【本】信原幸弘『情動の哲学入門 価値・道徳・生きる意味』:情動を価値の知覚としてみる
木曜日はお勧めの本を紹介しています。今回はこの本を取り上げます。
信原幸弘『情動の哲学入門 価値・道徳・生きる意味』(勁草書房, 2017)
■要約
情動は意思決定に必要である。理性だけではいつまでも意思決定できない。しかし、情動能力にも限界があるので、そのときは理性による制御が必要となる。主役は知覚と情動であり、理性は補佐役である。感覚は物事の事実的性質を捉える。そして情動は物事の価値的性質を捉え「感じる」。この見方を情動の身体的感受説と呼ぶ。
■ポイント
世界の事実的なあり方については知覚がそれを感受する。同様に、世界の価値的なあり方については情動がそれを感受する。そのイヌが危険であることは、知識を用いるまでもなく、恐怖によってイヌの危険さを感受し、それに基づいてそのイヌが危険であると判断される。
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