4-お勧めの本19

【本】中村文子、ボブ・パイク『研修アクティビティハンドブック』:研修での活動のレパートリーを広げる

木曜日はお勧めの本を紹介しています。

今回は、中村文子、ボブ・パイク『研修アクティビティハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター, 2019)を取り上げます。

2017年にnoteで紹介した『講師・インストラクターハンドブック』とそれに続く『研修デザインハンドブック』さらにそれに続く一冊です。

■要約

研修の目的が最新の情報を得ることや整理された枠組みを獲得することであれば、レクチャー中心でも良い。しかし一般的には、適切なアクティビティ(活動)を組み込んだ研修の方が効果的である。それは学んだことを自分の言葉にして出してもらったり、体験そのものが楽しいものであることが学習の効果を高め、のちの行動変容につながる確率が上がるからである。この本では研修の中で使えるアクティビティをオープニング、クロージング、リビジット(繰り返し)、エナジャイザー(研修内容に関係なく脳を活性化する活動)、その他の場面に分けて紹介している。

■ポイント

オープニングで使うアクティビティは、ただ注意を引くだけでなく、研修内容と関連があるということがポイントである。「学びたいこと投票」では、用意したトピックに参加者に学びたいトピックにシールを貼ってもらって投票する。あとで集計して関心の度合いを確認し、その日の内容と関連づける。

クロージングのアクティビティでは、学んだことをまとめ、実行に移すことを促す。「始めること、やめること、続けること」ではそれぞれのことをワークシートに書き留め、始めることばかりでなく、やめることもリストアップすることで行動変容を促す。

人は一度聞いただけでは記憶に定着できない。ある程度(20分)時間が経ったら、それまでの内容をリビジットする(振り返る)。「カードクイズ」では、参加者自身にそれまで学んだことを題材にクイズを作ってもらう。「パワーフレーズ」では、研修中に「これはいい」「覚えておきたい」と思った名言を一箇所に書き出しておくことで、振り返ってもらう。

エナジャイザーは研修内容に関係なく、頭あるいは体をリフレッシュする。「終わったら立つ」では、何らかの活動(演習問題を解く、ワークシートを埋めるなど)をして、終わったら立ち上がるというもの。これだけでもリフレッシュになる。

(付記)著者より献本いただきました。ありがとうございます。

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