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法制審議会家族法制部会第27回会議議事録読む7~向井幹事・沖野委員・菅原委員・池田委員

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さて議事録読んでました

○向井幹事

 最高裁家庭局の向井でございます。最高裁からは(2)①の第三者の確認の点について意見を述べさせていただきます。
 本日の議論をお聞きしまして、第三者の確認の対象が何であるかということがやや不明確になっているという気がいたしました。今、大村部会長にも整理していただきましたけれども、単に合意の真摯性を確認するということにとどまるのか、その合意内容の適正性といったものにまで踏み込んだ確認が必要なのかということにつきましては、それぞれ発言いただいている方の認識も必ずしも一様ではないと感じておりまして、最高裁の方では、この第三者の確認というのは飽くまでも合意の真摯性が対象になっているという認識でおりました。
 裁判所としましては、当事者間の紛争の解決を本来的な役割としていますので、基本的には父母間の協議のみでは合意ができないような紛争性がある事案に対応するのが相当だと認識しております。そうしますと、父母間で合意した内容について、単に合意が真摯なものかどうかを確認することにつきましては、必ずしも裁判所でなければできないものではないのではないかと考えております。
 また、この後議論されます裁判離婚の際の親権者をどうするかというようなことですとか、前回の部会資料にありましたように、離婚後の親権の行使内容に関する争いについて裁判所が調整、判断を行うことなども提案されておりますけれども、裁判所としましては、今申し上げたような紛争性がある事案に注力するのが相当であり、合意が真摯なものかどうかを確認するという基本的には紛争性のない手続を、あえて裁判所に設ける理由はないのではないかと考えております。
 他方、確認の中身が合意内容の適正性のようなものにまでわたるのかということについてですけれども、父母が親権者を双方とするのか、その一方にするのかについて真摯に合意している場合に、例えば、子の利益に反する合意かどうかをチェックするとしても、何をもって子の利益に反する合意なのかということは必ずしも明らかではありませんし、そのように合意をしている当事者からその合意を覆すような資料が提出されてくるのかどうかも疑問があります。さらに、合意内容が適正かどうかを確認しようとしますと、詳細な事情聴取ですとか資料の提出を求めるというようなことが必要になってくることもあると思いますけれども、そうしますとやはり審判、調停にかなり近付くようなことになりまして、こういったことまでして確認するとなると、協議離婚についてのかなり過度な制約にならないかといったような気もいたしており、ここまで確認の対象として広げるのはどうなのかというような気もいたしております。
○大村部会長 ありがとうございます。向井幹事からは(2)①について御意見を頂きました。二つありましたが、まず、最初の方で若干整理いたしましたが、確認の対象が何になるのか、合意の真摯性にとどまるのか、適正性まで含むのかということによって考え方というのは異なってくるのではないかという御指摘がありました。真摯性についてチェックするということであると、それは必ずしも裁判所である必要はないし、裁判所はむしろ他のもの、紛争性があるとおっしゃいましたが、そういうものに集中するという方がいいのではないかという御意見だったかと思います。また、適正性についてまで踏み込んで判断するということになると、子の利益が基準になるかと思いますけれども、ここだけの問題ではないかもしれませんが、これはなかなか難しい問題があるであろう。父母が合意しているときに、裁判所が子の利益に反するという判断をすることが実際上どのくらい可能なのか、仮にそういう判断をするとなると、手続が重くなって過度の制約ということになりはしないかといった御意見を頂いたと思います。ありがとうございます。

裁判所の役割論

○沖野委員

 委員の沖野でございます。何度も申し訳ございません。(2)について、少し追加して申し上げたいことがございますので、手を挙げさせていただきました。
 (2)の第三者確認と、それから、それを補完するというか、それと言わばセットになった②ということについてなのですけれども、佐野幹事から、一定の場合には少なくとも、できるというよりは必須とすべきではないかというお考えが示されたように思いました。具体的には、共同親権だけれども監護者を決めないという場合は、例えば裁判所のチェックを必須とすべきだというお考えであるように伺いました。ここでは監護者の指定というものが一体何なのかということが不透明な形になっておりますので、結局は部会資料26の問題に戻ってくるかとは思うのですけれども、お話があった内容を見ますと、誰と同居するのかというようなことも決めていないというお話でした。
 ただ、誰と同居するかということが果たして監護者の指定の問題なのかというのは、法的に監護者という地位を与えるということが何を意味するのかということによって決まってくるようにも思われます。そして、誰と同居するのかという話であるならば、単独親権でも同居者はどうなるか決まっているのですかといった確認をするような話はあり得るように思われますので、法的な地位として共同親権プラス監護者指定なしという場合だけは必須にすべきだということには、余り十分な理由がないのではないかと思っております。もっとも、繰り返しですが、監護者指定とは何であって、監護者とは一体何を意味して指定をいっているのかということが決まらないと、必ずしも決まらないわけではありますけれども、やや今のような特定の場面にだけ必須とすることについては懸念を覚えるところでございます。
 それから、(2)②について、先ほど熟慮期間ということが考えられるのではないかと申し上げました。さらに、熟慮期間をセットにするというのは、少し消費者法のクーリングオフなどに引き付けすぎているかもしれませんけれども、やはり熟慮というか、しっかりとした意思決定というのができているのかということが、そこに客観的に不安な状況があると、一般的に現在の協議離婚というのはそうではないかと言われておりますので、しっかりとした意思決定がされているのだということが別途確保されているような場合でない限りは、短い期間の熟慮期間というか、そういうものを設けたらどうかという発想でおりまして、一定の要件というのはそういう意味で考えられるべきものです。変更の場合は、既に一定の合意ですとか審判ですとか、そういう形でこれが望ましい在り方だと決まったものは基本的に尊重されるべきところ、その尊重の基礎が揺らいでいるような場合に覆すという状況ですので、変更の要件がこれでいいかどうか、やや限定的にすぎると思いますし、消極的な面にばかり注目しているように思われますけれども、部会資料26で書かれているのは、現在の親権者による子の監護等が困難又は不適当であることによって子の利益を害するということになっています。もう少し違う形の方が、例えば、より、こちらの方が相当であるとか、相当であることが明らかであるとか、そういう要件立ても考えられるかと思いますけれども、いずれにせよ、本来尊重されるべき合意なり決定を覆すだけの基礎が変わってきているというところを要件化するというものです。これに対し、②の局面は本来尊重されるべき合意というのがきちんと形成されているのかということが確保されないという場合についてのものですので、要件はやはり変わってくるのではないかと思っております。むしろ客観的な状況の方ではないかと思っておりまして、もちろん既に裁判所のチェックが掛かっているということであれば、それはもう一定の要件のところで、こちらに入り込むようなものではないと思いますし、それから、余り例はないということで、余り言及はないのはそのせいかと思いますけれども、途中で、例えば石綿幹事が、代理人によって双方が代理されているという点についての御指摘がありましたけれども、仮に双方が弁護士を立てて、その上で協議をして決めた結果であるというようなことであれば、熟慮期間などは必要がないだろうと考えておるところでございます。
 もう一つ、御議論の中で出てきたものは、言わば試行期間といいますか、試し行うの意味でのものですが、やってみたけれどもうまくいかなかったというような場合は、熟慮期間に関わる要素もあり、実は予想が及んでいなかったという意味ではそういうことかもしれませんが、状況として熟慮が保障されていないというよりは、やってみたけれどもなかなかうまくいかないということが類型的に登場し得る場面であるということであるならば、一種の試行期間ということを組み合わせるということは考えられるのかもしれません。
 ただ、いずれにしても短い期間とはいえ、一旦決めて走り出しているものを更に覆すという効果を持ちますので、容易に認めていいのか、あるいは期間というものはそれなりに短い期間、武田委員から3か月というのがありましたけれども、そのくらいが想定されるところなのかなと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。沖野委員からは、その後の委員、幹事の発言を踏まえて、先ほどの御発言を補完する趣旨の御発言があったと理解を致しました。2点ありましたが、1点目は(2)①につきまして、第三者の確認を求めることができるということに賛成するというのが当初の沖野委員の御意見でしたが、佐野幹事から一定の場合に限っては、できるということではなくて、しなければならないということにすべきだという御意見がありました。それについて、やはり、できるとするのが妥当ではないかということで、例を挙げられてお話があったと受け止めました。2点目は②について、沖野委員の発言を受けて熟慮期間という言葉でその後、御議論されているところでもありますが、消費者法でいうとクーリングオフという言葉がありますけれども、一旦決めたことを覆すのに足りるような要件というのは何であり、また、期間というのはどういうものなのかということを考えるべきであり、他の場面と区別してやはり考える必要があるのではないか。試行期間的なものについても、それがあるのだとすると、そういうものと組み合わせるという形で考えていく必要があるのではないか。このような御趣旨だったかと思います。ありがとうございます。

監護者指定とは何なのか

○菅原委員

 ありがとうございます。それでは手短に意見を述べさせていただきます。部会資料27の1の(1)から(3)までの大枠については、事務局案に賛同したいと思います。
 その上で、①について既に議論がされてきたように、第三者の確認を求めることができるものとするという部分が離婚後の子どもの利益を考えると非常に重要なポイントであると感じます。ただ、これを必須とすると離婚のハードルが上がりすぎて協議離婚が難しくなるということも確かですので、できるものとするというのは相当だと理解しました。
 また、誰が何を確認するか、というところが重要なのですが、その誰がというところで、先ほど裁判所の方もおっしゃっていましたが、家裁の確認が必須となると、事務作業量的に現実的に難しいのではないかと思います。全く素人判断ですけれども、日本は離婚後の共同養育について伝統がなく、今回、共同親権で共同養育を選べる人たちが初めて多く出現してきますので、何をどうしたらいいか分からない人はたくさんおり、まず離婚後の共同養育の計画といいましょうか、そういうものを適切に立てていくに当たっての支援が必要になると予想されます。それはやはり基礎自治体の窓口などが担うことが適切で、例えば離婚届に、マスト事項でなくても、離婚後の養育についての共同養育計画を立てましたかといったチェック欄を設けその計画はどのようなものですかと内容を尋ねるなど、もしもそういう書式を工夫していただけるなら、次第にそれが国民の習慣になっていくのではないかと思います。今後、共同養育についてどうしていいか分からない人がたくさん出現してしまう可能性がある中、主たる子どもの同居者も決めないまま共同親権を選ぶような離婚については子どもが宙に浮いてしまうかもしれず、やはり危惧を覚えます。最低限必要な主たる子どもの同居者の決定とか、離婚前に養育計画を立てることを離婚届の書式に盛り込むなど、離婚後の子どもの養育について幅広く皆がそこに参加できるようなシステムづくりを考えていく必要があると考えます。  
○大村部会長 ありがとうございます。菅原委員からは、大きな枠組みについては賛成だという御意見でした。その上で、1(2)①につきまして、様々な御意見が出ていますけれども、第三者の確認を求めることが望ましいということはあるのだけれども、全件に求めるということはやはり困難であろうから、現在の確認を求めることができるとするというのが相当ではないかという御意見だったかと思います。その確認に当たって、養育計画のようなものが広がるような方向が望ましく、例えばフォーマットのようなものを固めていくといったことが同時に試みられるべきだといった御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。

共同養育計画

○池田委員

 池田でございます。(2)の①、②について意見を申し上げたいと思います。私が賛否をまだ決めかねているところはあって、考え方にいろいろあるということを少し申し上げたいという程度のことなのですけれども、まず、最初に小粥委員からお話がありましたように、かねてより日本の協議離婚制度というのは完全に当事者任せということで、本当に合意の真摯性、あるいは内容の適正性ということについて担保がないのではないかという批判はされてきたところです。実務を扱っておりまして、単独親権制の下でも、反対の当事者が本当は親権者になるべきところ、そうではない、意思の制圧を受けて違う選択を採られているというようなケースもあるところですので、合意の真摯性というものを担保していくべき要請というのは強いと感じています。さらに、共同親権というオプションが入ってきたときには、よりその要請も強いのかなと思っています。
 そういうことを考えますと、①の事前チェックというのを非常に重く考えるということは、選択肢として、あるいは少なくとも理念としては十分に考えられるところかなと思っています。その意味で、原田委員がおっしゃったように、第三者というのを家庭裁判所というふうに設定し、かつ、できる規定ではなくて、しなければならないというふうに全件チェックをしていくという方向性にも共感を覚えるところです。
 キャパシティーという問題を考えたときには、対象を絞るというのは少し違和感があります。単独親権をとる場合、共同親権をとる場合、いずれもチェックが必要だと思いますので、対象を絞るというよりも、1ページ目の(注1)にありますように、申述をするという形で内容を落として全件対象とするということも考えられるのではないかと思っています。
 他方で、そういった要請に共感しつつ、なかなかそれが現実的ではないとするのであれば、②をもっと使いやすくして、事前チェックをとらない代わりに、それに匹敵するような事後チェックという制度設計もあり得るのではないかと思います。そういう観点からしますと、一定の期間に限り、一定の要件の下でとありますけれども、要件を設定しないで期間制限だけをして、単に一定期間の間であれば撤回ができるというふうな制度設計もあり得るのではないかと思います。その場合の効果としては、もう一度定め直すとするのか、あるいは②と(3)をもう連動させて、そこでもう一度白紙に戻して③の制度につなげていくという形もあり得るのかなと考えているところです。
○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からの御発言を(2)の①に関する話と②に関する話と差し当たり分けて整理をさせていただきますけれども、①については、合意の真摯性の確保は少なくとも理念としては必要であるという御意見だったかと思います。その観点からすると全件家裁でというのが望ましい、家裁の負担を減らすことも考えられるのではないかという含みの御発言があったかと思います。ただ、それは実際上は困難であるということも分かるので、そうだとすると、②の話になりますが、②を使いやすいものとするという選択肢もあるだろう。その場合に、期間制限だけをして、要件について何か制限を課すということはせず、撤回ができるのと同様の扱いをする、(3)とこれを連続的な制度として構築していくということも考えられるのではないか。こういう二つの方向をお示しいただいたものと理解を致しました。

もはや信用ならないけどね

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