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法制審議会家族法制部会第26回会議議事録読む2~赤石委員

 議事録読んでます

 赤石委員、どうぞ。

まさかの独演

○赤石委員

 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。今回は離婚後の親権の在り方についての議論なのですけれども、前回から引き続き、まずは協議上の離婚をする父母間において合意がある場合の対応を議論しているのだろうと思っております。
 ただ、この議論の在り方が、婚姻時の父母、夫婦の共同親権の在り方を定め、その在り方を離婚後も適用するという議論の在り方になっていることに強く違和感を感じております。民法第752条には、夫婦は同居し、互いに協力し、扶助しなければならないという規定があり、その基盤の上で民法第818条3項で、婚姻中は親権を父母が共同して行うということがあり得るというふうになっているのではないかと私は、法学者でもないのですが、思います。
 今回は、協議離婚で真摯な合意があるという前提で双方の親権の在り方が議論されていますが、とはいえ婚姻時の父母の協力関係や信頼関係とは離婚後は異なるというのが当たり前のことでございます。そこでの共同の親権の在り方というのも異なって当然である。では、どのようにするか。その基盤、信頼関係、協力関係、同居義務など、コミュニケーションのチャンスというのがないときに、紛争が起こらず、かつ、こどもの福祉に合致する規律というのをどう定めるのかが、私たちが今、課題になっているのだと思うのですが、それが少しよく分からない議論の展開であると思います。
 しかも、離婚後、こどもが成人、自立するまでの期間というのは長い場合もあります。その長い期間保てる規律になっているのか、離婚直後のことではないのかとか、また、離婚後は双方が再婚の可能性があるわけです。新たな家族を形成することもあります。再婚率は離婚した男女の5割か6割という統計もあるのですが、なかなか有子離婚の場合の男女のことは、少し探したのですが、なかったのですけれども、双方あるいは片方に再婚した配偶者や、出生した、養子縁組したこどもが増えるという状況の中でも保てる規律にすべきであるというところが抜けているのではないか、議論としてここをきちんとやらないと、きちんとこどもの利益に合致して、かつ安定的に運用できる規律になっていないのではないかという疑念がございます。
 具体的にどうすべきかということを多分問われるのだろうと思うのですが、私は監護の在り方のところの規定に影響するのかなとは思っておりますが、そういう立論でない可能性もある、そこはもう本当に法学の方たちにお知恵を拝借したいのですが、そもそもこういうふうな展開であることに非常に疑念を持ちます。
 また、もう一つ、法的なアクセスの問題がございます。この審議会はこどもの福祉の向上、こどもの貧困の解消に資するということで設置されていたかと思います。私どものしんぐるまざあず・ふぉーらむという団体は、会員数が9,000人ぐらいに増えてしまっているのですけれども、今年度の食糧支援は、ほっと安心便という食糧支援を4,300世帯が申込みされました。激増しています。そのスタートをしているのですけれども、4月に頂いた感想の中で、こどもの食事のために母親が自分の食事を抜いているというような方がいらっしゃいました。少し長くなるのですが、ごめんなさい、読ませてください。
 こどもの要望をかなえてあげたくて、たまに私の夕飯を抜いたりしていたら、こどもが、ママ、御飯は食べないの、私の半分あげるよと、うれしい言葉をもらいました。ママはおなかがすいていないのだと言うと、分かった、お皿を空っぽにするから見ていてと、うれしい言葉をもらい、その言葉でおなか一杯になりましたという感想を頂きました。言葉でおなか一杯になりますか。それはいいでしょう、気持ちでこう書いてくれたのはうれしいです。この家庭が司法アクセスできると思いますか。親権停止の手続できると思いますか。家庭裁判所に案件を持っていって、自分で意見の対立を訴えることができるのですか。それがこどもの福祉にかないますか。非常に議論が軽くなっていると思いました。ごめんなさい、こういう状態は放置されてはいけない状態だと思います。
 とはいえ、少し論点に入らせていただきます。ページ1、1から区切るとおっしゃっているので、1のところだけ申し上げます。まず、1(1)ですね、ただし書が曖昧だと思います。どのような場合なのかを明確にしてほしいということがございます。しかし、これを例示するのか列挙するのか、それは本当に難しい課題だと思っております。
 (2)日常的な行為と緊急の行為というのがあります。それで、資料を付けさせていただきました。高裁那覇支部の方ですね、2022年12月6日、毎日新聞、夫同意ない中絶、医師に過失なし、これは医療の分野での人工妊娠中絶の問題で、配偶者の同意のあるなしが問題になっているケースですが、少し類推していただきたいのですが、人工妊娠中絶のケースで、高校生など未成年のこどもの妊娠はかなりあるわけですけれども、その中絶のケースで、医療行為として保護者、親権者の同意が必要であるとしているクリニック、医療機関というのはかなりあります。こういった場合は緊急のケースとして認定されるのか、妊娠22週になれば人工妊娠中絶はできなくなります。では、こういうことに引っ掛かるかもしれない、でも一方では、遠くにいたり同意が取れない親権者がいた場合どうするのか、こういったことを一体どのように規定するのか、例示するのでしょうか。ではこどもの妊娠中絶手術は緊急の行為として認定しますとするのか、あるいはそこまで列挙できないのであれば、どのような処理をしたらこどもの利益になるのか、そういったことは議論をもっと丁寧にすべきだと思います。
 (3)父母の意見が対立するために親権を行うことができないということです。この場合は、裁判所が当該事項について親権を行う者を定めるとあります。これもよく分からないのですが、例えば中学3年生のこどもの塾の選択を、意見が対立した。よくある御相談なのです、今でもあります、別居親との意見の対立がありますとかですね。この場合、塾の選定にするのか、こどもの進学先全般とするのか、そのこどもの教育というところでするのか、そういったことが分からなかったので、どのように処理されるのか、範囲の広さが不明なので、これも紛争の種になる。そしてまた、先ほど言ったような法的なアクセスの問題ということをどのように処理するのかということが分かりませんでした。多分、広くとった方がいいという議論もあり得るとは思うのですが、どのようにお考えなのかというのを少しお聞きしたいと思いました。
 (4)ほかの一方の意思に反した場合でも効力が妨げられないという規律についてですが、関連資料で、これが適用されるのかどうかあれですが、大津地裁、昨年の2022年11月17日の娘への手術、面会禁止された父親の同意なしは違法ということで、3歳の娘さんが肺の動脈弁をバルーンで拡張する手術、それほど重くはないかもしれないけれども、ある程度の重大な手術だと思います。これを受けるときに、面会交流を家裁が禁じている父親の同意を経ずに実施したところ、損害賠償請求をされたという事件でございます。これは、滋賀医大ですかね、が地裁では負けているのです。お父さんに損害賠償をするように言われ、今も多分争っていると思います。こういったケースで医療機関が萎縮したり、同意を取れない場合にどうするのかということは、当然あり得ることです。これまでも教育に関しても、2020年5月に私どもが推薦してヒアリングを受けていただいた方が、離婚後、お父さんがこどもの学校の退学手続をしようとして非常にもめたという事件をヒアリングで御紹介したと思います。その場合は離婚が成立していて、親権者は単独になっていたので、学校が納得して、今はお父さんであるけれども親権者でないということで、その依頼をなかったということにしたわけです。こういう場合にどのように処理されるのか、一つ一つ、やはり議論が行われるべきなのではないかと思っております。
 2からの議論は省略します。もう一つ危惧していることが、親権停止・喪失の手続についてです。この資料26には、意見が対立したり、あるいは意見が調わないときには、相手方の親権停止あるいは喪失をすべきであるということが繰り返し書かれておりました。また検索を掛けて数えたのですけれども、親権停止・喪失、あるいは親権の停止といった文字列で検索すると7回出てきました。かなり多いなと思っております。ページ7からページ8、ページ12では親権停止の審判、ページ14では親権者の一方が子への関心を失うなどして適切な親権行使をしないケースにおいて、親権停止や親権喪失によって対応するというようなことが書かれております。また、ページ21、居所指定のときに親権停止を行うとか、23ページ、親権行使が不適切な場合というようなことが書かれております。
 私は、資料26の書きぶりを見ると最初、すごく親権停止、親権喪失をどんどんやっていいよという方針を変えるということを表明されているのかなと感じました。それだけやりますよということを表明されているのかと思ったのですが、しかし、司法統計を見ると、親権停止の件数は年間260件、親権喪失の件数が年間140件、これが令和2年の数字でございます。しかも、多くが児童福祉、児童相談所経由のものが多く、それ以外の関連の方が申立てしているケースは余りないのかなと、実態を御存じの方はもっとフォローしていただきたいのですけれども、また、児童福祉法の28条や33条の、ここにも資料が挙がっておりますけれども、一時保護とかとのバランスも当然あるのだろうと思うのです。そこについては全く門外漢ではあるのですけれども、意見が対立した、意見を調整できないときには親権停止・喪失がありますよねという資料26の書きぶりが果たして成立しているのか、いないのかが私には判断ができないというか、ましてや、ページ14は、これは後かもしれないのですけれども、子への関心を失うなどして適切な親権行使をしないケース、協議離婚でどこに行ってしまったか分からないみたいなケースも親権停止の対象になるというのは、今までにはこういう事例は利用例がないと思います。こういうところまで適用しますという意思表明をしていいのかどうかも分からなくて、非常に拙速な議論のように受け止めました。
 私どもは就労支援事前面談などもこの間、しているのですけれども、掛け持ちをしているお母さんと事前面談するのが、平日の夜22時だったらできますと言われて、22時に面談した方もいらっしゃいます。そんなことで一体法律アクセスを、スマホで親権停止の申立てができるというようなことだったらあり得るのかもしれないのですけれども、でも、カウンターアクションもあります、当然相手がいろいろなことを言ってくる、それに対応できるのかとか、リーガルハラスメントの温床となるのではないかとか、こういった議論とか、弁護士を頼むことができるかとか、いろいろなことを考えると、軽々にこういったことができるからよいですねと言えるのかどうかというのも非常に、分からないと思ったので、是非もっと詳細な御説明が欲しいと思いますし、親権停止がありますからこれでいいのですという書きぶりで果たしていいのかということも、議論になるかなと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員からはいろいろな御指摘がありましたけれども、3点ないし4点にまとめられるのかと思って伺っておりました。一番最初におっしゃったことは、この資料の枠組みについてで、それは重要な御指摘だったのではないかと思います。婚姻中の親権の共同行使という問題と、それから離婚後の共同行使という問題の関係をどのように考えるのかということで、この資料がどういう考え方に立っているのかということも含めて、検討を要するのではないかという御指摘だったかと思います。また、離婚直後とその後で事情が変わることがある、これは3の親権者の定めの変更というところとも関わってきますけれども、その点を考える必要があるのではないかということを、御指摘いただきました。
 それから、2番目の問題として、法的なアクセスとおっしゃいましたけれども、手続負担の問題を御指摘になっているのだろうと思いました。これは最後、4点目として御指摘になった親権の喪失や停止という制度がどのくらい使えるかということとも関わるところかと思いますが、そうした御指摘もありました。
 そして、3番目は1の(1)から(4)までについて御指摘がありましたが、ルールの明確化を図らないと使えないのではないかという御指摘だったのではないかと思います。
 4番目は、既に申し上げましたけれども、喪失ないし停止についてですけれども、これはゴシックに出ているわけではなくて、それらも最後の受皿としてはあるといった位置付けになっているのではないかと思いますが、この点はまた後で必要に応じて御議論を頂きたいと思います。

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