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法制審議会家族法制部会第16回会議議事録8~原田委員・落合委員

後藤先生とのご縁について改めて実感し


 
議事録を読んでいく


○大村部会長 それでは、再開したいと思います。
  残りの時間で、まず先ほど挙手のあった委員、幹事の御発言を聞きまして、その後、議論の対象を資料の第5までに広げて、皆さんの御意見を頂きたいと思っております。

休憩のあと


○原田委員

 弁護士の原田です、ありがとうございます。先ほど棚村委員から、16-1の2ページの現に子を監護する者などについて、後でいいのではないかというお話があったんですが、説明でも面会交流のときの権限に絞られているような感じですし、要らないのではないかと思っております。重要なことではあるとおっしゃいましたが、補足説明の中でもあるように、協議でも十分行えるようなもので、わざわざ決めなくても、法文に入れなくてもいいのではないかという、それは意見として言えばいいということかもしれませんが、今このパブコメで聞くことが非常に多くて分かりにくいといろいろ言われている中で、この中に入れなくてもいいのではないかと考えております。
 もう一つ、第3の(4)の、ページ数でいけば16-1の3、補足説明の25ページのところで、事実婚の場合にいいのではないかというようなことがちょっと、事実婚という言葉は使われていませんが、多分そのことを指しているのだろうと思いますが、実際に事実婚の方、数名のカップルにお伺いしたんですけれども、やはり別れる場合と円満の場合を一緒にできないのではないかと。つまり、別れる場合の規律ができたから、円満な私たちにもそれは適用させていいでしょうというような議論は、余り愉快ではないと。やはりそれは、事実婚と法律婚の関係をどうするかという議論の中で、正面からするべきものであって、ここで事実婚にも適用できるからいいのではないかというような補足説明は、適当ではないのではないかと思います。
 それから、親権者の選択の要件として、先ほど佐野幹事から言われましたように、甲①案、甲②案、それに甲③案として選択できるというような案があった方がいいと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。3点御指摘いただきましたけれども、最初の点は、16-1の部会資料で言いますと、2ページの第2の2というところですね。
○原田委員 そうです、はい。
○大村部会長 ここのところについては、先ほど後でという御発言がありましたけれども、むしろ、要らないのではないかという御意見であると承りました。
 それから、第3の補足説明の中で出てくる事実婚の取扱いについて、少し検討する必要があるのではないかということと、佐野幹事が先ほどおっしゃっていた、(注)を一つ繰り上げて本文にするという提案に賛成であるということ、この三つの点を御指摘いただきました。

議論が未熟で、わかりにくさは自覚のもと適当に削ぎ落とすから、さらにわけがわからなくなって

○落合委員

 落合です。今までの御発言と重なるところがあると思うんですけれども、簡単に述べていきます。
 まず、第1なんですが、いろいろな方が読むので、やはり親の義務ですとか、それと親権と監護権という区別が分からないと、やはり最初から読めないと思うんですね。それで、簡単な形でいいので、それは違うことなんだというような何かを書く必要があるんではないかなと思っています。補足説明の最初に、親権を有するかどうかにかかわらずというようなことがあるんですけれども、その辺りを、この第2と関係させて書くということです。第2を見れば分かるのかなと思うと、第2の方が具体的に書かれていませんので、分からないまま放っておかれてしまうと思うんですね。先ほど御意見が出ていましたように、この辺を詰めるのは後でいいという、それも合理的であると思うんですけれども、パブリックコメントをもらうときに、まず、やはりつまずいてしまうというのを防がねばならないんでないかと考えました。
 それから、第1の2なんですけれども、成年に達した子に対するという。この(注1)をもう少し詳しくして、他の直系親族間の扶養義務よりも重いといったときの、他の直系親族間の扶養義務ってどういうものかという、法律関係の方にはもう当たり前なんでしょうけれども、生活扶助義務と保持義務は違うとか、何かその辺りもこの(注1)、ゴシックの方に書いてしまった方がいいのではないかと思います。
 それで、第2については、先ほども言いましたように、ちょっと簡単すぎるのではないかということです。
 それから、9ページの2の現に子を監護する者というのは、やはりこれは誤解を招きやすいと思います。直感的には、監護権なしに見ている人とか、それから祖父母とかのことかなと思って読むのですが、面会交流中のことだけを書いてありますので。確かになくしてしまった方がすっきりするような気もします。そうでなければ、誤解を防ぐのに、もう少し書かないといけないと思いました。
 それから、第3ですけれども、協議離婚のときに、一方又は双方を親権者と定めねばならないというのですけれども、これがやはり、協議離婚というのはかなり自由にできますので、そこで何が決められてしまうのかがやはり心配でして、ここで家裁の関与が必要なのではないかという御意見が出ていましたけれども、私もそう考えます。それは、15ページの親権者の選択の要件のところにも関わってきますけれども、これは、家裁が関わるのは本当に一部のことだけですよね。家裁か、あるいは、例えば届出をする役所に専門の方がいるなどのもうちょっと簡便な方法があるかもしれませんが、ただ、紙に書いて出せばいいというのでいいのだろうかと考えさせられます。
 それから、17ページの3というところのC案が分かりにくいというのは、私もそう思います。この辺りについては、先ほども御意見が出ましたけれども、複数の人が関わると、いいことと悪いことがあって、悪いことはすぐ決まらないことだというのがありましたが、そうならないために、何重にも親権者のほかに監護者を置いているわけですよね。監護者を定めない場合も、主たるなどというのを置いているんだと思うんですけれども。諸外国はどのように解決しているのかを参考にと思っていたら、先ほどインパスオーソリティーというのを教えていただきまして、それは、2人のうちのどちらかでないといけないんでしょうか、それとも、ほかの方に判断してもらうこともあるんでしょうか。
 それから、子どもの心情や意見を聞くというのが第1の最初にありましたけれども、その後全く出てこないんですね。こういう親が対立したようなときに、まず、子どもの意見を聞いてとか、そういうことを入れるわけにはいかないんでしょうか。双方が親権を持つというのを前提に今まで話をしてきませんでしたので、そのときに起きてくる難しさをどう解決するかということについて、やはり今まで議論が余り十分ではなかったんではないかと思います。ですから、外国でやっているよい知恵とか、それから子どもの意見をここでどう扱うのかとかいうことを書き込めるなら書き込んでいただきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。落合委員からは幾つかの指摘を頂きましたけれども、四つに分けてまとめさせていただきたいと思います。
 まず最初におっしゃったのは、全体として、やはり説明のための用語解説が必要ではないかということで、親権者とか監護とかということについてもそうですし、扶養義務の程度についてもそうだといった御指摘があったかと思います。
 それから、第2について、これでは簡単すぎて何だか分からないというのは、皆さんの御意見と一緒だということで、第2の2が要らないかもしれないという意見や、第3の3のC案が分かりにくいという指摘に賛同されるということだったかと思います。
 3番目に、これも、他の委員から意見出ておりますけれども、協議への公的な組織の関与について考える必要があるということと、それから、子どもの意見を各論的に反映させていくという規定を置く必要があるのではないかということ。また後の手続のところで具体的に出てくるのかもしれませんが、そのような御意見を頂戴いたしました。
 それから、外国法制などについてのお話もありましたけれども、以前に御紹介いただいたものもありますので、また具体的なことを後で決めていくときに、必要に応じて参照するあるいは補足をしていただくということが必要かと思って伺いました。

現に子を監護する者概念って大切だったはずが、削ぎ落とされてしまった

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弁護士古賀礼子
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