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【道具と工夫】(4) 「大福帳」を使って学生とコミュニケーションする

2024年10月26日(土)

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「大福帳」というのは、教員と学生の間でやりとりするコミュニケーション・カードです。三重大学の織田揮準氏が考案しました。A4の厚紙の両面に次のような枠を印刷して大福帳とします。

これを見るとわかるように、各回の「言いたいこと。聞きたいこと。あなたからの伝言板。」と記された左側の欄には、受講生が授業終了時に書き込みます。時間としては5〜10分程度を見込んでおくといいでしょう。書き込みが終わったら教員は大福帳を回収します。そして、次回の授業までに「あなたへの伝言板」と記された右側の欄に返事やコメントを書き込んでおきます。

このように大福帳を学生と教員の間でやりとりすることによって、授業の内容をめぐってコミュニケーションすることができます。その効果について、織田先生は次のようにまとめています。

授業出席促進効果・欠席防止効果

教員からのメッセージが楽しみなので出席を促進する。

積極的な受講態度形成効果

学生が毎回授業についてのコメントを書くので、積極的な受講態度が形成される。

信頼関係形成効果

授業についての態度や情熱を学生と教員で相互に伝達することによって信頼関係を形成する。

授業内容の理解促進と学習定着効果

授業の感想などを文章化することにより内容のふりかえりが行われる。

自己努力・自己変容過程の確認効果

大福帳は授業記録の缶詰となり、読み返すことにより自己変容・自己成長を確認できる。

授業内容充実効果

教員は学生からのコメントに励まされて、より魅力的な授業にするための努力を工夫を維持する。

織田揮準 (1998) 大福帳による授業改善と大福帳効果, 日本科学教育学会年会論文集, v22, p85-86

大福帳をまだ使ったことがない人は、ぜひ自分の授業で使ってみることをお勧めします。下に大福帳のテンプレートを公開しておきます。これをそのまま使ってもいいですし、自分でアレンジを加えてみてもいいでしょう。A4判の厚紙に両面印刷すれば、すぐに使うことができます。

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