『大いなる人生のために』
今日が昨日になり、明日が今日に変わっていく。それが繰り返し繰り返し、日々は矢の飛ぶ如く過ぎて行く。
朝起きて顔を洗い、ご飯を食べて、服を着替えて家を出る。しばらく電車に揺られると会社の最寄り駅に着く。
改札に群れる人の波。
毎日はこんなにも慌ただしく過ぎて行く。
仕事場に着くと、いつもの見慣れた面々。楽しく話すこともあるが基本的には仕事だから、僕自身は一生懸命、歯車になるようがんばる。
良いことも悪いこともあるが仕事は仕事だ。うちの大将を勝たせねばならん。
そして、家に帰ると風呂に入り、家族と少しの時間、食卓を囲んで団欒する。
子どもの頃の食卓は、僕の向かいに母が座りその隣に父、父の向かい、僕の隣に兄が座っていた。
今は父の場所に僕が座り、僕ら兄弟のいた場所に子どもたちが座っている。
不思議なものだ。妻が隣に座っている。
"僕はこの人を幸せにすると誓ったのだ"
約束は果たせているのだろうか・・・?
そんなことは、きけない。
ただ、幸せを感じてくれているなら嬉しいと思うだけである。
幼い頃は、かん高い声を上げていた子どもたちの声も、いつの間にか大人に近づいている。
悪態をつく可愛さも感じられるようになった。
子どもたちには、楽しいことをたくさんできる未来を夢見てほしい。そう思うからこそ、僕は音楽をやり続けているのだ。
いくつになっても変わらぬ夢や憧れを持つ幸せを特等席で見せてやるのだ。いささか尊大過ぎるだろうが。
『大いなる人生のために』
(了)