7. 現場の観察から要因/変数を見つけだす
前回は、自分の現場の中で「この問題は何なのか」という意識を持つことで「What型の研究」をスタートさせ、それを一般化しようとすると「法則定立的」な研究に、その一回性の中の構造を見ようとすると「個性記述的」な研究に進むということを書きました。もちろんこの両者の視点を持って研究を進めることもできます。
さて「これは一体どういう問題/現象なのか」というWhat型の研究の視点を持って、現場を観察していくと、その現象を起こしている要因が徐々に透けて見えてきます。前々回に「グループワークにおけるフリーライダー」問題を取り上げました。そこで働いている要因にはどんなものがあるでしょうか。
ある人たちは、もともと「ただ乗りしやすい」性質を持っているのかもしれません。
これは、個人の性質/傾向の要因です。あるいは、そうした人たちの「授業に対する考え方」なのかもしれません。もし「授業ではできるだけ楽をしてやり過ごすのが良い」と考えているのであれば、グループワークにおいてもそれに即した行動をとるでしょう。あるいは、そもそも「授業に対するやる気」があまりないのかもしれません。とすればグループワークでもまた消極的になるでしょう。これを「動機づけ」と呼ぶことがあります。
このような「個人の要因」以外にも要因はあります。
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おとなの研究を始めよう
普通の大人が「研究」のようなことを始めると、大人の人生は楽しく、意味のあるものになるかもしれない。そういう人たちが増えていくと、社会は全体…
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