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(120) エフィカシー:「私はできる」という信念はどう作られるか

2021年3月4日(木)

前回「(016) 『こころの資本』が書かれたことの意味」に引き続き、エクステンション講座の内容を振り返っています。

ルーサンス他『こころの資本:心理的資本とその展開』(中央経済社, 2020)では、心理的資本を4つの能力として捉えています。それは、Hope(達成への意志と経路)、Efficacy(効力感と自信)、Resilience(立ち直し乗り越える力)、Optimism(現実的で柔軟な楽観主義)です。この4つの頭文字をとって「HERO」とすると覚えやすいです。

・エフィカシーについてわかっていること

その1つ目のエフィカシー(効力感と自信)を取り上げましょう。エフィカシーとは簡単には「私はできる」という確信です。エフィカシーについてこれまでわかっていることは次のようなことです。

全般的に「私はできる」という感覚を持っている人はそう多くないでしょう。ある領域のエフィカシーが高くても別の領域ではそれほどではないことがあります。エフィカシーの高い領域というのは、自分がその領域で実践することによって習熟しているということです。逆にいえば、エフィカシーの高くない領域というのは、まだ経験が浅いということを示しています。

一方で、自信のある領域でもまだうまくできないタスクがあるのは普通のことであり、その意味でエフィカシーは常に改善の余地があります。また、エフィカシーは周りの人たちから影響を受けます。他者から良い評価を受けることはエフィカシーを高めますし、周りの人から信じてもらうことで自信がわいてくることもあります。エフィカシーは、それまでの実践による実績だけではなく、そのさきに成功するための手段を持っているかどうかによって変わってくるでしょう。

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・単に成功することがエフィカシーを決めるわけではない

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