【書く技術】06 ミントのS-C-Qモデルで文章の最初の導入部を書く(実例)
水曜日は「研究すること」のトピックで書いています。研究を含め、あらゆる活動のアウトプットをするための基礎スキル「書く技術」について書きます。4月18日(木)に技術評論社から出された拙著『伝わる文章を書く技術』もご参照ください。
前回は、「まえがき」を書くためのモデルとして、ミントのS-C-Qモデルを紹介しました。これは以下のような構成でストーリーを書くことです。
↓ 状況(Situation):主題に対して確認されている事実
↓ 焦点化(Complication):その次に起こる問いへとつながる事柄
↓ 問い(Question):問い(その回答は続く本文で書いていく)
今回は、S-C-Qモデルを使った文章の例を取り上げて、説明していきましょう。取り上げる例は「グループワークについての態度はグループワーク中心の授業後にどう変化するか」という研究会での発表原稿の最初の部分です。
【タイトル】
グループワークについての態度はグループワーク中心の授業後にどう変化するか
まず最初にテーマを導入します。テーマは「授業におけるグループワーク」です。
【テーマの導入】
本報告では、「学習者が小さなグループにおいて行う学習活動」を「グループワーク」と呼ぶ。グループワークは授業を活性化するために効果的な方法である。
次に、授業におけるグループワークについて確認されている事実を述べます。「グループワークの成否は共通の目標に向かって貢献できるかどうかにかかっており、ただ乗りをしようとする人がいるとうまくいかない」という研究を引用することによって、グループワークに関する研究の状況について書きます。
【(S) 状況の提示】
しかし、その成否は、グループのメンバーが責任を持って協力しあい、共通の目標に向かって貢献できるかどうかにかかっている。メンバーの中に他のメンバーの努力に「ただ乗り」して、その成果だけを享受しようとする人がいれば、グループの雰囲気は悪くなり、うまくいかないだろう(高橋 2008)。
状況の提示で述べたことは、一般的で概略的なことです。その中から、トピックを焦点化・詳細化していきます。ここでは、グループワークに関する態度とスキルとが相互作用するだろうというようなアイデアを書いています。このようにして、トピックを徐々に狭めていき、焦点化していきます。
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