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【アドラー心理学の理論】#05 仮想論:質疑応答

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。4月12日(木)から早稲田大学エクステンションセンター中野校で「アドラー心理学入門」(全8回)が開講しました。この連載では、講座の内容を同時並行でお伝えしていこうと思います。講座に参加できない方にも、その雰囲気が伝わればいいなと思っています。

前回は5つの基本前提の1つ目として仮想論について取り上げました。「仮想論」とは、「私たちは自分の好きなように世界を見ている」ということです。言い換えれば、「人はその人にとって正しいと思われるような方法で世界を見ている」ということになります。これをファイヒンガーにならって「かのように理解 (as-if understanding) 」と呼びます。私たちはすべての物事をそれが「正しいものであるかのように」理解しています。そしてその「かのように理解(認知)」に従って世界を解釈し、行動しているのです。

この仮想論に関連する質問をもらいましたので、答えていきましょう。

[Q01] すぐ、他の人が私をばかにしているとか嫌っていると思ってしまうのですが、信念をかえて、まわりの人はやさしいとか素敵とか思えるような方法はありますか。つまり、信念って都合がいいようにかえられるのでしょうか。

「私のまわりの人は私をバカにしている」かのように理解している人は、まわりの人がどんな行動をしても、それを「私をバカにしている」かのような行動として捉えてしまうのですね。そうするとますます「まわりの人は私をバカにしている」という信念を強めるというサイクルに入ってしまい、そこから抜け出すことができません。

この信念を変えるための方法は次のステップです。
(1) 自分の信念はあくまでも「仮のもの」だと捉えること。
(2) 自分の信念は少しずつ変えられることを信じること。
(3) 変えるための材料を毎日観察して少しずつ集めること。
(4) そうして自分が楽に生きられる信念に少しずつ変えていくこと。

[Q02] 「見たいように見える」「なりたいと思っているようになっていく」は、「信念の強さに比例する」と解釈してよいですか? 「信念の強さ」がその人の行動のゆるぎなさにつながるとすれば、他者の存在はどのように影響するのでしょうか。

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