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【研究】現代における人生の課題としての仕事

金曜日は研究の話題で書いています。

2025年2月14日(金)

今回は、『個人心理学ジャーナル』2014年所収の「現代における人生の課題としての仕事」という論文を紹介します。この論文は、仕事を個人のパフォーマンスとしてだけではなく「人生の課題(ライフタスク)」として捉えること、そこには同僚による「勇気づけ」が重要であることを主張しています。

Work as a Life Task in Contemporary Times
Eva Dreikurs Ferguson
The Journal of Individual Psychology, Volume 70, Number 3, Fall 2014,
pp. 245-250

仕事に対するモチベーションは仕事の成果によって上下する。自己効力感と仕事のパフォーマンスは相互に影響しあっている。成果が出れば、自己効力感は増し、モチベーションも増大するが、逆に成果が出なかったり、失敗すれば自己効力感は下がり、モチベーションも下がる。

仕事を安定的にこなしていくためには、成果に依存した自己効力感ではなく、仕事を人生の課題(ライフタスク)のひとつとして捉え、より大きな共同体への貢献として捉えることが必要である。

仕事における安定した自己概念を確立するためには「勇気づけ」が重要である。勇気づけは単なる励ましとは異なり、個人の目標、信念、願望と背景に関連するものであるので、その人を単なる労働者として見るのではなく、個人として捉えることが必要となる。

こうした勇気づけが行われるためには、その職場に「楽観主義」の文化があることが必要である。楽観主義は仕事を達成できるという信念を持つために必要なのだ。

過去数世紀は仕事が人間関係よりもタスクそのものに関係したものであったため、タスク遂行能力が重視されてきた。しかし、現代は技術の進展によりタスク遂行能力そのものよりも、職場における感情と対人関係の側面の方が重要となった。


なお、著者のEva Dreikurs Fergusonは動機づけに関する次の本を出しています。

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