JapEn 17th 参加資格について ①

この投稿はペンスピナー向けです。

2021年9月20日、JapEn 17thの参加資格について、JEB公式アカウントから以下のようなアナウンスがありました。

【おしらせ】

JapEn17thの動画募集要項にありました、

「■参加資格
JapEn Boardにアカウントを持つ日本人のペンスピナー。」

上記について、今作では日本人の定義を
”日本国籍を所有する者”
としていましたが

以下のように改めることとします。

続く
”「日本で出生」、「両親か祖父母の1人が日本で出生」あるいは「5年以上継続して日本に居住」のいずれかの条件を満たす者”

とします。

提出期限は残すころ一週間となりました。
着々と動画が集まってきております。
皆様の動画お待ちしております。

#JapEn17th  制作委員会

(https://twitter.com/japen_board/status/1439796630786494471?s=19)

これについて、こうなった経緯や私の考えを書く真面目な投稿です。
私はJapEnの運営・制作には全く関わっていない個人です。

以下本文

これを投稿する理由

問題意識の共有と、この投稿が議論のきっかけになれば、改善の種になればという考えから投稿します。
JapEn 17thの参加資格の設定方法については批判しますが、制作に関わる個人を批判・攻撃するといった意図はありません。

事の経緯

簡単に。
元々のJapEn 17thの参加資格(「JapEn Boardにアカウントを持つ日本人のペンスピナー」)について、「日本人」という言葉を用いて設定することは不適切だと強く感じたため、
JapEn 17th制作委員の方に連絡をとって、その点を改めたほうがよいのではと意見しました。
その後のやりとりで私の考えを伝えたところ、制作側の方々で協議して、「日本人」の条件をいくつか示す形をとるという結論を出されたようで、今の形になりました。

なぜ「日本人」ではいけないか

初めに私のスタンスについて明らかにしておきます。
私は、JapEnシリーズは日本のものであり、出演するのは日本のペン回し界のスピナーが適格だろうと思います。
実力さえ伴えば世界中すべての人に出演する権利があるべきだとは考えません。

これを踏まえた上でなぜ「日本人」と設定することを問題と考えるかですが、
「日本人」という言葉では、JapEn出演に適格であるべきなのに挑戦権がない、といった人が生じうると考えるからです。

日本社会は今や多様なルーツを持つ人々で構成されています。日本で生まれ日本で育ち、日本語を話して日本人のように振る舞い日本人のような顔をして日本文化の中に生きていても、「日本人」かと問われるとそうとはいえないような人は少なくありません。
そのような人は身近にいないという方もいるかもしれませんが、具体的には日系人、在日外国人、移民2世以降、などなど様々で、実際に日本社会に存在しています。
自らのルーツを明らかにしないで「日本人」として暮らす人もいます。
外国に暮らしているけれども心は日本にある、というような人もいるでしょう。

これと同じく、JEBおよび日本のペン回し界を構成する人すべてが「日本人」というわけではない可能性があります。
(実際のところ今回のJapEnに挑戦したいと考えた人でそのような人がいたかどうかは知りませんし、問題ではありません)
そのような人々に対しても挑戦機会は平等にあるべきで、これが例えばメジャーなスポーツの大会の参加資格の設定などだったとしたら、人権問題として大きく取り上げられうるようなことだと思います。

重ねて言いますが、JapEnは日本のものだと思います。日本で始まった伝統で、その文脈の中で日本の人による文化として大事にされるべきだと感じます(国際CV路線に舵を切るのもひとつ選択肢かもしれませんが)。
日本にいればそれで「外国人」一般にも広くJapEn出演の権利が認められるべきだとは考えていません。
「自分は日本のペンスピナーだ」と感じている人には挑戦権があるべきだと考えています。そのような人が必ずしも「日本人」という言葉の枠の中にいるとは限らない、ということです。

日本のペン回し界のなかで「日本人」のように活動をしているのに、「日本人でない」と排除されてしまう人がいる状況は看過すべきではありません。

このような理由から、「日本人」という言葉を公式が用いて参加資格を設定するのは不適切だと考えます。


ではどう資格設定すべきか

昨年JapEn 2020の参加資格はこうでした。

日本のペンスピナー

これでよいと考えています。
(実は昨年も「日本人のペンスピナー」だったのですが、指摘したところこのように修正されました)

今回のJapEn参加資格は「日本人」をどうにか客観的に定義する方向にされているようです。
枠をバチッと決めないと、穴をついて挑戦しようとする外国スピナーが現れるかもしれない懸念があるとは思うので、その対策だと思います。

ですがそもそも「日本人」は定義不能です。客観的な事実からその人を「日本人」であると漏れなく判定するのは困難です。
国籍もJapEn出演に適格かどうかの判断にはあまり意味がありません。たまたま日本のパスポートを持っているというだけで、JEBで活動せず海外で活動しているということもあり得るでしょうし、
客観的事実による条件をどう設定しようとも、おそらくそれぞれに反例や取りこぼしがあり得ます。


結局のところ、当人のアイデンティティが重要なポイントです。「私は日本のスピナーだ」という気持ちなのかどうか、それに尽きると思います。
参加資格を「日本のペンスピナー」くらいにすれば出演に適格な人はカバーされるように思います。
日本以外のスピナーまで挑戦してくるといった事態に対する策としては、審査員の判断で弾くとか「いやあなたは日本のペンスピナーじゃないでしょう」とあとから糾弾されるリスクを残しておいて相互監視的な状態を作って抑止するとかでしょうか。

どうにか客観的に判定したければ、年間を通してその人の活動を追跡し、日本のペン回しシーンで活動している実績を確認するとかしか今は思いつきません。
できない話ではないと思いますが、できても来年以降の話になりそう。  

最後に


「日本人」に誰を含めるか、という方向で参加資格を再設定する動きになったことは、私の期待した結果ではありませんでした。私の問題意識を制作側と共有できた自信がありません。
今回の設定の仕方では、取りこぼしや想定しない人にまで資格があるといった事態が実際に起こりそうに思います。
また、「日本人」の枠からはみ出す人たちに配慮した形として見えるかどうか疑問もあります。

ただ、すでに期間に入っている中での対応策として、一応の動きが見られたことはある程度評価されるべきかと思います。
配慮する姿勢があるかどうかというのは0と1くらい違うかなと。
今コロコロと参加資格の文言を変えるわけにもいかないでしょうから、引き下がっている形です。

現状ではまだ不十分だと思いますので、再度改められることになるのかもしくは来年以降の議論になるのかわかりませんが、改善の動きにつながればと思います。

続き書きました。→→JapEn 17th 参加資格について ②


↓現行の参加資格のコピペ

■参加資格
JapEn Boardにアカウントを持つ※日本人のペンスピナー。
※「日本で出生」、「両親か祖父母の1人が日本で出生」あるいは「5年以上継続して日本に居住」のいずれかの条件を満たす者

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