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花元彩先生に学ぶー共同監護の形態

議事録読み終わったし、休憩兼ねて、下書きしていた文献再読

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監護とは

 監護は、子の居住地に関する権利だけではなく、子の世話・監督・教育・健康・宗教などに関する権利及び義務を含む。
 離婚する父母が監護に関する取決めについて合意できない場合に、裁判官は、子の最善の利益に従い、子の監護に関して判断を下さねばならず、この際、裁判官は、子の成長を積極的に促進し、父母の離婚によって生じる心理的トラウマを軽減するような取決めを選択すべきであるとされている。たとえば、カリフォルニア州では・・・「立法府は、父母が別居もしくは婚姻を解消した後も、子にその父母との頻繁でかつ継続的な接触を確かなものとするということが我が州の公の政策であり、またこの政策の実現のために、父母に子を養育する権利と責任を分担するよう促すことが公の政策であると認め、宣言するものである」と規定しており、これは、立法府が家族を保護しようとしていること、また裁判官にこの政策目標を推進することのできる取決めを選択するよう推奨していることと理解されている。

原則共同親権共同監護論に通じるね

監護内容

 監護はその内容から、法的監護と身上監護の2つに分類される。法的監護とは、子の健康・教育・宗教に関することなど、子を養育するにあたって決定すべき事項についての権利と義務を付与するものである。身上監護とは、通常子とともに生活し子の身の回りの世話をすることをいう。

2つの意味があるのは世界でも同じ

監護形態の分類

 現在実施されている監護形態は、単独監護と共同監護である。

共同監護でいこう

単独監護

 
 単独監護とは、最も一般的に認められた監護形態で、父母の一方に親としての権利と義務を付与するものである。この単独監護は、法的単独監護と身上単独監護に分かれる。法的単独監護とは、親の一方のみに法的単独監護を認めることをいう。身上単独監護とは、子が一方の親の監督のもとでその親とともに暮らすことをいい、この場合、原則として、他方の親には訪問権が与えられる。
 監護について争いがあるとき、父母双方ともに子の監護者として適格であると認められる場合には、裁判所は、どちらの親が頻繁で継続的な関係を非監護親となる親と子の間に認めるかを、監護権付与に関する判断の基準とする。一般的に、協力的な親のほうが単独監護権をえやすい、なぜなら、そのような親は、非監護親と子との接触をより多く実施してくれると考えられるからである。

フレンドリーペアレントルールは当然

共同監護

 共同監護には、法的共同監護と身上共同監護の2つがある。これらの両方が父母双方に付与される場合もあるし、一方だけが父母双方に付与される場合もある。
 法的共同監護とは、父母のそれぞれが、子に関する教育や養育・宗教的教練・日常的な医療について同等の発言権を有し、これらのことを決定する際には、父母の協議が必要となる。たとえば、子を私立学校へ通わせるかどうか、宗教活動に参加させるかどうか、高額な歯の治療を受けさせるかどうかなどについては、父母の協議が必要となる。もっとも、子が宿題をしなければならないかどうかといったことや放課後課外活動に参加するかどうかなどについては、父母の協議は必要ではない。法的共同監護の取決めがなされている場合、身上監護を担っている親は、子の生活についての変化に関し法的共同監護が付与されている親に対して、通知する義務がある。
 身上共同監護とは、子とともに生活して世話をすることの分担を表し、言い換えれば、一般的に子とともに生活する者の交替を意味する。身上共同監護の目的は、子に父母双方とのバランスの取れた触れ合いの機会を与えることである。この身上共同監護には子が一定期間父母のそれぞれの家で父母の一方と生活をともにする形態もあれば、子が生活している家に、父母がそれぞれ一定期間生活しにくる「bird's nest(鳥の巣)」と呼ばれる形態もある。身上共同監護は、父母双方に子を育てることについての権利及び義務を同等に与えるものであるが、必ずしも、父母双方が子とともに生活する時間が同等である必要はなく(※)、子の最善の利益に適う方法で、また、親のスケジュールに合う方法で、父母それぞれが子と生活する時間は調整される。たとえば、カリフォルニア州では、身上共同監護が認められた場合、約70%の身上監護の時間を母親が担当し、残り約30%を父親が担当するという。身上共同監護の取決めのもとでは、子とともに生活をしている期間については、実際に監護をしている親が、子のしつけ、食事や洗濯などの身の回りの世話、緊急の世話に関する即時的な日々の決定をすることになり、この場合、こういった事柄について、身上共同監護者である他方の親との協議は必要ではない。
※たとえば、授業期間中は母のもとで、夏休み間は父親のもとで生活するといった形態や、1週間の4日は母と残り3日は父と生活するといったような形態などがある。

共同監護に2つの意味

共同監護の長所と短所

 共同監護の長所としては、・・・子は、父母の離婚後も、父母双方から自分が愛され彼らから必要とされており、父母が懸命に自分の世話を共同で行っていこうとしていることを認識することができる。これは、子の自尊心を満たすことになる。そして、父母双方と親密な関係を継続することで、子は、父母双方を愛し、父母のそれぞれとともに過ごすことを父母双方が子に許していると感じることができる。その結果、離婚後も絶えず続く父母の争いに子がストレスを感じるということなどはなくなる。このように、共同監護には、父母の離婚によって生じる子の悲しみを軽減し、子の精神的安定を保つという効果がある。また、子の自立心や責任感を育む効果もあるという。
 共同監護の実施によって、離婚親も以下のような恩恵を得る。共同監護が実施される以前においても、父親は、訪問権により子と時間を共有することはできていた。しかし、これにより、父親は楽しい行事を盛り込むことに終始し、子の生活に関与するといった本来的な父親の役割を果たすことができなくなってしまっていた。その結果、父子関係は表面的なものとなり、子は父親の持つ価値観や世界観に触れる機会も少なくなってしまった。しかし、共同監護の実施により、離婚後も父親としての役割を果たすことができる。そして、離婚により、子の人生における自分の役割がなくなるのではないと感じた父親は、父親としての自覚と父子関係の維持に喜びを見出し、ひいては、積極的に子の養育費を支払うようになった(1991年の調査によると、子の養育費の不払いは約58億円であった。しかしながら、共同監護及び面接交渉【または共同監護と面接交渉のいずれか】を認められた非監護親の場合その79%が養育費を支払っていたのに対し、単独監護の場合には約56%の非監護親がこれを支払っていた。さらに、離婚後子について単独監護が取決められた場合、監護権または訪問権を有しない父親のうち養育費を支払った割合は約44.5%であったのに対し、共同監護を認められた父親から子とともに生活している母親に養育費を支払った割合は、約90.2%であった)。また、監護について子の父親と分担することができるようになり、母親は自分の全ての時間を子の監護にあてる必要がなくなったことから、共同監護の実施は母親の自立にも貢献しているともいう。
 共同監護の短所としては・・・もし、父母の関係が子の監護について協議できないほど悪化してしまった場合、そのような状況下でなされる共同監護は子の生活を混乱させることになるし、子の精神衛生上も望ましいことではない。そして、いったん共同監護が実施されたにもかかわらず、父母の関係が悪化することにより共同監護を継続することができなくなった結果、父母の一方が監護権を失うようなことになれば、子に心理的ショックを与えることになる。なぜなら、一般的に、子はこれを自分がその親から拒絶されたと捉えるからである。したがって、いったん認められた共同監護を単独監護に変更するには、その変更を求める親のほうが、従前の共同監護の判決以降、父母や子の状況の変化が極めて著しく、共同監護の継続が子にとって有害となるということを証明しなければならない
 このように、共同監護が成功するか否かは、父母が互いに協力することができるかどうかにかかっている

監護権喪失は子のショックを受ける
だから、原則共同親権共同監護が必要といえる


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