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法制審家族法制部会第10回議事録3~小粥委員・佐野幹事・武田委員・水野委員・大石委員・沖野委員・青竹幹事

5年前閉校式があって、懐かしく検索してみたら

終焉に直面してショックである

実際の終焉は、最後の祝賀会を嵐の合間にかけつけたあのとき

翌年は、コロナ禍で延期した中見事合格された後輩もいたことを確認するにとどまってしまい、そして、最終挑戦を見届けた

さみしいが、人生とはそういうものなのかもしれない

歴史に刻まれる思い出の片鱗をせめて残し、また明日に向かう

警戒していかないと、世の中がどんどんヤバい方向に向かう

善意だから恐ろしい

セミナーは今夜 がんばる

さて、議事録

○小粥委員 

小粥でございます。
 最初の総論部分ですので、少し浮世離れしたようなことを申しますけれども、お許しいただければと思います。申し上げたいことは、財産分与のルールを作る際に、そのルール作りが将来に向けてどういう効果をもたらすのかということを考慮することが必要ではないかということです。
 たまたまですけれども、今、水野委員がおっしゃったこともそれに関わることでございましたけれども、つまり、個々の財産形成に対する貢献寄与などを細々と測定していくというようなことになりますと、これは離婚の原因を探り出すというようなことになって、なかなかスムーズな額の決定に至らないという可能性もございますし、それから、補償についても過去志向で考えていきますと、あのとき私が仕事を辞めた、いや、それはお前が勝手に辞めたからというような話になってしまいますので、水野委員が今おっしゃったように、将来展望的な形で補償的要素を入れていくと、そして、大きなサンクションを用意することによって婚姻中の平等をより間接的に促すと、できればそういう視点も込みで、振り返って正確に財産分与額を測定するということも一方では重要だと思いますけれども、将来に向けて、武田委員が、だから2分の1は諦めて、すぐに次のことに行こうとおっしゃったこともそれに関わると思いますけれども、将来に向けてよい流れになるようなルール作りという視点は考慮に入れていただければと存じます。

ルール作りとしては当たり前なような・・・行為規範としてね

○大村部会長 ありがとうございます。ルールを作るに当たって、どういう影響が及ぶであろうかということも考えて議論をすべきだという御指摘で、過去を回顧してというだけではなくて、将来に向けてどうするのかという視点も重要であるという御指摘を頂きました。 

○佐野幹事 

2点だけ申し上げます。
 まずは扶養的要素、今までずっとお話がありましたけれども、やはり実務的な感覚で、裁判実務ではなかなか認められていませんので、入れていただく必要はあるのかと思います。そのとき②-2の、元配偶者の生活状況というだけで足りるのかということは、少し疑問を持っております。平成8年の民法要綱のところでも、もう少しいろいろな要素が入っていたかと思いますので、そういったものも含めて検討していく必要があるかと思います。
 もう一つ、先ほど窪田先生がおっしゃったことと絡むのですけれども、子どもの関係を入れていくというのは、別の要素を入れることになるのではないかというお話があったのですが、この考慮要素、もし平成8年要綱の内容や現行法の規定のあり方を考えると、この考慮要素というものは、分与方法にも関わってくるところなのではないか、そうすると、後で話が出てくるような居住用不動産をどうするかとかといったところについては、子どもの福祉や利益というのが考慮要素として挙がってもいいかと思いました。

○大村部会長 ありがとうございます。2点御指摘を頂きましたが、1点目については、扶養的要素を入れていただきたいという御希望と、考慮事由をもう少し書き込んだらどうかという御提案を頂きました。それから、2点目、子どもの問題をどうするのかということについて、財産の分け方においてその点を考慮に入れるといったことも考えられるのではないかという御指摘を頂いたかと思います。

○武田委員

 親子ネット、武田でございます。
 冒頭の戒能先生の補償の考え方、キャリアが婚姻によって損なわれたと、それは当然あると思います。それはおっしゃるとおり。この補償という考え方、私も物の本で少しだけ読みまして、一定の金額、これを一定期間、要はキャリアによって月収、例えば、先ほどの水野先生の話で言えば10万円と、それが本来きちんと生活できるレベルまで回復するまでの期間と、そんなふうなものも少し拝見させていただきました。
 少しイメージが私、湧かなかったのが、今は制度はないとは思うのですけれども、例えば水野先生がおっしゃった、旦那が月収100万円で奥さんが10万円と、これって、例えば養育費、養育費は確かにもうお子さんのものですから、妻に対しての扶養的要素は入らないと思うのですけれども、そちら側で何か新しい組み方ってできないのかなというのが私の素朴な思いです。離婚の流れの中で、恐らくこの養育費とか面会交流の方が先に決まる、財産分与が後になって、最後に、財産分与を決めようという話が非常に多いように思っていまして、その際に、要は、新しい制度の話と、100万円と10万円であれば、一定の養育費の金額になると私は思っていまして、そこがいわゆる現状の算定表で一定は表現されている。そこに、例えば扶養的要素を入れる何らかの考え方を作っていく、こんな考え方ってないのかなと今、先生方のお話を聞いて、素朴に思いました。
 少し水野先生が歴史も御説明いただいたので、本当にありがとうございます。可能であれば、その辺を少し水野先生から補足いただけると有り難いなと思います。

○大村部会長 ありがとうございました。御指摘は、今、財産分与の方で子どものこともということが言われているけれども、養育費の方で元配偶者のこともといった選択肢は考えられないかという御趣旨と承りましたが、水野委員、もし何かあればどうぞ。

○水野委員 

子どもの問題は子どもの問題で親権行使方法も離婚時に決められますし、もちろん養育費の問題もあります。それとプレスタシオン・コンペンサトワール、補償給付とはまた別問題です。配偶者に対する離婚後扶養を一時金で与えるように固めたという発想で出来上がっています。ただ、破綻主義離婚法立法当時よりは、相当、柔軟に変更できる方向に変わっておりますし、それから、女性の就業率も変わっておりますし、現在のところ運用の数字などは、申し訳ありません、追い掛けておりません。

○武田委員 ありがとうございます。
○大村部会長 ありがとうございます。
 ウェブの方で、大石委員、沖野委員、それから青竹幹事とお三方、手が挙がっておりますので、お三方の御意見を伺って、そこで休憩したいと思います。

○大石委員 

千葉大学の大石です。
 ありがとうございます。私は法学者ではないので、いろいろ視点の違うことを申すかと思いますが、以前、養育費の関連でもストックとフローの話をコメントしていたことがあったかと思います。この財産分与、子が関わる場合とかも含めて、財産分与の問題についても、離婚時点である現存財産だけではなくて、例えば、夫と妻、それぞれのその時点から将来に向かって得られるであろう所得の流列というのでしょうか、定年まであと何年あって、月収100万円で何年間働けるとか。例えば、交通事故のときの逸失所得の算定とかもありますけれども、同じような発想で、夫と妻それぞれの将来にわたる所得も評価して、それも含めて2分の1というような計算などができれば本当はよいのかもしれないと、皆さんのお話を聞いて思いました。
 特に子どもの扶養に関わる問題としては、2分の1では子どもを引き取る側にとっての公平性が保たれませんから、子どもを引き取る側により多くなるように割合を変えることも考えられるかと思います。将来にわたって養育費をフローで得るということも考えられますけれども、将来所得も考慮した上で、現時点でその夫婦が全部稼ぎなし得た金銭的な価値というのでしょうか、それを評価して、その中から養育費分を考慮するとかいったことが今後、できないのかなと思います。
 居住する家についても、同様の問題があります。例えば、賃貸ではなくて持ち家であっても、月何万円分かの居住サービスというのをその持ち家というのは生み出していると考えられるわけですので、その時点での不動産の評価というやり方もありますけれども、将来的にわたって財産から生み出されるものというのを考慮した上での財産分与というのを考えることはできないのかなと思います。
 以上、少し変なコメントになったかもしれませんが。ありがとうございます。

○大村部会長 ありがとうございます。資産の評価をするときにストックとフローとを分けて考える必要があるという御指摘を以前から頂いているところかと思いますけれども、そうした観点をいかすことができるのではないかという御指摘を頂いたと思います。財産分与の場合には現在あるものをベースに考えておりますので、今おっしゃっていただいたような考え方を取り込むとしても、どういった形で取り込むのかということが問題になりそうですが、あり得る方向性として伺いました。どうもありがとうございます。

○沖野委員

 ありがとうございます。3点を申し上げたいと思うのですが、実はいずれも自分の方でも漠としてまとまりがなく、ただ、総論的だから今はいいのではないかと小粥先生がおっしゃったことに力を得てということなのですが、一つ目は慰謝料的要素の関係です。慰謝料的な要素については性格としては、これは不法行為であるということからしますと、また、損害賠償を認める根拠というのがそれとは別途ないということであれば、やはり性質は違うものとして理解をするのがよろしいのだろうと思っているのですけれども、しかし、そうしますと、一方は家裁、一方は地裁というような形で分断が起こるというのも必ずしも望ましくないと思っております。紛争の一括的解決というのも大変重要ではないかと思っておりまして、そうしますと、財産分与の請求の際に慰謝料の分についても取り込むことが、財産分与として取り込むのではなくて、その部分も、例えば当事者が合意するならば入れてこられるというようなことは十分考えられるのではないかと思っております。
 念頭に置いておりますのは、例えば遺産分割の場合に、遺産でない財産を補充的に調整のために使うというようなことは、当事者が合意すればできるわけですし、それから、当然分割になるような債権についても入れてくるというようなことは認められており、それは審判の場合にも、当事者の合意ということを経て認められておりますので、少なくともそういう形で一体的な解決を図るというのは、両者が違うものであって、財産分与とは別に慰謝料があるということにしたとしても、十分できるのではないかと思っております。それが一つ目です。
 二つ目が、扶養的要素という点ですけれども、今回御議論いただいた中で、やはり扶養的要素という表現が非常にトリッキーに思われました。ここで今まで明らかにしていただいた中には、一つは清算的な要素としまして、いわゆる狭義の意味での財産を共同体の中でどう形成してきたかということの清算ということもありますけれども、稼働能力ですとか、資格ですとか、そういうものを一方のサポートによって他方のところに集積してきたと、そういう形態を選んできたということもあると思います。いろいろな国家資格などを苦労して得て、でもその間、財産面は全部一方が支えてきたと、ようやく稼げるようになって、そこで解体するというようなこともあり得るわけなのですけれども、そういう形ある財産にはなっていないけれども、経済的な収益などを生むような能力面での清算ということは十分あるのだと思います。ただ、それだけなのかというと、やはり多様な家族関係というのがありますし、互いにキャリアを築いてきたということであれば全く問題ないのか、例えば、解消の直前に異常な事態が生じる、病を得てとか、事故でしばらく働くことが難しくなったというようなことはありうるわけで、そのような場合の考慮は大分要素が違ってくるのだと思います。
 しかし、私は、ここから感想ですけれども、婚姻の形で夫婦で共同体を形成してきた、その共同体を解消するときに、どういうような立場で次の生活を送っていくのかということについて、それぞれが単独で、夫婦ではないという形で生活をまずはスタートする、別の家族を形成するということも十分あると思うのですけれども、そういうのに際しては、互いへの配慮義務というものがやはりあるのではないかと思われまして、それを扶養と呼んでしまうから、扶養義務というのがあるのですかというような話になってくるのですが、そういう性格ではないのではなかろうかと。ただ、それが具体的に2年間は生活をサポートするとか、そういうような形になって表れているだけで、考え方としては違うものとして整理した方が、より見通しがよくなるのではないかという印象を持ちました。
それから、3点目が子どもの養育との関係なのですけれども、これも伺っていまして一つ気になりましたところに、夫婦間の問題とはまた別の話だということになるのですけれども、取り分け同居親というのは子どもに対して、一種の現物給付というか、身近なケア等を含めて子どもの養育に当たっていくということになると、そういう養育を担うための、何というのか、原資というのも少しおかしいかもしれませんけれども、そのようなサービス提供ができるように大元を整えるといいますか、そのために必要なものを一方に与えて、やってもらえるようにするというような面が財産分与の中で出てくる面というのもあるのではないかという気がしまして、それは扶養の問題だという、そういう性格かもしれないけれども、子どもの扶養をダイレクトにというよりは、同居親を経由して、そのサービス提供で実現させる部分について状況を整えるべく配慮をするといいますかサポートをすると、そういう面はあるのかなと思ったところです。非常に漠として、構成も正確ではないのですけれども、印象としてそういう印象を持ったというのが3点目です。

○大村部会長 ありがとうございます。3点御指摘を頂きましたけれども、いずれも問題の整理に関わる御意見として受け止めました。まず一つ目、慰謝料というものについては、性質は異なるけれども、異なる性質の慰謝料をあわせて処理するということはできないかという御指摘を頂きました。それから、二つ目に、これまで扶養として御意見を頂いたものについて、その性質の違いを区別して、清算の中で処理すべきものと、将来に向けての配慮に関わるものとに分けて考えるべきではないかとという御指摘。そして、三つ目として、子どもの問題については、これも将来に向けてということになるのだろうと思いますが、子どものケアに関わるものを対価として組み込むことができないかといった御指摘を頂いたかと思います。最後の点は養育費との関係を更に検討する必要があるかと思って伺いましたけれども、今後議論していく上での考え方をお示しいただいたと受け止めました。

○青竹幹事

 ありがとうございます。青竹と申します。2点ありまして、まず、慰謝料を財産分与から分離するという点についてですけれども、御指摘が出たような手続とか性質の違いといった点に加えて、慰謝料の額とそれ以外の財産分与の清算とか扶養を、丼勘定ではなくてきちんと算定するという観点からも、基本的に方向性は正しいとは思っております。しかしながら、沖野委員、そのほかの委員からも御指摘があった離婚の手続の点について、主に私の方からは当事者の負担ということを申し上げたいと思うのですけれども、財産分与の審判と別に慰謝料を請求する訴訟を提起するということになりますと、やはり当事者にとって負担が大きいのではないかと考えております。特に、再三指摘されているDVの事例を想定すると、負担が大きいという問題のために、かえってひとり親家庭の負担の軽減という方向に逆行するというおそれがあるのではないかと考えました。それで、問題が生じているということではないのであれば、現状を維持して、財産分与には清算と扶養と慰謝料の要素を含めるという方向を維持した方が、かえって法制審の目的に逆行しないのではないかと思っております。
 2点目ですけれども、扶養的要素ですが、これは余り実務で認められていないと指摘されていますけれども、一方で財産分与に扶養的要素、離婚後の扶養の考慮があった方がいいということはほぼ一致した見解のようですし、比較法的に見てもそういう立法例が多く、離婚後の扶養を考慮することが望ましくないとはみられていないので、これをきちんと明文化するという方向でよいのではないかと考えております。

○大村部会長 ありがとうございます。2点御意見を頂きました。1点目については、慰謝料について、分けて考えるということが理屈は通るけれども、当事者の負担を考えると、一体として扱われることが望ましい、そう考えると、大きな問題がなければ現状維持がよいのかもしれないといった御指摘。それから、もう一つ、扶養については何らかの形で規定を置くほうがよいのではないかといった御指摘を頂きました。ありがとうございます。

 ここまで御意見を伺ってまいりましたが、ここで少し休憩したいと思います。財産分与の要素については、かなり皆さんから御意見を頂いたと思いますが、もし更に何かあれば、その後伺いたいと思います。いずれにしましても、少し中断させていただきます。10分休憩しまして、15時に再開いたします。

 

          (休     憩)

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