『彷徨う意味』#3 仲間はずれ
彼女はその飴が食べたかった。その色、その形、その味、全部知っていたから。その差し出された飴を食べる事は彼女の美徳には反する事だった。それを知っている彼女は自ら仲間はずれの道を選ぶ。
到底理解はされない。意味不明な抵抗に仲間たちは困惑する。そしてヒソヒソと囁く。どうかしてるねと。それでも遠くからそのヒソヒソと囁く友の姿を見て自分が違う時空にでもいるような、貫かれた意志の強さに、誇りさえ感じる。数十年後に果たしてそこに意味はあったのかと、苦い思い出でも、嬉しい思い出でもなく、人格の再認識として思い返す事になるのだけれども。