【考察】西家の姫
『望月の烏』には新しいキャラクターがたくさん出てきて、どの子も魅力的だった。
自分的にいちばん鳥肌が立った 桂の花 の考察について述べたい。
《注意》
・外伝含め全作既読の方向け
・拙作記事「奈月彦が雪哉に相談したかったこと」を読んでいる前提
https://note.com/kogimi/n/nad053333dfa6
・いちファンの自由な考察に寛容な方向け
1)戸籍
望月を読んで(ん?)となったのは
いくらなんでも「それは用意周到すぎるでしょ」と感じた。
でも「戸籍に不審な点がなかった」は、ほんとっぽい。
だから変えられない事実は、
真赭の薄 と 澄尾 夫妻の子として、双子の戸籍がある。
だろうな。
じゃあ、双子の名前は?
真赭と澄尾に子どもがいるってわかったのはいつだっけ?
真赭と澄尾の子、茜。
作中で生き生きと登場した、茜。
茜は双子らしいけど、もうひとりは病弱。
名前は葵。こちらは同じ場面では登場せず。
この場面の語り手は、雪哉なんだよね。
「聞いている」だけで、面識なさそう。
(そもそも興味もなさそう)
この場面で、シリーズファンは「真赭と澄尾の子は双子で茜と葵なのかぁ」と嬉しくなったよね。
2)いよ
追憶で茜が紹介されて(あ!やっぱり)と思った方は多いはず。
きんかん読後、「いよ」「あかね」は羽母子なんだ。羽母は真赭だったらいいな。どっちかが、真赭の娘だったらいいな。もうひとりは誰の娘だろうなって思った。
きんかん後の追憶で、茜が真赭の娘と確定したと同時に、「いよ」って誰だったんだろう?どこにいっちゃった?と引っかかっていた。
でも、茜と葵が双子って情報が優勢になったのと、葵が澄生として登場した衝撃で、「いよ」のことはかすんでしまっていた。
望月を読んで、茜が双子っていう事実が変えられないなら、「いよ」が双子の片割れなんじゃないか、と感じた。
紫苑の宮と一緒に過ごした「あかね」と「いよ」。羽母は真赭の薄で確定しているし。ふたりとも真赭の娘でもいいのでは?
とりあえず、茜と「いよ」が双子と仮定する。
3)葵
わたしの考察では、奈月彦と浜木綿夫妻には第二子がいるとしている。紫苑の宮には弟宮がいる、と。
その弟宮を密かに育てる協力を真赭達がした。このときに、「いよ」の戸籍に弟宮をすべりこませ、「葵」として地方で育てることにした。中央から遠ざけ「いよ」の印象を薄めていくためではないだろうか。
雪哉が伝え聞いた「地方にいる葵」は、すでに弟宮になったあとの「葵」だろう。
だから、戸籍に不審な点がない、となる。
ここでは詳しく述べないが、わたしは
葵=澄生=弟宮
だと考えている。
4)桂の花
じゃあ、もともとの「いよ」はどうなってしまったのか。
わたしはこの子が 桂の花 ではないかと考える。
桂の花は、西家一の姫として登場する。
西家の娘。
時間軸、真赭の薄登殿の準備時期で、顕彦に娘はいない。
このあと、顕彦と楓の間に娘が生まれた可能性は否定できないが、生まれていない可能性もあるはずだ。
この環境だったら、子どもがひとり増えても大して気にされないだろうし、どこの誰の子か、詮索する人も少ないだろう。
「いよ」を紛れ込ませることは、十分に可能だと考えられる。
追憶で、凪彦がいずれ即位することが明らかにされたので、四家当主は登殿させる姫を準備しておく必要がある。(モノみたいな表現になって心が痛い…)凪彦とつりあいのとれる年齢の姫として「いよ」は十分だろう。真赭の娘なら、血筋としても問題はない。
桂の花 登殿に際して、茜が同行している。作中では、従姉と紹介されている。
桂の花 にお渡りの知らせがあり、不安な気持ちでいっぱいのときの場面。
従姉妹の関係だから「茜ねえさま」と、「いつも」呼んでいたんだな。
不安に支配される状況になり、子どものように守られることを望み、西家本邸での振る舞いがあらわれてしまったんだな。
そう読みとった。
でも、仮説が正しければ
「茜ねえさま」は、血のつながった双子の「姉」に対しての「茜ねえさま」になる。
そして「いつもの調子で」も、登殿の今は特別な状況だから、そう呼べない、となる。
5)弥(イヨ)?伊予?
あかね は 茜 と漢字表記された。
じゃあ、いよ にはどんな漢字が当てはまるのだろうか?
候補として下記の「弥」をあげる。
物の重なること?
自説ありきで見てしまうので、ずいぶんと偏見であることは承知。
また、調べる過程で伊予松山藩についてのサイトにも出合った。伊予松山藩では、あるときから「葵」紋を使用できるようになったそうだ。
葵⁈と過剰に反応してしまったことは、隠さないでおく。
葵祭りでは、葵と桂を合わせて飾るそうだ。
葵と桂⁈こちらも過剰反応案件だ。
6)まとめ
茜ーいよ→桂の花
↑
葵(澄生)=弟宮
「いよ」が葵に戸籍を渡すことで、澄生が表舞台に出てくることができた。
自説の「澄生=弟宮」説を補強することもできる。
桂の花 は、真赭の娘で母娘二代で登殿。
こうだったらおもしろいな、と楽しんで考えたことなので、これをどこまで信じて楽しむかは個々で違います。
望月が発売されて約1か月。
次作までこうやって楽しめる素材がたくさんあってありがたいことです。
次作までの期間が長いことは、じれったくもありますが、楽しむ期間が長いことでもあります。
ほかにもいろいろと考えたことを残しておこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。