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法制審議会家族法制部会第8回議事録7~原田委員・佐野幹事・畑委員・武田委員・北村幹事

今日は、まず、国賠の傍聴にいく

長井さんとご挨拶できました!!

声でわかる存在感だった!ご感心もっていただきありがたいですー
東京横断して事務所のある地元に戻る長旅中、文献チェック

いろいろな記事もチェック

気になってた件の、続報に憤る

養育権保障がない国なんだな~を実感しながら、さぁ、議事録を読んでいく

○原田委員 

 弁護士の原田です。今,いろいろと御意見が出ております16ページの②のところの別居の際の規律の問題は,規律という言葉がどうかというのはありますけれども,一定の協議をすることについて反対するものではありません。
 ただ,この別居時というのが,いつするのかということで,今,例えば子の連れ去りとか,親子引離しとかいう言葉がいろいろ当たり前のように使われていることに非常に懸念を感じています。悪化した夫婦関係を解消したいと考える親がこれまで主たる監護者であった場合は,子どもを連れて出るのは当然のことなので,別居時にそれを決めなければ出られないというようなことになれば,現実的にはもう別居ができないというような状況になってしまうということを非常に懸念しており,このときというのを非常に緩やかに考えるべきであると思います。棚村先生方が出されておりました,未成年期に父母の離婚を経験した子どもの養育に関する全国実態調査を見ても,結局,離婚後に親子の交流が行われているのは,離婚や別居前に夫婦の関係や親子の関係が良好であった場合ということであって,ここで規律を決めたから,親子の間が良好になって交流ができるというものではないと思います。
 したがって,こういうふうに突然出ていかなければならない,合意がなくても出ていかなければならないような状況の方が,では直ちにすぐ話合いができるかというのは,なかなか難しいところもあると思いますが,現実にはそういう方は多くの場合,弁護士や,あるいは警察などに相談をして,行方不明の捜索願いなどが出ても,きちんと安全にいるということを告げてもらうとか,あるいは出た後,弁護士がすぐ受任通知を送って,以後,裁判所で話合いをするとかというふうな手続をとっている場合がかなり多いと思います。出ていって,本当にどこに行ったか分からない,全く交流できないというようなケースがそれほど多いとは私は思っていません。ですから,この別居時というところが,どういう場合にこれが問題になるかというと,やはり話合いができないで出ていった方の場合だと思うので,そういう場合に,どのような形で規律したら本当に高葛藤が治まって,そして子どもさんとの交流ができるのかというようなことに沿った規律,規定というのを考えていかなければいけないのではないかと思います。

○大村部会長 ありがとうございます。16ページの(1)②に関連いたしまして,別居時に子どもの監護等について取決めをするという考え方が出ておりますけれども,別居時というのを厳格に考えてしまうと様々な不都合が生ずるので,どのような対応をするのが結果として望ましいのかということを考慮しつつ,この別居時というものについて緩やかに考えていくということが望ましい。こういった御意見を頂いたかと思います。ありがとうございました。

○佐野幹事

 ありがとうございます。佐野です。今,原田先生がおっしゃったのと同じ,16ページの②に関連して,海外では別居時にこういったことを決めるという話はよく聞くのですけれども,具体的にどういうプロセス,別居前なのか別居後なのか,それをどういったプロセスで決めるのかというのが実のところ余りよく分からないので,ヒアリングあるいは何らかの形でピックアップして調査したようなものがあれば,御提供いただけると有り難いかと思います。ただ,その際にはDV法制など,海外では家から加害者の方を出すところもありますので,そういったところも含めて,それこそ一覧表ではないですけれども,調査したものを御提供いただけると有り難いと思います。
 もう一つ,認知なのですけれども,認知はいろいろなケースがあるので,なかなか一緒に扱うのは難しいと実感として思っています。というのは,強姦により妊娠してしまったケースもあるので,それは例外的に排除するということなのかもしれないですけれども,私の中で考えがまとまっていないところはあります。

○大村部会長 ありがとうございました。16の②について,やはり御発言を頂きましたけれども,一つは,外国で別居時に取りきめるという対応がされていると言われているけれども,その実情についてデータがあれば出していただきたいという御要望を頂きました。それから,ここでは認知のときや別居時にということで,二つの場合を並列で並べておりますけれども,少し違うのではないかという御実感を御披露いただいたと思います。ありがとうございます。

○畑委員


 畑でございます。17ページの(2)の⑤,先ほど杉山幹事が発言されたところです。私も大きな方向性としては,杉山幹事と違うということではないと思っております。すなわち,ここで問題となっているような局面で迅速な裁判手続が可能になるということは望ましいと思っております。ただ,裁判手続というのは,訴訟でも何でもそうですが,規定を置けば早くなるというものでは決してないというところがございますし,現在でも保全手続がございます。現在存在する裁判手続で対応できることがないのか,あるいは,もし現在の裁判手続で十分でない要因があるとすれば,それは何かという辺りを明らかにする必要があるのかなという気がしております。例えば,裁判所のキャパシティーの問題のようなことがあり,そういうことは,仮に規定を置いても,制度的な基盤が変わらない限りはなかなか難しいというところもございますので,現在の制度とその限界のようなところを明らかにするという辺りが,まず重要ではないかという気がしております。その意味では,杉山幹事が御発言になった,保全についての実情みたいなところも確かに重要かなとは思っております。

○大村部会長 ありがとうございます。17ページの⑤,先ほど杉山さんからも御発言がありましたけれども,迅速な手続が望ましいというのはそうだけれども,手続を置いたとしても,様々な環境が整わないと裁判の迅速さというのは実現されないということで,現在の状況はどうなのか,ネックになっているのは何なのかということを検討するというところから始めるべきではないかという御意見を頂きました。

○武田委員

 
ありがとうございます。親子ネットの武田でございます。(2)の別居関連の先生方の御発言がほとんどだったと思っています。私の方からは,まず15ページから始まる課題に記載されている(1)両場面に共通のもの,ここに関して,まず2点,意見を述べさせていただければと思います。
 1点目,扶養義務の内容等を明確化という記載がございます。これは前回部会でもお話しさせていただきましたが,法律婚が有効であろうとなかろうと,つまり,離婚していようといなかろうと,また嫡出であろうとなかろうと,親は両親の法的な婚姻状態にかかわらず,親であることに変わりなく,子どもの養育に関して責任を持つという理念,これを明らかにすることがよいのではなかろうかと,考えています。つまり,父母だから扶養義務があるではないかという立て付けだけで本当に養育費なり面会交流なりの実施が改善していくのかと懸念を感じております。ただ,この責任に関して内容を明確化,規律,規定を検討していくという方向にはおおむね賛同するものでございます。
 2点目,嫡出でない子の養育に関してです。部会資料7を拝見させていただきますと,飽くまで認知ということが前提になっていると理解しています。当然,法的には認知がなければ権利義務は発生しないと理解しております。したがって,このような議論の立て付けになっていることは分かりますが,認知を得られないお子さんはどうなるのか。議論が拡散するから,より広くなるから,あえて外しているのかというところが確認させていただきたいと思っています。何が言いたいかといいますと,認知がないから親の愛情や生活費を受け取れない子どもが取り残されるということとしてよいのかということが私の問題意識です。こういった非嫡出子に関係する現場で,もう少し,どのような声が上がっているのか,先ほどレイプみたいな話なんかもありましたけれども,もう少し立法事実を示していただいた上で議論を進めた方がよろしいのではなかろうかと,そんなふうに感じています。
 最後,もう1点,別居に伴う子の養育に関するものに関してです。こちらは意見というより,少し教えていただきたいと思っているところでございます。具体的には,民法752条,同居,協力及び扶助の義務に関してです。この条文に現時点でどのような意味があるかというところを少し教えていただければと思います。現行法でも同居調停という手続があるのは存じ上げております。しかしながら,同居調停を行ったから同居命令が出るなんていうことは,私は聞いたことがありませんし,そもそも命令をもって同居状態に戻るようなことはあり得ることではなかろうと,そんなふうに思っています。この条文が理念的なものなのか,相互の協力はまだしも,国民意識がこれだけ多様化している中,「同居が家族や夫婦の在るべき姿」的な条文も,個人的には違和感を感じるところです。この辺り,恐らく法的には歴史的な変遷もあろうかと思いますので,同居,協力及び扶助の義務,ここについて,どなたに回答いただくのがよいのか判断できませんが,少しこの議論を注視している国民の皆様にも分かるよう,御教示を頂きたいと思います。
 とりあえず,ここで切らせていただきます。

○大村部会長 ありがとうございます。3点,御意見ないし御質問を頂いたのかと思います。1点目は,扶養義務の明確化という話が16ページに出ているけれども,もっと立ち入った形で考え方を示す必要があるのではないかという御意見だったかと思います。それから,残り2点は,2点目は御質問かと思いましたが,嫡出でない子というときに認知された子を想定しているけれども,認知のない子どもについてはどうなのかという御指摘がありました。それから,3番目,752条の同居義務についての御質問ですけれども,その中にも二点が含まれていたように思いますが,一つは,同居義務があるということと,別居の状態になっているということの関係をどう理解するのか,それから,そもそも現在の婚姻において同居義務をどれくらい重視するのか,この2点の御質問ないし御指摘があったのかと思いました。何か事務当局の方からありましたら,お願いします。

○北村幹事

まず,認知を今回挙げさせていただいた点ですけれども,まず現行法を前提としての議論ということで,法律上の父子関係が発生するという時点ということで,認知で挙げさせていただいております。認知を受けられない場合には,裁判上の手続,裁判認知という手続もありますので,今回は認知のときということで挙げさせていただきました。これを挙げることについての御意見があるということは,今回の部会の中でいろいろ御意見いただいたところです。
 もう1点,同居,協力,扶助の義務については,民法の先生方がいらっしゃる前であれなのですけれども,それぞれ義務がありますし,実際に裁判においても同居を求める審判を起こすことはできるということにはなってございます。実際にもそのような例があるというのは承知しておりますけれども,ただ,同居を認める審判が出たとしても,強制的な執行はできないとされています。

○大村部会長 ありがとうございます。武田委員,よろしいですか。
○武田委員 ありがとうございます。


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