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『彷徨う意味』#22 ひょうきん

 ひっくり返って見えたものがあった。とぼとぼと落ちる哀しみの色。落ちるリズムに合わせる臆病なエネルギーだけが見える。手のひらで受けようとはせず、そのあたりに染み込んで行くに任せる。それでいい、それでいいと、他に呟く言葉も無い。

 ひょうきんが顔をさすって励ましてくれる。またひっくり返って哀しみはこぼれない。溜めるのがいいのかこぼすのがいいのか、それは誰にも分からないけれど、抱えてでも笑ってる方がいい。



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