狩りに行ったら、自分に自信が持てた
「モンスターハンターライズ」にドハマリしている。
モンハンはプレイヤーがハンター(狩人)となって、ドラゴンや虎やイタチやら、とにかくどデカいモンスターを狩りに行くゲーム。結構昔から続くシリーズだが、30歳を手前にして初めて触った。これがとにかく楽しくて、発売以降ずーっとやっている。2か月ちょいでプレイ時間が200時間に迫る勢いは久しぶりだ。
モンハンを始めて、とにかく自己肯定感が高まった。
今回はそういう話をしよう。
1:デカイモンスターに挑め!
モンハンは、とにかくモンスターがデカイ。
(ネットで拾った)プレイ画面だが、手前の青いのがハンター(主人公)で、奥の紫の虎が狩るモンスターだ。遠近法があるにしたって、とにかくモンスターがデカイ。デカイのだ。
(でけえ)
プレイヤーはこんなモンスターに、短剣や槍やボウガンを担いで、単身立ち向かっていく。プレイヤーが身長180センチとして、奥のモンスターは多分10メートルくらいある。とにかくでけえんだ。
当然モンスターは抵抗する。抵抗というか、プレイヤーを殺しにかかってくる。爪や牙は可愛いもので、レーザービームや爆弾までぶっ放して、プレイヤーに襲いかかってくる。もう怖い。ひたすらに怖い。
上の虎は「マガイマガド」というモンスター。紫色のガスは「怨念」で、これを操って襲ってくる。怨念を飛ばしたり、爪や尻尾を叩きつけたりはもちろん、時には怨念を爆発させた推進力を使って猛スピードで突っ込んでくる。多分時速100キロくらい出てる。怖すぎるわ。
こんな感じで、デカイモンスターをひたすら狩るゲームだ。プレイヤーは「カムラの里」という小さな村に住んでいて、村をモンスターから守るため狩りに勤しむ、という設定だが、まあひたすら狩りだ。
色々な種類の武器を使ったり、鎧や武器を揃えたり、モンスターを狩る時間でタイムアタックしたりなどなど、遊び方は多様。もちろん4人協力プレイもできる。楽しいゲームだ。
2:オサイズチにビビり倒していた頃
この「マガイマガド」はいわゆる中ボス。村を襲うモンスターの群れを率いているリーダーで、こいつを倒して村を守るんだ、というシナリオになっている。まあ黒幕は他にいるけど、要するにマガイマガドはなかなか強い。
そんなモンスターにいきなり挑んでも勝てるわけがないし、そもそもいきなりは挑めない。ゲーム開始後、ほとんどの人が最初に戦う大きなモンスターがこの「オサイズチ」だ。
(こいつ。マガイマガドよりは小さいが、4メートルくらいある?)
オサイズチは、尻尾の先が鎌になっている大きなイタチ。飛びかかってきたり、鎌を振り回したり、口から何か吐き出して攻撃してくる。マガイマガドと比べると遥かに弱いし、そもそも比べるまでもない。それでも新米ハンターだった頃の僕は、こいつにビビり倒していた。
まず、近づくのが怖い。
尻尾の先の鎌に当たると結構なダメージを受ける。結構すばしっこいから、逃げても追いつかれる。子分のイズチ(左右のちっこいやつ)を従えて三位一体で襲ってくるわけだけど、イズチの攻撃もまあ痛い。とにかく怖くて近づけなかった。「ぎゃおお」って言って襲いかかってくるんだよこいつら。こええよ。
モンスターに近づくのが怖かったので、武器は「ライトボウガン」を選んだ。遠距離からちまちま弾を撃って、ちびちび削っていく。ちまちまちまちま、ちょっとずつちょっとずつ削って、20分くらいしてようやく勝つ、みたいな戦い方をしていた。
だって怖いし、近づきたくない。装備している防具も弱いから、食らったら致命傷だ。体力回復のために薬を飲むと、隙をつかれて尻尾でばちこりやられて死ぬ。だから遠距離からピスピスやっていた。陰キャ戦法だ。
最初はそんな感じでビビっていた。でも人間は慣れる生き物。徐々にオサイズチが怖くなくなり、巨大ガエルとかイグアナっぽいドラゴンに挑むようになった。そいつらも倒せるようになると、炎を吐く竜とか電気の虎みたいな、「ザ・モンスター」に挑んだりもした。
相変わらずライトボウガンで遠くからちまちまやるばかりだったが、徐々に強くなっていく自分が嬉しかった。マガイマガドには苦戦したが、何度目かで無事討伐。黒幕のモンスターも倒し、村の平和を守ることができた。ここまで50時間。うむ、強くなった。
3:近接戦闘してナンボ
とはいえやっていることは、ライトボウガンで遠距離からチクチクピスピス。狩りに慣れるに連れ、徐々に「何かこう……、違うじゃん?」と物足りなさを覚え始めた。ライトボウガンは結構単純な武器で、間合いを保ってひたすら撃つだけ。何というかこう……、もっと「狩り」がしたくなってきた。
というわけで別の武器に挑戦。選んだのは「双剣」だ。
(短剣を両手に持ち、舞うように戦う)
撃つだけのライトボウガンに比べ、双剣は複雑な武器だ。コンボの種類が多く、ボタンを押す順番やタイミングをしっかり覚えないといけないし、何も考えずに動き続けるとスタミナ切れを起こしたりもする。
当然、モンスターに密着して戦う。モンスターの動きをしっかり見て、きちんと攻撃を避けなければならない。瞬時の判断や回避も必要で、ミスをすると一気に追い込まれてしまう。「こええよ!」と言っていては戦えない、近接戦闘がキモの武器だ。
ライトボウガンでチクチクやっていた僕がいきなり挑むにはなかなか無謀だが……、使ってみたいと思ってしまった。
とにかく、コンボが繋がるとカッコいい。蝶のように舞い、蜂のように刺す。空中戦もお手の物で、ビュンビュン動き回れる。
双剣には色々な種類がある。氷、雷、炎、水、竜、爆発、毒、猫の手などなど。男の子は属性がある剣が大好きだ。切ると属性に対応したエフェクトが出るのが、まあカッコいい。気分は斬魄刀だ。そして何より、狩りは近づいてナンボなんだろう。
「よっしゃ!双剣を握るぞ!」
そう意気込んだ僕はマガイマガドに挑み、ボロ雑巾にされた。
……当然である。
だがそこで、「もう1回!」とやりたくなるのがモンハンの魅力だ。失敗しても特にペナルティはないしね。
4:少しずつ成長していく自分
とりあえずオサイズチからやり直しだ。最初は武器の操作に慣れることや、モンスターの動きを見ることを覚え、少しずつ双剣を体に染み込ませていくことから。多少攻撃されても、硬い鎧を着ているから痛くない。双剣の動きやジャンプのタイミング、コンボを実戦で理解していくことから始めた。
しばらくするとオサイズチなら倒せるようになる。一つ成長だ。
その後は同じ程度の強さのモンスターと戦い、操作に慣れていく。徐々に分かってきた気持ちになり、ミスが減っていき、スムーズに倒せるようになる。成長である。
そうして練習を積み重ねていくと、「そろそろマガイマガド、行けるんじゃないの?」という気持ちになる。そして挑んでみると、何だか戦えるようになっている。これはもう立派な成長なのだ。
最初は負けてしまうが、何度か挑むうちに立ち回りが分かってくる。そして何度目かの挑戦で、マガイマガドを双剣で討伐できる。やったぜ!
振り返ると随分遠くまで来たものだ。
「近づくのが怖いよお」と震えていた頃に比べれば、勇猛果敢にモンスターに突撃し、「卍解!」と叫んでヒュンヒュンコンボを繋げるようになった。
何なら最近は双剣を使って、マガイマガドより遥かにデカくで早くてやべえモンスターとタイマン張っている。過去の自分が見たら「うわあ」と驚くだろう。そして、「次はどの武器を使ってみようか」なんて考えている。
歴戦の先輩方に比べれば腕前はまだまだでも、自分はハンターとして大きく成長したと思う。そして今日も狩りに行く。
5:ごちゃごちゃ言ってないでやれ
楽しいゲームの世界に比べ、現実は息苦しい。
みんな日々を生きるのに精一杯で、お先真っ暗、未来はどん底。ネットを見れば他人のあら探しや足を引っ張ることばかりで、成功者に称賛なんてほとんどない。マガイマガドに襲われる村と、どっちがマシかと思うくらいだ。
そんな現代で「成長したい!」なんて叫ぶと、冷ややかな目で見られること間違いなしだ。うん、僕も卑屈である。
でも、ゲームでなら話は別だ。
モンハン生活を振り返ると、確かな成長を噛みしめられる瞬間が多くあった。オサイズチを倒せた、その次にも勝てた、マガイマガドを倒した、黒幕を討伐した、裏ボスに勝てた、などなど……。思い出は色々あるが、2か月前はオサイズチにビビり倒していた自分が、双剣を手にどデカいモンスターに斬りかかれるようになったのは、何よりの成長と言っていいだろう。周りが何と言おうと、「俺は強くなった」と胸を張る。
モンハンで、久しぶりに「やればできる」を実感できた。
何事も挑めば何とかなるし、失敗は次に活かせばいい。できることから少しずつやって、それを積み重ねればやがて形になる。文字に起こすと意識が高くてゾワゾワするし、音読すると背中が痒くなるが、この表現が一番しっくり来る。やれば何とかなる。少なくとも自分だけで完結することは。
この体験は、創作との向き合い方をも変えた。
「こんな文章を書きたい」「こういう記事を書きたい」と考えるばかりで、手を動かさない悪い癖があったが、最近は「書くか」に変わった。文章でなくとも構成やアイディアを書いて、「とりあえずやる」ができつつある。
やりたいやりたい言ってる暇があるなら、まずはやれよ、と自分に言い聞かせて。そうすれば、そのうち何かが完成する気がするから。
どんな分野であれ何であれ、今はオサイズチにビビっていても、そのうちマガイマガドが倒せることを僕は知っている。だから「やれば何とかなるんじゃないかな」と思えるようになった。モンハンのおかげで。
ゲームで学んだこと。
「自己肯定感を上げたければ、一狩り行こうぜ!」
巣ごもり期間中のモンハンで、あなたも圧倒的成長、しませんか?
ごちゃごちゃ言ってないで、やろう!
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