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ちはるのファーストコンタクト

ファーストコンタクトは相互理解への第一歩。このマガジンでは、私が考えていることの第一歩をできるだけそのままの形で公開していきたいと思います。話題は、アドラー心理学、教える技術、研…
毎週月曜と金曜にブログを書いています。それ以外の曜日では、過去記事の切り抜き、質問受け付け、本の紹…
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#感情

【アドラー教科書】(41) 怒り感情の目的

2025年2月4日(火) 第2部 感情と信念第5章 感情のしくみと目的5.2 怒り感情の目的 私たちは自分の一部を「道具」として使います。たとえば、「頭(脳)を使う」「手を使う」と普通に言いますし、「心を使う」という言い方もまったく不自然ではありません。しかし、感情については「感情を使う」というよりは「感情に支配される」という表現の方が自然です。ただし最近では「感情労働」という名称で、接客業や医療、看護、介護職など対人の業務において、「感情を使う」業務であるためのストレス

【アドラー教科書】(40) 感情は行動の触媒

2025年1月28日(火) 第2部 感情と信念第5章 感情のしくみと目的5.1 感情は行動の触媒 アドラー心理学における感情の位置づけは独自のものがあります。私たちはよく「怒りでかっとなって、怒りに自分が支配されてしまった」という表現を使います。つまり「怒り感情が自分を支配した/所有した」ということです。このような考え方を、所有の心理学 (psychology of possession) と呼びます。 一方、アドラー心理学ではこの考え方を取りません。そうではなく、個人

【アドラー教科書】(39) 第2部 感情と信念

2025年1月21日(火) 第2部 感情と信念ここから「第2部 感情と信念」に入ります。第2部では、感情と信念について扱います。 感情は私たちが毎日の生活の中で、その時々に湧き出てくるものです。感情があるから私たちは「生きている」という感じを持つことができます。うれしい、楽しいというようなポジティブな感情も、また悲しい、ムカつくというようなネガティブな感情も、その双方が特定の状況の中で湧いてきます。もし、毎日がまったく感情のない生活であったとしたら、私たちは「生きている」

【研究】行動経済学とアドラー心理学における感情の取り扱いの比較

2024年10月25日(金) 2024年10月11-13日に開催された第41回日本アドラー心理学会総会学術集会の中で30分の演題発表をしました。 タイトルは「行動経済学とアドラー心理学における感情の取り扱いの比較」としました。アドラー心理学における感情の取り扱いはユニークで、しかも自分自身の感情を捉え直すのにとても役に立つ考え方です。この発表では、アドラー心理学の感情の考え方を、行動経済学(ここではカーネマン)の感情のモデルと比較することによってそのユニークさを検討しよう

【アドラー教科書】(3) 教科書とコースの構成を考える

2024年4月30日(火) 前回は、「アドラー自身の著作から理論の全体を探る」と題して、アドラーの代表作と言える『生きるために大切なこと』(The Science of Living, 1928, 桜田直美訳, 2016, 方丈社)の構成を見てみました。 そこに登場する重要な概念を次のようにまとめました。 アドラー心理学のキー概念 劣等感 その変形としての劣等コンプレックス その変形としての優等コンプレックス ライフスタイル その類型 それを知るための幼少期

【本】マーク・マンソン『その「決断」がすべてを解決する』:感情からスタートして自分の価値観を理解する

2023年6月7日(水) 2019年5月9日 今回は、前回取り上げたマーク・マンソン『その「決断」がすべてを解決する』(三笠書房, 2018)をもう一度取り上げます。 この本には図版がほとんどありません。すべて文章で書かれている中で、唯一の図版がこれです。「自己認識のたまねぎ」。これはとても有用な考え方でもありますし、同時にアドラー心理学に通じるところがあります。

【本】カシュダン、ビスワス=ディーナー『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』:どんな心理状態もすべてよいとする見方

2023年3月1日(水) 2018年12月20日 今回は、カシュダン、ビスワス=ディーナー『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』(草思社, 2015)を取り上げます。 要約怒りや恥ずかしさといったネガティブな感情も意味がある。こうした感情は自分にとって大切なものを守るための行動を引き起こすために有用である。どんな心理状態もすべてよいと考えて、ポジティブ感情もネガティブ感情も受け入れて活用できる人がもっとも健全である。この状態をホールネス(全体性)と呼ぶ。ホールネスの状態になれ

【本】R. T. ポッターエフロン・P. S. ポッターエフロン『アンガーマネジメント11の方法』:多様な怒りを上手に解消する方法

2022年11月16日(水) 2018年6月28日 今回はこの本を取り上げます。 R. T. ポッターエフロン・P. S. ポッターエフロン『アンガーマネジメント11の方法』(金剛出版, 2016) 要約怒りは大切な感情であり、目的がある。怒りの目的とは「何かが問題であるとあなたに伝えること」と「その何かを変えようとする活力をあなた与えること」だ。この意味で怒りにはネガティブな側面と同様にポジティブな側面がある。この本は、11に分類される怒りのスタイルを大きく3つ(隠

【切抜】収納グッズを買わない/なぜ悲しみは必要か/優れた教材も使われなければ価値はない

2022年10月18日(火) 2018年5月8日 収納グッズを買わない。収納グッズを買わないというコツがまず最初に提案されている。何をとっておき、それをどこにしまっておくのかを考えたあとで、収納グッズを買いに行こうということだ。無印の収納グッズが好きな私にとっては厳しいアドバイスだけれども、心しておこう。

(プレゼント20) マーク・マンソン『その「決断」がすべてを解決する』の紹介記事2本

「ちはるのファーストコンタクト」をお読みいただき、ありがとうございます。購読者が増えるたびにすでに書いた記事をプレゼントしています。 今回のプレゼント記事は、2019年のマーク・マンソン『その「決断」がすべてを解決する』という本の紹介記事2本です。この本はアドラー心理学との一致点が多くて、かなり感動しました(ですので、2本の紹介記事を書いたのです)。ではどうぞ。 【本】マーク・マンソン『その「決断」がすべてを解決する』:いくつもの点でアドラー心理学に合致する 【本】マー

【アドラーオンライン】20 感情は行動の触媒

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。しばらくアドラーオンラインの内容で書いています。ビデオと質疑応答で学ぶ「アドラーオンライン(note版)」もお試しください。現在ここで連載しているアドラー心理学の記事もまとめて読むことができます。 前回は、相手との関係がうまくいっているかどうかを測るには、感情を調べてみるとよいことをいいました。もし、怒り、悲しみ、うんざりのような切り離す感情が湧いてくるときは、何かがうまくいっていません。 アドラー心理学における感情の位置づ

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【アドラーオンライン】19 相手との関係がうまくいっているかどうかを測るには感情を調べてみる

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。しばらくアドラーオンラインの内容で書いています。ビデオと質疑応答で学ぶ「アドラーオンライン(note版)」もお試しください。現在ここで連載しているアドラー心理学の記事もまとめて読むことができます。 前回まで、所属について取り上げました。所属とはある共同体に自分の居場所がある状態です。私たちは生まれてから死ぬまで所属を求める存在です。 今回から「信頼」を取り上げたいと思います。信頼とは相手を信じ、任せることができることです。も

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【本】マーク・マンソン『その「決断」がすべてを解決する』:感情からスタートして自分の価値観を理解する

木曜日はお勧めの本を紹介しています。 今回は、前回取り上げたマーク・マンソン『その「決断」がすべてを解決する』(三笠書房, 2018)をもう一度取り上げます。 この本には図版がほとんどありません。すべて文章で書かれている中で、唯一の図版がこれです。「自己認識のたまねぎ」。これはとても有用な考え方でもありますし、同時にアドラー心理学に通じるところがあります。 私たちはその瞬間にいろいろな感情がわいてきます。「幸せ」「ウキウキ」から「悲しい」「なんかイライラする」「不機嫌

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【アドラー心理学の実践】#13 “感情”についての質疑応答

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。10月4日(木)から始まった早稲田大学エクステンションセンター中野校での「アドラー心理学実践講座」(全8回)が終了しました。この連載では、この講座の内容をお伝えしています。講座に参加できなかった方にも、その雰囲気が伝わればいいなと思っています。 今回は、”感情” に関連した質疑を取り上げます。 [Q1] 行動や言動そのものが相手に認められないと、感情的になったりしますが、自らが抑制しないと気持ちが収まらないのではと思ってしま

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