はじめに
前回の記事に引き続き、「デザイン文脈におけるフードデザイン」について、よりよく知ることに役立つ書籍を紹介したいと思います。
今回は、フードデザインのど真ん中ではないですが、1960年代に食べものをデザインの対象のように捉えてエッセイを記していたブルーノ・ムナーリから、フードデザインのど真ん中で界隈を牽引してきたマルティ・ギシェの最新作、そしてフードデザインをテーマにした最新の展覧会図録、この3冊を紹介します。
これまで同様、ここでフードデザインは、デザイン文脈に軸足を置きつつ、フードを対象にした作品や研究、実践例を指しています。
選書〈いまむかし〉
GOOD DESIGN
Bruno Munari
(1963) 2023
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・エッセイ集
・オレンジとエンドウ豆を取り上げ、自然によって生み出された(デザインされた)ものを、工業製品と同じように分析する視点を提供する
Casa Mondo : Food
Martí Guixé
2021
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・エッセイ集/バーチャル展覧会図録
・21世紀における食とは?そして何を象徴するのか?を示唆する
・バーチャルな次元が重要になる中で、著者にとって食は、味や香り、食感を通じて人類と自然の関係を再定義しうる、数少ないリアルなものの一つ
SPACEFARMING: The Future of Food
Next Nature
2023
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・展覧会図録/zine
・テクノロジーによって変わり続ける食のカタチを、肉、昆虫、植物、タネ、宇宙、火星、Sci-Fi、AIなどの角度から取り組んだ事例や作品を網羅的に紹介
・ビジュアルイメージを豊富に掲載
以上がフードデザインいまむかしというトピックで選んだ書籍を紹介しました。このシリーズの第一弾「フードデザイナー第1世代」の記事でも登場するMarije Vogelzangは、「食べものは、自然によってすでに完璧にデザインされている。だから私は、Food Designerではなく、Eating Designerです。」と語っています。まさにそのことが分かるような、ブルーノ・ムナーリの視点はさすがだなということ。
そのようなインダストリアルデザインの視点から食べものを捉え始めたMartí Guixéが、「バーチャルの範囲が重要性を増す中で、食べものは数少ないリアルなものの一つ」と考えていること、その先見の明。
さらには「フードデザイナー第2世代」の記事でも紹介したChloe Rutzerveldや、「フードデザイン作品集」で扱ったSPACE10のプロジェクト等が、SPACE FARMINGをテーマに最新の作例/事例として結集していること。
それらが大きな流れの中で重要な位置付けとして捉え直せるなあ〜という意味で「いまむかし」というタイトルをつけてみました。ちなみに、今回の3冊は先日訪れたミラノとオランダのアイントホーフェンで発見してきた本です。SPACE FARMINGの展示については、別の記事で紹介しますので、ぜひそちらもご覧ください。
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こうした内容を『フードデザイン:未来の食を探るデザインリサーチ』(BNN、2022)の中でも取り扱っています。この分野の変遷や周辺領域との関連性などを時間軸に沿ってまとめましたので、よろしければそちらもご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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本記事中で引用した文献はDeepLを用いて翻訳し、ChatGPTを用いて修正したものとなります。致命的な誤訳等ございましたら、ご指摘いただけると幸いです。また、記事は執筆時点での情報をもとに書いたため、最新情報であるとは限らないことをご承知ください。さらに、本記事の内容は私見によるものであり、必ずしも所属企業の立場や戦略、意見を代表するものではありません。