はじめに
前回の記事に引き続き、「デザイン文脈におけるフードデザイン」について、よりよく知ることに役立つ書籍を紹介したいと思います。
食とデザインの文脈における取り組みだけでなく、食をデザインすることを考える上で学ぶべき事例は数多くあります。その土地での気候に沿った食材の加工方法や、食を起点にした都市計画、ひとつの食材を様々な角度で掘り下げる方法、食材を調達する方法、食のために作り出されてきた道具、持続可能性のために取り組むレストランなど、過去と現在のフードデザインを知るための書籍を集めてみました。
選書〈フードデザイン事例集〉
とにかく多様なジャンルに知見が広がっていることと、日本語でも読めるものがあることをお伝えしたいという意図で選んでみました。今回もこれまで同様に発行年の順に並べています。それではお楽しみください。
食と建築土木
後藤治/二村悟
2013/11/25
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・専門書、事例集
・農山漁村部にある食べものをつくるための建築物を解説
・干し大根や凍み豆腐などを作る地域の気候や住まい方、歴史などに言及
Food Design in Italy: Product Development and Communication
Alberto Bassi
2017/04/11
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・専門書、事例集
・イタリアの歴史の中で食とデザインの関係を辿る
・nutellaやilly coffeなどイタリアを代表する食品にまつわるストーリーを掲載
Farming the City: Food As a Tool for Today's Urbanization
Francesca Miazzo, Mark Minkjan
2013/07/31
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・専門書、事例集
・都市開発におけるツールとしての食のあり方を議論する
・ローカル主導で公正な脱炭素社会に向けたケーススタディを取り扱う
Cookbook of Possibilities
Welling School and HATO
2015
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・ZINE
・パーソンズ美術大学の成果物に影響を受けたプロジェクトを記録
・ロンドンのWelling Schoolの生徒がパン作りを通じて食のリサーチや制作活動を実施
Science of the Secondary #11: Banana
Atelier HOKO
2020
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・ZINE
・世界共通のアイコン的フルーツバナナを様々な角度で観察
・選び方や保存方法、熟れ具合などを通じてバナナと食べる側との関係を考察
The Urban Forager
Wross Lawrence
2020/04/13
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・ガイドブック
・都市環境の中で採集可能な植物、32種類の特徴や見分け方、調理方法を写真付きで紹介
・採れる季節や場所(公園や水辺など)を記載
おいしい昆虫記
佐伯 真二郎
2020/09/16
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・専門書、自伝
・昆虫食学の実践を続ける著者がどのように昆虫食に出会い、何を目指すのか?の物語
・ラオスでの活動経験などを通じて、昆虫食との向き合い方や展望を示唆
Notes from the Underdog: Agriculture for Subsistence in Porto
John Wriedt (ed.)
2021/06
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・写真集、論考集
・2011年の金融危機の後にポルトガルのポルトに広がった都市近郊での農業実践と空間利用に注目
・果物や野菜の栽培によってブラウンフィールドを再生した10の農園を紹介
・運営者がロープや板材、ペットボトルなどを駆使して灌漑システムや堆肥化のインフラを整備する様子を切り取り、その創造力に焦点を当てる
Democratizing Food: FDzeeN Issue 01
Food Design Nation
2021/09/03
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・雑誌
・フードデザインのためのオンラインコミュニティFood Design Nationが発行
・すべての人々が安全で栄養価の高い食にアクセスできるようにするには?というテーマに対するアイデアや、実践的な活動を紹介
Tools for Food: The Stories Behind the Objects that Influence How and What We Eat
Corinne Mynatt
2021/11/23
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・専門書、図鑑
・世界中を取材して蒐集した調理器具を、用途別に分類して紹介
・調理器具とその歴史、形状、使い方、作り手などの観点から食文化を紐解く
SoFF Report: Cookbook for 3D Food Printing
緒方胤浩ほか
2023/03/26
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・ZINE
・フード3Dプリンタを軸に、食の可能性を探求する実験的なプロジェクトを紹介
・いますぐ作れる3Dプリント食のレシピを掲載
BETTER FOOD(ベターフード) VOL.1 持続可能な"食の未来"の作り方
モタ
2023/05/25
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・雑誌
・食の持続可能性を主軸に、より良いフードシステム実現に向けて実践を進めるレストランや企業、酪農家などの活動を取り上げ、インタビューと共に紹介
以上がフードデザインの事例を扱った書籍の紹介でした。デザインが得意とするエスノグラフィックな視点や、創造的な解を導くための発想につながる内容のものから、最新の動向を追った内容のものまでを取り上げてみました。次回は、フードデザインと関係が深いアートやカルチャーの側面に触れる内容のものを紹介します。
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こうした内容を『フードデザイン:未来の食を探るデザインリサーチ』(BNN、2022)の中でも取り扱っています。この分野の変遷や周辺領域との関連性などを時間軸に沿ってまとめましたので、よろしければそちらもご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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本記事中で引用した文献はDeepLを用いて翻訳し、ChatGPTを用いて修正したものとなります。致命的な誤訳等ございましたら、ご指摘いただけると幸いです。また、記事は執筆時点での情報をもとに書いたため、最新情報であるとは限らないことをご承知ください。さらに、本記事の内容は私見によるものであり、必ずしも所属企業の立場や戦略、意見を代表するものではありません。