片の擦り傷が生々しく残っている。

「おい、聞いたか?ブラッドマーシュ湿地帯で、また反乱軍が動きを見せたそうだ。」

筋肉隆々の体格をしたガロスが、黒ビールを喉に流し込むと、低い声で言った。彼の言葉に、他の2人も顔をしかめた。

「反乱軍め…帝国の安寧を脅かす不届き者どもだ。皇帝陛下がケル=ノクトルを振るい、やつらを根絶やしにしてくれるだろう。」

痩せ型の男、バルドが吐き捨てるように言った。彼は熱心な皇帝崇拝者で、常に帝国の栄光を口にする男だった。

「だが、反乱軍も馬鹿ではない。奴らも意思を持つ武器を探しているという噂だ。もし強力な武器を手に入れれば…帝国にとっても脅威となる。」

冷静な口調で語る男は、3人の中で最も年長のレイモンドだった。彼は熟練の鍛冶師であり、若い2人にとっては師匠のような存在だった。

「確かに、最近の反乱軍は勢いづいているようだ。つい先日も、帝国の補給隊が襲撃されたという噂を聞いた。」

酒場の隅では、旅人の男が噂話を囁いていた。彼の言葉に、周囲の客たちも不安そうな表情を浮かべる。

「やつらは一体どこから武器を調達しているんだ?まさか…帝国の中に裏切り者がいるのか?」

ガロスが険しい顔で呟いた。彼の言葉に、酒場の空気が張り詰める。誰もが、帝国の未来に影が差し始めているのを感じていた。

「心配することはない。我々鍛冶師は、帝国のために最強の武器を作り続ける。必ずや、帝国は再び栄光を取り戻すだろう。」

レイモンドは力強く言った。彼の言葉に、ガロスとバルドは頷き、ジョッキを高く掲げた。

「帝国に栄光あれ!」

3人の男たちの叫び声が、酒場の喧騒に掻き消されていく。彼らの願いは叶うのだろうか?それとも、帝国は闇に飲み込まれてしまうのだろうか?

ある農夫の結婚に関する諍いの様子を。

農夫ゲルトの結婚騒動記

エルディア帝国の片隅、麦畑が広がるのどかな村、ブロンズヒル。そこに住む筋骨隆々、太陽に灼けた肌の屈強な農夫、ゲルトは村一番の働き者だが、困ったことに30歳を過ぎても独身であった。

村の女性たちは、ゲルトの不器用で無口な性格と、彼の意思を持つ鍬「土喰い」の気まぐれな振る舞いに恐れをなしていたのだ。「土喰い」は、ゲルトが畑仕事をする時以外は、常に地面に潜り込もうとし、女性の姿を見ると震え上がり、土を撒き散らしていた。

ゲルト自身は結婚願望がなかったわけではない。しかし、彼にはある悩みがあった。それは、彼の作るブラッケンローストがあまりにも美味しく、女性たちが結婚を申し込んでくるのは、彼ではなく、彼の料理目当てなのではないかという疑念である。

ある日、村一番の美人で評判のパン職人、リーザが、ゲルトに結婚を申し込んだ。リーザは小麦色の肌と輝く金髪、そして明るい笑顔が魅力的な女性で、ゲルトも密かに彼女に好意を抱いていた。

リーザはゲルトの手料理の大ファンで、特にブラッケンローストを絶賛していた。しかし、ゲルトは、リーザも他の女性たちと同じく、自分の料理に惚れているだけで、自分自身には興味がないのではないかと疑っていた。

そこでゲルトは、リーザの真意を確かめるため、ある計画を思いついた。それは、自分の料理の腕前を隠し、リーザに自分自身を愛してくれるかどうかを見極めるというものだった。

ゲルトは、リーザに求婚を受け入れる代わりに、毎日リーザの家で夕食を共にすることを提案した。リーザは喜んでこの提案を受け入れた。

最初の晩、ゲルトは意を決して、わざと失敗作の料理を作った。焦げたダークブレッド、水っぽいアイアンポットシチュー、そして硬くて噛み切れないスモークド・ソーセージ。

ゲルトは緊張しながらリーザの反応を伺った。リーザは、ゲルトの料理を一口食べると、顔をしかめ、「ゲルト、これは一体…?」と困惑した表情を見せた。

ゲルトは内心、「やはり、私の料理が目的だったのか…」と落胆したが、リーザはすぐに笑顔を取り戻し、「大丈夫よ、ゲルト。誰でも失敗はするわ。それに、私はあなたの料理が好きだけど、あなた自身にもっと興味があるのよ。」と優しく言った。

リーザは、焦げたパンをスープに浸して食べ、硬いソーセージを細かく切ってシチューに混ぜ、ゲルトのために美味しい夕食に作り変えてしまった。ゲルトはリーザの優しさと機転に感動し、自分の愚かな疑念を恥じた。

次の日、ゲルトはリーザに謝罪し、自分の本当の気持ちを告白した。リーザもまた、ゲルトの誠実さに心動かされ、二人は結婚を約束した。

結婚式は、村中の人々が集まり、盛大に行われた。ゲルトは、リーザのために最高のブラッケンローストを焼き上げ、村人たちは、ゲルトの料理と、リーザの作った特製エルフウィートブレッドを堪能した。

しかし、結婚式の間も、「土喰い」は落ち着きがなく、リーザの足元を掘り起こそうとしていた。しまいには、リーザのウェディングドレスに土を撒き散らし、参列者たちは大笑いした。

ゲルトは、「土喰い」を叱りつけようとしたが、リーザは笑いながら、「大丈夫よ、ゲルト。これもあなたの個性の一部だもの。」と優しく言った。

こうして、ゲルトとリーザは、村人たちの祝福と、「土喰い」のいたずらに見守られながら、夫婦として新たな人生を歩み始めた。村人たちは、「あの無口なゲルトが、あんな素敵な奥さんを手に入れるなんて!」と驚き、ゲルトの料理と、リーザの笑顔が絶えない、賑やかで幸せな家庭が築かれたのだった。

構築してきた世界のあちこちを覗き見るようなこの作業は、世界作りの非常に楽しい側面です。一方で、矛盾や問題の拾い上げはキリが無く、どこまでこの作業を繰り返すべきかいつも悩みます。

いずれはAIの発展によって、設定間の矛盾や不足が自動的に修正されていくでしょうが、まだしばらくはこの楽しい作業が欠かせません。

キャラクターと画像

ここまで世界全体や社会に関する設定を蓄積してきて、ようやくそこに名前をもって生きる存在たちの具体的な設定に入ります。この世界では人間だけでなく、意思を持つ武器という特殊なキャラクターを含むため、それらも合わせて設定していきましょう。

設定として世界に与えるキャラクターとしては、世界全体や社会同様、他への影響の大きいものから行うべきです。非常に重要な人物が、他の人物に全く影響しないといった状態を防ぎやすくなるためです。

まずはそうした人物、または武器として、すでに設定に登場しているものをAIにリストアップしてもらいましょう。

ソースで言及されている人物と名前付きの武器は以下の通りです。

人物
ヴァルディス・カールトン (Valdis Carlton)
:エルディア帝国の皇帝。意思を持つ武器「黒炎の大剣《ケル=ノクトル》」を所有している。
ドミナ・カスティリオ (Domina Castilio):ヴェリス商業都市国家の商人評議会議長。
リサ・エルガード (Risa Elgard):ダルクノール反乱軍のリーダー。元帝国軍士官。
オルフィナ・カリュード (Orphina Calliude):聖教団《ルーメ・アルカナ》の最高司祭。
グレイム・サガラス (Graim Sagallas):辺境の民《ヴァルダリアン族》の首領。

名前付きの武器
黒炎の大剣《ケル=ノクトル》
: エルディア帝国の皇帝が所有する意思を持つ武器。

挙がったそれぞれを、指示し、生成させ、確認し、修正し加筆し、ソースとする基本の作業をここでも繰り返します。

ヴァルディス・カールトン

ヴァルディス・カールトンは、衰退しつつも強大な軍事力を誇るエルディア帝国の皇帝です。彼は帝国の象徴であり、意思を持つ強力な武器「黒炎の大剣《ケル=ノクトル》」を所有しています。

人物像年齢: 40代後半
外見: 堂々たる体格で、鍛え抜かれた鋼のような肉体を持つ。鋭い眼光と威厳のある顔立ち。黒髪に銀色のメッシュが入り混じり、年齢を感じさせる。歴戦の傷跡が顔や体に刻まれている。常に豪華な装飾が施された甲冑を身につけ、黒炎の大剣《ケル=ノクトル》を帯びている。
性格: 帝国の栄光を強く信じ、冷酷で支配欲が強い。目的のためには手段を選ばない一面もある。しかし、内心では衰退していく帝国の現状に焦慮し、孤独を抱えている。

背景
若くして帝位を継承し、反乱や王国の独立など、苦難の時代を経験してきた。強大な力を持つ「黒炎の大剣《ケル=ノクトル》」を使いこなし、多くの戦場で勝利を収めてきた。
帝国の再興を強く願い、反乱軍の鎮圧と失われた領土の回復を目指している。

能力
剣術
: 長年の鍛錬により、卓越した剣術の達人。黒炎の大剣《ケル=ノクトル》と自身の力を合わせ、圧倒的な戦闘力を発揮する。
統率力: 帝国軍を指揮する優れた統率力を持つ。
政治力: 帝国を統治する政治的手腕も持ち合わせており、貴族や官僚を巧みに操る。

人間関係
黒炎の大剣《ケル=ノクトル》
: ヴァルディスは「黒炎の大剣《ケル=ノクトル》」と強い絆で結ばれており、剣の意思と共鳴している。
側近: 忠実な側近たちに囲まれているが、内心では彼らを完全に信頼しきれていない。

葛藤
帝国の衰退と自身の力の限界を感じ、焦燥感に駆られている。
「黒炎の大剣《ケル=ノクトル》」の力に頼りすぎるあまり、自身の精神が蝕まれている可能性がある。
帝国の再興という大義のために、冷酷な決断を下すことへの葛藤を抱えている。

目標
反乱軍を完全に鎮圧し、帝国の秩序を取り戻すこと。
失われた領土を奪還し、帝国の版図を拡大すること。
帝国に過去の栄光を取り戻し、自らを歴史に名を残すこと。

追加設定:
ヴァルディスは、若い頃は理想に燃える若き皇帝であったが、数々の苦難を経験する中で冷酷な性格に変わっていった。
彼は芸術や文化にも造詣が深く、帝国の美術品や工芸品を収集している。
孤独を愛し、心を許せる相手は少ない。

黒炎の大剣《ケル=ノクトル》

エルディア帝国の皇帝ヴァルディス・カールトンが所有する、意思を持つ強力な武器です。その漆黒の刃は、燃え滾る黒炎を纏い、敵に恐怖を与えると言われています。

外見全体: 巨大な両刃の大剣で、成人男性の身長ほどもある。
刀身: 漆黒の金属で作られており、光を全く反射しない。刀身からは常に不気味な黒炎が燃え滾り、周囲の空気を歪ませる。黒炎は熱を発さず、触れても燃えることはないが、生命エネルギーを徐々に奪い尽くす効果を持つ。
: 髑髏の意匠が施された銀色の鍔。鍔にはルビーがはめ込まれており、不吉な光を放つ。
: 黒曜石で作られた柄は、握ると冷たく、吸い込まれるような感覚を覚える。

能力
黒炎操作
: ケル=ノクトルの黒炎は、ヴァルディスの意思によって自在に操ることができる。炎の形状を変えたり、対象に炎をまとわせたり、炎を飛ばしたりすることが可能。
生命力吸収: 黒炎は触れた相手の生命力を吸収する効果を持つ。吸収した生命力はケル=ノクトルに蓄積され、ヴァルディスはそれを自らの体力回復や攻撃力強化に利用できる。
呪詛: ケル=ノクトルは強力な呪詛を宿しており、所有者以外が触れると、精神を蝕まれ、肉体を衰弱させる。
超常的な強度: ケル=ノクトルは物理的な強度も非常に高く、他の武器では傷つけることができない。

意思
ケル=ノクトルは、戦闘と破壊を好む、攻撃的な意思を持つ。ヴァルディスの野望と共鳴し、彼に力を貸す。
ヴァルディス以外の人間には、敵意と軽蔑を示す。
ケル=ノクトルは、自らの力を振るうことを常に望んでおり、ヴァルディスを戦へと駆り立てることもある。

歴史
ケル=ノクトルは、古代の魔術師によって創造されたと伝えられている。
歴代のエルディア帝国皇帝に受け継がれ、多くの戦場で勝利に貢献してきた。
帝国の衰退と共に、ケル=ノクトルも力を失いつつあると噂されているが、真偽は不明。

備考
ケル=ノクトルはヴァルディスにとって、単なる武器ではなく、帝国の象徴であり、自らの分身のような存在。
ヴァルディスはケル=ノクトルの力を制御することに執着しており、その影響で精神が蝕まれている可能性もある。

ちょっとありきたりな印象のコンビですが、世界の悪役的な分かりやすさでいいでしょう。

さて、ここまで来たので画像も生成してみます。といってもNotebookLMでは画像が生成できないため、NotebookLM同様Googleがアカウント利用者に無料で提供しているImageFXというサービスを使います。

画像を生成するには、どのような画像を描くか指示するプロンプトが必要です。このプロンプトも、もちろんAIに作ってもらいます。

ヴァルディス・カールトンを画像生成で生成するための、
英語のプロンプトを考えて。
世界と人物の設定を十分に反映した、
表現力の高いプロンプトを作ること。

A portrait of Valdis Carlton, the emperor of the Eldia Empire, a man in his late 40s. He has a dignified physique with a sharp gaze and a commanding presence. He is dressed in ornate armor adorned with the Eldia Empire's symbol, a black and red double-headed eagle. His black hair is streaked with silver, and battle scars mark his face and body. He wields the sentient greatsword, "Kel-Noctul," a massive, double-edged blade that is as tall as a man. The blade is made of jet-black metal that constantly burns with an ominous black flame that distorts the surrounding air.

提示されたプロンプトからImageFXで生成した画像が以下です。

ヴァルディス・カールトン by ImageFX

ImageFXは公開されている画像生成AIの中でも最高性能のひとつで、確かにプロンプトに忠実、画質も高く破綻も目立ちません。しかし個人的な好みからは大きく外れた表現です。

今のところNotebookLM同様無料で使えるため、記事をご覧の方はまずImageFXで作った世界の視覚化を試すのには丁度いいのですが、自分用にはもっと表現に粗さや崩れなどが欲しいところです。

同じプロンプトを、使い慣れたStable Diffusion 3.6 Largeで、スタイルの指定を追加して生成した結果が以下です。

ヴァルディス・カールトン by SD3.5L

正しくはありませんが、こちらの方が圧倒的に好みです。実はこの記事のあちこちにある脈絡の無い画像は、これらの画像同様、構築した意思持つ武器のある世界の設定からプロンプトを生成し、SD3.5Lで生成したものです。

ということで、他にも人物や武器の設定とその画像をSD3.5Lで生成してみます。

カイ・アークライトとストームウォール

カイ・アークライト (Kai Arklight)

年齢: 25歳
職業: ヴェリス商業都市国家の海洋調査隊員
外見:日焼けした肌と、海の色を映したような青い瞳を持つ。
波打つような金髪は、海風になびき、彼の冒険心を象徴する。
鍛え抜かれた体格は、長年の船上生活と過酷な調査活動の証。
普段は動きやすい革の服を着て、腰には短剣とロープを携行する。
性格:好奇心旺盛で冒険心にあふれる。
未知のものを探求することに強い情熱を燃やす。
仲間思いで、危険な状況でも仲間を助けようと行動する。

背景
ヴェリス商業都市国家で、船乗り一家に生まれる。
幼い頃から海に親しみ、船の操縦や航海術を学ぶ。
成長後、海洋調査隊に入隊し、世界中の海を旅する。
難破船の調査中に「ストームウォール」を発見し、その所有者となる。

能力航海術: 海流や風の読み方、天体観測による航路決定など、高度な航海技術を持つ。
剣術: 海賊との戦闘経験から、実用的な剣術を身につけている。
古代語解読: 独学で古代語を学び、遺跡や古文書の解読が可能。

ストームウォールとの関係
カイはストームウォールの守護の意志を感じ、信頼を置いている。
ストームウォールはカイの冒険心を理解し、彼の探求をサポートする。
二人は共に未知の海域を探索し、古代文明の謎を解き明かそうとする。

備考
カイはストームウォールの力に頼りすぎることなく、自身の能力も高めようと努力する。
ストームウォールはカイの成長を促し、彼を真の英雄へと導く存在となる可能性がある。

意思を持つ盾「ストームウォール」

外見
全体:円形の重盾。成人男性の胴体ほどもある大きさ。
表面:黒曜石のような滑らかで光沢のある黒い素材でできている。表面には、渦巻く嵐のような模様が銀で装飾されている。
裏面:持ち主の腕を通すための革製のベルトと、盾を固定するための金属製のバックルが付いている。
特殊機構:盾の中央には、青く光る宝石が埋め込まれている。宝石は盾の意思と連動しており、感情の高まりと共に輝きを増す。

能力
絶対防御
: あらゆる物理攻撃、魔法攻撃を完全に防ぐ。
嵐の障壁: 盾の周囲に、目に見えない嵐の障壁を展開する。障壁は矢や飛び道具をはじき飛ばし、近接攻撃を妨害する。
雷撃: 盾から強力な雷撃を放ち、敵を攻撃する。雷撃は盾の意思によって誘導され、広範囲を攻撃することも、一点に集中させることも可能。

意思
守護の意志
: 持ち主を守ることへの強い意志を持つ。
冷静沈着: 戦闘においても冷静さを失わず、持ち主を危険から守るための最善の行動を選択する。
孤独: 長い時間、持ち主不在で保管されていたため、孤独を恐れる一面がある。

歴史
古の竜の鱗から作られたという伝説が残る。
海賊船の船長が所有していたが、海賊が壊滅した後、長い間海底に沈んでいた。
最近、難破船の調査隊によって発見され、再び地上に姿を現した。

これで世界に、人物や事物の設定とその画像化を行う準備が一通りできました。このように構築した世界は、そこから事典や物語を生成することはもちろん、動画や音楽生成用のプロンプトを作らせることも可能です。

おわりに

今回はファンタジーを題材にしましたが、着想をAIで再帰的に膨らませていく手法そのものは、どんな創作にも適用できます。またそうして膨らませた設定は、具体的な作品という形の出力をAIに行わせる土台となります。

数年前には考えられなかったこうした創作的な遊びが、今や誰でも手軽に始められるようになっています。自分の想像力を拡張し補強し具現化するコストは、この先さらに激減していくでしょう。

世界を作るという形でそれらをまとめあげる体験は、そうした未来を思う上でも、多くの方にぜひ体験してほしいと願います。


最後に、世界を作るという試みをなぜ行うのか、楽しみという他の理由についての説明を付記します。




なぜ世界を作るのか

空想の世界を構築していくのはとても楽しく、子供の頃から似たようなことを繰り返してきました。そして昨年、今回の事典とほぼ同じ技術構成を試していた時点では、目的はまだその延長にありました。

しかし今年の試みでは空想世界も事典も手頃な題材であって、目的は生成AIを用いた創作手法の確認へと変わっています。

生成される創作への備え

膨大な表現を蓄積し、そこから新たな表現を導出する生成AIと呼ばれる仕組みは、たくさんの課題を抱えながらもどんどん広がっています。現時点で人間の創作を置き換えるには全く性能不足ですが、いずれそうなる可能性は十分あると考えています。

権利や悪用の問題から大きなリセットが起きたとしても、創作的表現が機械出力可能だという発見は消えません。全世界的に開発が停止でもしない限り、いずれは問題を解消した実装が現れ、その出力に溢れるのは避けられないでしょう。

創作的表現そのものの機械出力が可能な状況の一般化は、拒絶するにしても受け入れるにしても、結局どこかで向き合わなければならないのではないか。では受け入れるとした場合、それでも成立する創作について考えておいた方がいいのではないか。これが目的の背景です。

私はどこまで関与し続けられるのか

創作という言葉は広くて曖昧ですが、私にとって最も重要な創作は、私が私のために私の要求で作るものです。仕事や家族のためにも色々作り楽しみますが、それらは義務や責任や愛情から生まれるもので、他の形でも応えようがあります。

そういう身勝手な前提に対し、生成AIは困った存在です。私が創作したかった何かを一部満たした表現は大量に出てくるのに、生成しても私が創作している実感はさっぱり湧かないのです。

この2年の間あちこちで色々書いてきましたが、生成AIを用いた表現の出力そのものについて「創った」「作った」ではなく、生成した、出力した、掘った、探ったなどの語で述べているのはそのためです。

仕事として、あるいは特定の興味の対象として、生成AIという仕組みやその影響と未来を考えたり、その出力が今何に使えるか探ったりはしても、生成という操作そのものには、自分のために創作している実感が伴ってきません。

仕事や交流の場で「作りました」と報告することはままあります。しかしそこでも、係る対象は仕事として外に出すのにかけた創意の部分であり、あるいは用意しましたよという体裁であり、生成という処理自体に作ったという感覚は乗ってこないのです。

なぜかといえば、結局は私の関与が薄いからという所に行き着きます。プロンプトという短い要求を重ねても、それは要求であって私の強い関与による表現ではない。頼んでみて「あーはいはい、こうきたのね」とか「うーん、伝わんないなあ」とか「そんなのできるの!?」とか、クライアントとして反応してしまう。

仕事ならそれでもいい。要求して返される最終表現を吟味しひとつに束ね上げていく創作は、むしろ商業のど真ん中でしょう。問題は、私の関与が前提となる私のための創作です。あるいは他の方でも、自分を通し深く関与し作ったという実感がなければ成り立たない創作には共通するのかもしれません。

さらに厄介なのが、今後も生成AIの表現できる範囲や規模は拡大し、より自由になっていくだろう状況です。しかも人間の要求をより賢く誤解せずに汲み取り、求められた表現に繋げていく方面も発展していく。

私の関与なしに私の望むかもしれない表現が出てき得るという現実が、どんどん広がっていく。享受するだけならそれもありかもしれない。いずれは創作したい欲求なんぞ消し飛ばすほど、満たされ切る表現が無尽蔵に与えられる日が来るのかもしれない。でもそれはまだまだ遠い先のことで、当分何か創作し続けなきゃならない。しかし私の関与が前提なのだから、このままでは使えない。

だったら生成AIなんぞ使わなければいいのですが、ところが使いたい。

一人を超えた創作

求める表現が機械的に出力可能ということは、ひとりの人間には到底不可能な規模や品質の創作を扱える可能性がある。使いたい理由を突き詰めればこの一点です。

私はこれまでゲーム開発の分野に関わってきましたが、それは同様の可能性を一番持つのがゲームだろうと考えていたためです。プログラミングもゲームエンジンもCGも、さらに言えばデジタル技術全体も、ひとりの人間が到達できる規模の飛躍を創作にもたらすととらえ、だからこそ夢中で触れてきました。

ところが、超絶した才能を結集し途方もない予算を投入して作られるゲームや映画でも、一年も遊び続ければほとんど目新しさは失われ、愛着や郷愁に近い触れ方しかできなくなっていく、そんな規模でしかない。

この先に、AAAタイトルの数億倍の規模のゲームや、100年程度では尽きない物語を、ひとりが作り出せる未来が待っているとは考えにくい。でも究極そういうものを創作したい。

無論これは大それた夢の類であって、私のための創作が全て同じものを目指しているわけではありません。けれど夢があるならそちらを向いて、繋がるかもしれない何かに手を動かしている実感を抱いて終わりたい。しかし、ゲームの技術だけではどうも難しい。

そして現れた、機械的に創作的表現そのものを生成するという仕組みは、CGやゲームの技術では届かなかった可能性を感じるものでした。

分厚い世界を作り、最終表現を手放す

生成AIを創作に使いたい。でも自分の関与は必要で、私が作っているという納得をもたらす仕組みが必要。これが前置きです。

この矛盾した要求に対する案のひとつが「世界を作る」という試みの先にあるものです。そしてそれは「最終表現を手放す」という方針とセットで考えています。

今回の事典の形を採った作品では、最終的に収録された文章も画像も全ていわゆるポン出しのまま、何も編集を加えていません。つまり最終的に作品を構成する表現そのものへの直接的な介入を手放しています。

しかし同時に、作品を直接構成しない準備段階では、書き起こした約10万字と、生成して膨らませた約50万字のテキストを用意しました。それらを合わせて選別し、加筆修正した20万字ほどのテキスト、これが今回の記事で意図した「世界」に当たります。

生成AIを使った創作で私が望むのは、私の求める表現が私の関与の下に膨大に出力されることです。ひとつひとつの生成指示を吟味し出力を作り上げていっては、目指す膨大さには追いつきません。かと言ってAIに任せるほどに関与の実感は失われます。

であれば、私が作ったと実感でき、出力からもそれが滲むぐらい大量の前提を与えることで関与の問題を解決する。最終的な表現はその大量の前提がもたらす結果に委ねることで、膨大さの問題を解決する。こういう方法もあり得るのではないか。

最終表現を手放すという点が乱暴に感じられるとしたら、それはCGやゲームにどっぷり浸った私の感覚がもたらすものかもしれません。これらの技術は作品の最終的な表現をある程度人間から切り離すことで、大きな効率化をもたらし発展してきました。

2DCGであれば、ツールやフィルタとして限られた制御点に隠蔽された処理の結果を、さまざまな合成を経た上CMSを通して目にする。

3Dであればそれらに加え、シェーダーという小さなプログラムとレンダリングエンジンというアルゴリズムの塊が、定義した形や質感を求める妥当な姿に描き出す。

ゲームはもっと最終的な表現に機械の関与が大きく、創作された2D・3D・音声・テキスト・パラメータやシーケンスなど多様な表現を、プログラムとアルゴリズムを通し、プレイヤーの入力に応えて返す。

もっと技術を遡って、写真や電子音はどうか。どこまで人間が関与しているのか。墨流しやサンプリングはどうか。最終表現自体への関与の度合いの大小が、創作の実感を損ねるのか。

最終的な体験がプレイヤーに大きく委ねられるゲームですら、創作の実感は伴います。作品の最終的な表現そのものに、豊富な機械や偶然の関与があってったとしても、作っている実感は直ちに損なわれるわけではないのです。それは結果をもたらす手綱を人間が握り、結果の範囲を良しと認め続ける全体をもって創作と認識しているからではないでしょうか。

だからといって生成AIがそれらと同じだという話ではありません。表現への関与の度合いは全く異なりますし、プロンプトのような今の生成AIに一般的な入力は、手綱として機能するだけの太さがありません。しかし、最終的な表現そのものを作り出すことが創作の絶対的な前提とならないのではないか、という問いはあってもよさそうです。

なおこの問いは、創作の実感という主観内の形成に関するものであって、著作物性という社会的な扱いを直接左右するものではありません。「私が作った」と自分に語れる線引きとその変化の話です。著作物的には作品の最終表現全てがパブリックドメインになりかねない乱暴さを含んでいます。

さて、創作的表現そのものが機械的に生成されても有効な創作とは、生成される表現の手綱を握りつつ、その表現そのものは機械に委ねる、となるのではないか。では何が手綱かというと、自分が十分に関与した分厚い世界が、その一つになりうるのではないか。

出力以上の入力

生成AIの大きな特徴のひとつは、極端に大きな入出力比です。単語ひとつで文章も画像も動画も音楽も、入力したよりはるかに大量の情報を出力します。学習された膨大な表現が、小さな呼び水によって導出されるこの仕組みは、今後ますます巨大化していくでしょう。

分厚い世界を用意するのは、この逆転を目指すものでもあります。出力されるより多くの情報を用意し、入力として与える。モデルの持つ広大な空間に比べればちっぽけですが、出力させる創作的な表現を構成する情報より、かなり大きなものを目指す。

逆転といっても、入力した情報だけで出力が構成されるわけではなく、それらは出力を規定する表現の可能空間を構成し、創発的に絡み合いながら生成が行われる。入出力が大きく逆転すると何が起きるのか。少なくとも出力される表現全体に、創作者の意図が十分寄与する可能性が生まれる筈です。

当然ですが現状のRAGやロングコンテキストでは明らかに性能不足です。与えた情報が出力の大部分に適切に影響し、また今より遥かに大量の情報を扱えられなければなりません。しかしこれらの技術の発展は、より大きくより確かに、モデル外から与えられた情報を考慮して出力を行うという、求める方を向いています。であれば、いずれは私の言う世界を用いた創作も現実的になるのではないでしょうか。

個人の、しかも感覚的なものに過ぎませんが、日本語換算で1億字ぐらいにみっちりと世界を詰め、それが適切に参照されるなら、かなりの規模の出力まで十分に意図の反映された最終表現が可能になるのではないかと感じています。

分厚い世界の実験

こうした私の考えている手法はまだ想像上のものでしかありません。そもそも少し先、きっとこうなるであろう技術の発展を見越したものであり、想定と現実のズレが起きるたび修正しながら妄想を広げている段階です。

とはいえ現時点である程度手応えがなければ他の方法を探すべきで、冒頭の作品やこの記事の前半の解説はそうした確認でもあります。しかしそれらは小規模なテストで、提出した事典も実働40時間で作り上げるという縛りをかけて取り組んでいます。

もっと大規模な試作で手法の有効性の確認を繰り返す必要があり、幾つかを同時に進めています。ひとつは冒頭の事典『Qveira』の正式版というか、丹念に時間をかけ、整合性を保ちつつ規模と拡がりを持たせたもの。もうひとつは架空の小さな村をテーマにしたもの。他に2つ、特定の物語を想定したものがあります。

小さな島の黒布村

「黒布島」と名付けた小さな村をテーマにした世界は、ある程度形になったらパブリックドメインかCC0ライセンスで配布しようと考えています。

実在する自治体を参考にしたこの架空の村は、地理や歴史、経済、政治、住民ひとりひとりについて詳しく設定していく予定です。しかしかなり時間は必要で、これもAIの発展を頼みにしながら進めています。

どういった設定を世界を積み上げているのか、その例として人物をひとり紹介します。

赤迫 健太郎(45)

彼は島の最も古くから続く家系のひとつ赤迫家の一員で、現当主である浩二(73)の次男、赤迫健太郎です。村で唯一の水産加工会社の専務である彼に与えられた設定は現在約28,000字。この画像はそれらの設定を元にプロンプトを生成し、そこからGoogleのImage3で生成したものです。

設定全文は長いので別の記事として掲載します。

外見、身体、経歴、経験、内面、社会、秘密といった3万字弱の設定は、これでもまだまだ足りません。作業上冗長な表現が多いためもっと圧縮した上で、ひとりの設定に10万字は欲しいと考えています。

設定の対象は村を構成する可能な限りの要素なので膨大です。現在の設定では村の人口は287人で、各10万字。これに歴史や地区、集団、出来事や経済の情報を同程度の規模で設定していくと、1億字でもあっという間に達してしまいます。

設定の爆発

ひとりに28,000字分を設定する作業はそれほど困難ではありません。当然LLMをふんだんに使っていますが、局所的な合理性を満たしながら、現実的な世界の一要素として捏ね上げるだけです。

問題は同程度の他の設定がひとつ増えるだけで、設定の爆発が生じる点にあります。あらゆる点が影響し合い矛盾し合う。ふたつの設定が膨大な見えない設定を生む。その創発こそが目指す世界ではありますが、現実的にひとりの人間が扱える規模を簡単に超えてしまいます。

今のLLMなどを使ってもこの問題にしっかりした対処は出来ず、その場しのぎの手当をしながら、多くの矛盾含みでとにかく進めている状況です。しかし2年半以前を考えれば、先の2年半にある程度解決の芽は出てくるのではと、楽観的に遊びながら待っています。

文字で表されない世界

上で挙げた画像は文字の設定から生成したプロンプトによるものですが、画像自体も設定の一部です。この世界の場合、特定の人物のある瞬間の姿は画像として設定するのが良いと考えているためです。

人物だけでなく村の景色や地域、産物や祭りなども同様で、視覚表現の固定が重要な要素は、まずは画像での設定を行う想定です。

今年になって画像生成モデルの巨大化が、非常に少ない枚数でのLoRAの効果を大きく向上させました。また事前のLoRA作成を必要としない技術も色々と登場しています。

重要なのは、そうした技術の変化にあまり左右されないプリミティブな表現で設定を積み上げることでしょう。結局これまでと変わらず、基本が文字で視覚は画像で、いわゆるコンテンツ的なデータを蓄積していきます。

音声や動画、3Dなども扱う世界によっては重要で、黒布村の場合は村歌や祭りの掛け声の音声などは、出力される表現に大きく寄与しそうです。地形については3Dで扱えるとより世界に整合性をもたらせますし、現実の自治体が提供するオープンデータの元になるような、統計的な数値もあると面白そうです。

文体や質感など表現を規定する、軸の異なる設定も世界の一部です。敢えてそうした指定はしない事も、特定の表現を企図して予め与えるのも自由で、それはどういう世界を構築したいのか、そのデザイン次第。

関与をもたらす創発の柱を立てる

大量の設定を与える理由は主に2つで、ひとつは世界を壊す表現の出力を阻む、空間や枠を規定するため。最終表現を手放す以上、創作した世界にふさわしくない表現の混入を防ぐ手立ては重要です。

もうひとつは、無数の設定が絡み合って解釈されることで生じる創発が、表現に与える密度と関与をもたらすため。設定を行う私は、その段階で自己内にひとつひとつの設定がもたらす創発を無意識に描きながら判断をするはずです。それが編み込まれた世界は、AIによって結果は違えどやはり創発的な表現を生成させる。だからこそ、そこに私の関与を見出せる。

世界そのものの作品化や流通、多様な表現様式への展開と没入、マージや塗替え、データフォーマットなど、分厚い世界の話題はまだたくさんありますが、ここまでとします。

生成と創作の経路

生成AIはどんどん拡大しています。発展の方向は予想していたとは、その速度は異常です。たった2年半で動画や音声や文章が、当時語っても笑われたであろう規模や精度で生成できるようになっています。

10年後はどうでしょう。この2年半があまりに異常な密度だったとしても、すでに数万字の一応読める小説が生成され、動画は次々と新しいモデルが競い合い、音楽はプロが驚愕する品質が成立しはじめています。それを土台にさらに2年経って、5年経って、10年経ったらどんな状況でしょう?

創作は膨れる

創作という行為の有り様は、時代と共にずっと拡大してきました。身体から始まった人間の表現は、その効率を大きく向上させる新しい技術が生まれるたびに拡張され、創作もそれを噛み砕きながら変容してきました。

現代に至るまでに生じてきた強い汎用表現技術は、社会的な課題があっても一貫して生き残っています。まずたやすく大量に、そして複雑な表現が可能となる術を捨てられないのは、人間の基本的な性質のひとつではないでしょうか。

現時点から見ると、生成AIが既存の技術と大きく異なって見えるのは確かです。既存表現の特徴の蓄積と新たな表現の導出という仕組みは、関与の比から見ても明らかに異物です。しかし創作という観念が膨張してきた流れを辿れば、同じような異物もいつの間にか受容され、今の当たり前を構成しています。

大きな衝突や迂回を経たとしても、やがて創作的表現の機械的直接的な出力は普及する。それは誰しも当たり前に、たとえば今写真を撮るのと変わらない手軽さで行うものになる。

けれど、自身に創作的実感の伴わない利用までもが創作として扱われることは考えにくいでしょう。プロンプトひとつで「私が創作しました」と心から言える人がもしいたとしても、社会的にそう扱わない合意が自然に形成されていくのは、これまでと同様の筈です。いずれ「あなたは何を表現した?」と問い掛けられ、問いに耐えない出力は出力止まりとして扱われるでしょう。

今はまだ品質も手法も変化が激しすぎ、変化そのものが注目されています。しかしそうした新しい方法で創作的表現が生み出せるという現実が社会に浸透していくほど、機械が出してくれるこの創作風の何かを、私の創作とするにはどうする?という問いは盛んになっていくでのではないでしょうか。今日では疑いなく創作だとされる、比較的新しい方法がこれまで経てきたように、人間が手綱をどう握るのかが問われるようになっていくのだと思います。

そうした問いがあちこちから出てくる頃には、創作の概念はすでに次の膨らみ寸前なのだと思います。それは既存の否定でなく膨張であって、これまでの創作は残る。身体性の高いものから機械に強く依存したものまで、変わらずに内に残したまま、より広いところまで手を伸ばす。

そうして生成された表現もまた、人間の創作の一角になり得るのだという薄い合意が生まれたとしたなら、何が創作と言える生成で、何が違うのか、その境が問われるようになるでしょう。

たくさんの経路

私は私の必要から、分厚い世界を構築し、最終表現を手放すという手法を模索しています。それは機械的だからこそ可能な人間の範疇を超えた規模と品質を取り扱いたいという需要から来るものです。

そもそも実現してすらいない技術を想定して手法を探るのは奇妙な話ですが、極端な変化の激しい技術の進展を追いかけながら楽しむという点では、非常に良い向き合い方かもしれません。

何かを創作したいという人にはそれぞれ必要があって、それは生成AIを使わないという結論につながるものかもしれません。けれどAIも使った創作に必要を見出すのなら、きっとそれぞれの経路があるはずです。

これまで縁遠かったイベントに参加したのは、多様な経路がたくさん見られるかもしれないという期待もあってのことでした。

作り方の解説含め、本来プレゼンで伝えるべき内容でしたが3分には到底収まらず、補足も兼ねた長いあとがきとなりました。面白いと感じていただけたら、ぜひXなりでお声がけください。


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