卒業論文と修士論文の本当の意味
2017年2月4日
(土曜日は昔のブログ記事を振り返って書いています)
卒論発表会と修論発表会がぶじ終わると、論文投稿モードに移行する。もちろんすべての卒論・修論が論文投稿のレベルにあるわけではないけれども、修士論文はすべて投稿を目指したいし、卒業論文の中からは良いものは投稿したい。
現状では、卒業論文は非公開であるし、修士論文は公開されるとはいえ、引用はしにくい。したがって、ジャーナルの論文として公刊されるのが一番いい。そうすれば、誰もが引用できる文献になる。そこまでやってはじめて「ひとつの研究をしました」と言える。
指導する側も、卒論・修論の中から何本が投稿論文として出せるかというところが勝負なのだ。
卒業論文、修士論文の第一の意味は、それが大学学士課程と修士課程のプロジェクト学習になっているということだろう。卒論や修論を完成させることによって次のようなコンピテンシーを獲得することになる。
・学術論文や学術的な著作をたくさん読み、理解し、批判的に検討する。
・研究で明らかにすべきことを決め、計画し、実行する。
・量的なデータを分析し、読み取り、モデルを作り、考察する。
・質的なデータを分析し、読み取り、モデルを作り、考察する。
・実証データを基にして議論を構成し、主張する。
・論理的で分かりやすく説得的な文章を書く。
・論理的で分かりやすく説得的なプレゼンテーションをする。
卒論・修論を提出することによって学生がこれらのコンピテンシーを獲得したことの証明になる。
しかし、本当の意味はそれだけではない。その成果を論文としてまとめ、社会に公開するというところまでいかなくては意味がないのだ。論文として学会誌に収録されて、社会に公開され、誰もが研究として引用できるようになって初めて、ひとつの研究が完結したと言える。そのことによってあなたは社会に貢献したのだ。
だからすべての卒論生、修論生はこのゴールまでを目指して欲しいと思う。
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