論文を探そう! CiNiiをこねくり回す
論文といえばCiNii。CiNiiといえば論文。
そういう風潮あると思います。
実際のところCiNiiは論文だけではないし、論文を検索できるデータベースは他にもあるということだけでも覚えて帰ってほしい。
一応、先日投稿した記事の後編にあたる。参考になる本も挙げているのでこちらも参照してくれると嬉しい。
これ単独でも問題はないので、良ければみてください。
前編と同じく最低限の使い方だけ書いていくから、よく図書館を利用する人には物足りないと思う。
CiNiiの見方使い方
画像はCiNii Articlesで検索を行って出てきた論文の詳細である。
今回はこの「人工多能性幹細胞の樹立と展望」という論文を例とする。実際にCiNiiを自分で操作しながら読んでいくとと分かりやすい思う。
まず大前提として、論文は図書館の検索画面では基本的に検索することが出来ない。
試しにこの論文のタイトルを、自分の通っている大学図書館の検索画面から検索してみるといい。たぶんこの論文が表示されることはない。
この論文は『化学と生物』という雑誌に掲載されているのだが、雑誌のタイトルで検索するとヒットするものの、論文そのものは出てこないというのが論文を探すときの面倒な点なのだ。
図書館で論文を探す際は、その論文が掲載された雑誌の名前と、それがいつ掲載されたかをまず調べなくてはならない。
なので、雑誌論文を探す際には各種論文データベースを用いる必要があって、その一つがCiNiiというわけだ。
その論文はいつどの雑誌に?
まずは画像の青枠を見ていこう。
ここは論文がどの雑誌にいつ掲載されたのかが書かれている。そのため論文を探す上で一番重要な部分になる。
上の論文の場合、
「人工多能性幹細胞の樹立と展望」は、公益社団法人 日本農芸化学会が発刊している『化学と生物』という雑誌の46巻8号531頁~538頁に掲載されているということが表記されている。
巻や号について補足する。
一般的にこうした学術雑誌というものは、保管するときに雑誌のままだと保存や閲覧が不便なので、一定期間のものをまとめて製本し、一冊の本にして保管する。これを製本雑誌と呼んでいる。
雑誌の刊行ペースはそれぞれだが、たとえば月刊誌の場合、毎年12冊刊行されることになる。製本雑誌にするときに、この12冊をひとまとめにして1巻とし、1月や2月に刊行されたものを1号2号と数えていく。
季刊誌なら4冊集めて1巻、4号まで存在することになる。
これだけ理解できれば、図書館に目当ての論文があるかどうかがわかるようになる。自分の図書館で論文を掲載している雑誌を検索してみよう。
この画像は立命館大学の図書館で『化学と生物』を検索した結果である。
紫枠を見ると巻号と書いてあるところに数字がいくつも並んでいる。これが、この図書館で保管している『化学と生物』の一覧になる。
つまり立命館では『化学と生物』の3巻は存在しているものの、1号~9号までは何らかの原因で欠号しているとか、35巻も5号だけ無いというのがわかる。
+記号は現在も継続して図書館がこの雑誌を買っていることを示している。
さて先ほどの論文は46巻8号に収録されているので、立命館にはこの論文があることが判明した。あとは置いてある場所に向かえば、論文が手に入る。
もし目当てのものが自分の図書館に無かったとしても、手に入れる方法はある。次項の赤枠と緑枠で説明する。
探す場所を広げてみる
緑枠を見てみると分かるが、いくつかリンクがおいてある。
どれもその論文を探す上で大事なものだが、ここではCiNii Booksだけ紹介する。
このCiNii Booksは論文に限らず、普通の本を含めた大学図書館の蔵書を一括で検索できるようになっている。
そのため欲しい本や、雑誌・論文がなければ、ここで検索して、ほかの大学にあるかどうか調べてみるといい。
正直なところ、自分の図書館に無い本や雑誌が欲しいなら、図書館の職員に相談した方が手っ取り早い。でも自分で調べられた方が何かと便利だと思う。
雑誌の場合こんな感じで表示されるので、先ほどと同じ要領で、自分の探している論文が掲載されている巻号を見つけてみよう。
申請すればその大学図書館に、入れてもらえたり、貴重な本なら見せてもらえたり、コピーを送ってもらえたりする。しかしその辺の処理は職員にしかできなかったりすることもあるので、やっぱり相談した方が早い。
あればラッキーオープンアクセス
赤枠はいわゆるオープンアクセスと言われるもの。
探している論文がオープンアクセスになっていれば誰でもダウウンロードすることが出来る。
機関リポジトリとかJ-STAGEのリンクがあればラッキー。
そのほかの論文データベース
確かにCiNiiで論文を探すのが一番効率的で楽なのかもしれないが、全ての論文がここに掲載されているわけではない。
そのためほかのデータベースも併用すると、より多くの情報を集めることが出来るはずだ。
基本的な使い方はどれも同じで、最終的には雑誌名と巻号を確認して自分の図書館にあるか確認すればいい。
・Google Scholar
・J-STAGE
・国立国会図書館サーチ
他にも無料・有償問わずたくさんあるが、有償データベースだと図書館が契約していないと気軽に使えないのでここでは挙げない。図書館に問い合わせてみるといい。
また国文学なら国文学研究資料館の「国文学論文目録データベース」のように専門分野に特化したデータベースもあって、大概の分野にはあると思うので調べてみよう。
終わりに
以上が論文を見つけて、それが自分の図書館なあるのかを調べるまでの過程になる。
そもそもの話としていい論文を探す方法が知りたいかもしれないが、それは地道にひとつづつ当たっていくしかない。
学術書や、教科書に載っていた論文。あるいは論文が引用している論文。といった具合に。
ただ残念なことに大概の論文は自分にとって都合のいいものではないので、根気よく読まないといけないのが辛いところ。
いろいろ偉そうに書いてきたが、わからないことがあれば図書館の職員に聞くのがやっぱり一番いい。
小難しい調べものを聞くのもよし、面白い小説がないか聞いてもいいし、今日の晩御飯をどうするかを聞いても参考になる本を必ず探し出してくれるはずだ。