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法制審議会家族法制部会第15回会議議事録6~落合委員・大石委員・北村幹事・佐野幹事・武田委員・原田委員・久保野幹事

懸念はある

不安の根拠はあるのか

克服するには考えるしかない!

ちゃんと届いている

お遊戯会は気にしない

今週も議事録を読んでいく

○落合委員

 何度もすみません。私は、先ほど事務局の方からお話のあった、親は2人と大体考えているというところにちょっと引っ掛かったものですから、一言申したくて。親、養育に主に関係する人が2人だというのは、この100年ぐらいの常識なのではないですかね。非常に近代的な常識であって、ですから、それは前提に考えない方がいいのではないかということを、言っておきたいと思ったんです。もっと大勢が関わっていた時代もありますし、社会もありますし、現在でもそういうこともあると思います。逆に、本当に1人で育てるということもありますし。ですから、2人が適当なのではないかというのは、ちょっと取っ払っていただきたいと思って、ちょっと発言しました。
 かと言って、水野委員がおっしゃったように、どんどんどんどん増えていくというのも、また現実的ではありませんよね。それがいいと言っているわけでは全然ないんですけれども、2人というのも、固執しない方がいいのではないかと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。親は2人だということに固執しない方がいいのではないかという御意見を頂きました。現行法の下でも、親は2人以上になることはあるわけで、まず、実親のほかに養親ができます。それも水野委員がおっしゃったように、たくさんの養親ができることもあるわけです。問題は、親権を行使する人をどのように絞り込むかということで、それをどう制度化するかということではないかと思います。落合委員がおっしゃったように、様々な人が子の養育に関与しているという事態は、近代以前にもあったでしょうし、今もあるでしょうが、親権者以外の人による監護という問題は、ここでも議論の対象になっているかと思います。事実上の監護を誰が行うのかという問題と、親権者としての決定権限を誰が行使するのかという問題は切り分けて考える必要があるのかと思って伺っておりました。しかし、親が2人でなければいけないという前提で考える必要はないという御指摘は、確かにそうだろうと思って伺っておりました。ありがとうございます。

落合委員いつもありがとうございますー


○大石委員


 千葉大学の大石です。私も質問があります。親が幾つもの養子縁組によって増えるかもしれない場合に、子にとっての親の扶養はどのようになるのでしょうか。子どもが独り立ちするまでの期間が20年程度である一方で、高齢化社会になってまいりますと、親の介護が何十年にもわたるという可能性もあるわけです。何人もの親がいる状態となった場合に、成人後の子どもにとって、そういう親の扶養、あるいは介護とかいったものは、どのように現行法では捉えられているのかについて教えていただきたいと思いまして、お伺いしました。
○大村部会長 ありがとうございます。その問題は考え得る一つの問題だと思いますけれども、事務当局の方でさしあたりのお答えをお願いいたします。

養子縁組って何なのだろうね


○北村幹事

 親ですので、扶養の義務自体は生ずるとは思っております。ただ、その順位であるとか、そういったものが整わない場合には、家庭裁判所で決めるのが現行法の立て付けにはなっております。
 そういったことを踏まえて、水野先生の方から、転縁組についてどう考えるのかなどといった御指摘もあったのかなとは受け止めております。
○大村部会長 ありがとうございます。
 そのほかいかかでしょうか。

転縁なんていうマイナーな世界に


○佐野幹事


 幹事の佐野です。これ、離縁のところまでお話ししても大丈夫でしょうか。
○大村部会長 どうぞ、結構です。
○佐野幹事 離縁のところ、先ほどくぎを刺されたところではございますけれども、養子縁組のところで家裁の許可が必要であれば、離縁のところでも必要だという意見を述べておきたいと思っております。
 例えば、昨日頂いた調査を見ましても、やはり大人の意向で離縁がなされている様子がうかがえました。そういう意味では、一応表面上はいいと言っていたけれども、よくよく子どもの意向を聞いてみると、離縁は嫌だと思っているといったような場合、養親の方と子どもの実質的な関係がある場合には、離縁について、大人によく考えてもらうということも考えられるのではないかと思います。その上で、養親子間の面会交流や養育費などといった問題を調整する機会になるということもあり得るのではないかと思います。ですから、やはり離縁についても家裁の許可は必要と考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。離縁についても、家裁の許可を要するとする点を、なお引き続き検討する必要があるのではないかという御意見として承りました。
  ほかにはいかがでしょうか。

養子縁組するも解消するも家裁の許可に


○武田委員


 親子ネット、武田でございます。あんまり、ここ、御意見が出ないようなので。
 これから将来、どんな世の中になるかのということも、やはり考えておかなければいかんだろうなと思っています。具体的に、1巡目でも触れました、再婚後、また離婚すると、統計はないようですけれども、恐らく極めて高い数字で、今後、更にそれは高まっていくのではないかと、そんなふうに感じています。
 少し調べましたら、米国では、再婚時の離婚率って六十何%みたいな数字もあると、どうも私はそういう前提で物事を考えてしまっています。これがいい、悪いということを言うつもりはなくて、そういう複数回に及ぶ離婚、再婚、養子縁組、これは、子どもにとって基本的にはよろしくなかろうという発想で、先ほどの養子制度に関する規律のところでも、池田委員がおっしゃったような繰り返しているケースというのは、一定要件になり得るという御意見だったと思いますが、こういう入口で一定歯止めを掛けていくのか、また、この制度の中で、いわゆる親権というものをどうするのか、あと、こういう離再婚が繰り返されている中での養育費、これは、本当に今の運用上でいう、継親が一義的な責任を持つということで成り立ち得るんだろうかということを、私自身は疑問に思っているところでございます。
 具体的には、私どもの会員の多くは、元配偶者が再婚、養子縁組しました、その事実は知りませんという方が多いんですけれども、やはり引き続き、金額下げずにそのまま払っているケースというのはかなり、私どもの中では多いです。なので、逆に、養子縁組後も父母として関与していく、一定親権行使の道も残す。あわせて、子の扶養義務については、実親が引き続き一義的な責任を負い続ける、このような考え方も、私はあるのではないかなと、こんなふうに感じています。実際、本当にこういった当事者がそこまで思っているのかというところは、実は、今月からアンケートを始めていますので、またどこまでそういう思いがあるのかというところを少し客観的にしまして、報告できるようになれば、また御報告をさせていただきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。武田委員の今の御意見は、2の(2)の扶養義務について、まとめた形で申し上げると、ここで書かれているのが現行法の建て付けではないかと思われますけれども、このように行われていない例もあるのではないか、もしそうだとすると、その実態を反映した制度設計を考えていく必要もあるのではないかという御指摘として承りました。扶養義務の方がそのような形で明確に養親側に移らないのだとすると、親権の方についても考える必要があるのではないかという御指摘も含めておっしゃっているのではないかと思って伺っておりました。
  ほかにはいかがでしょうか。

共同親権と自ずと絡むよね

○原田委員

 すみません、途中から参加したので、皆さん既に議論されているかもしれませんが、一応意見を述べさせていただきたいと思います。
 弁護士委員からあったかもしれませんが、養子制度について、弁護士会の中では、現行法を変えるだけの立法事実がないのではないかという意見もありました。立法理由として、子の福祉に合致しない縁組を阻止するという御意見がありましたが、裁判所の許可とすることによって、逆に福祉に反する例もあるかもしれないということも考える必要がある。既に頂いた調査を見ると、やはり養子縁組してうれしかったとか、縁組しなければ困ったと思うなどの意見も半数あったように思えて、特に連れ子養子の養子縁組を複雑にすることがいいのかどうかという考えもあります。そういう意味では、入口のところも出口のところも同じですし、裁判所が適切に判断できるのかという疑問もあります。裁判所の判断と言う意味では、孫養子の場合は、親権と監護権の分属がデフォルトになる可能性があって、その親権と監護権の分属の問題でもめているところをどのように考えるかと、裁判所の判断基準が難しくなるのではないかと思います。
 それから、未成年者の意思の確認や年齢引下げの問題ですが、裁判所の関与を入れるんであれば、引き下げる必要はないのではないかと思います。そこで十分子の意見を聞くことで、不適切な養子縁組は防げるのではないかと思います。逆に、裁判所の関与を入れないで引き下げるということになると、12歳なり10歳なりの子どもが、誰の支援も受けずに意思決定しなければいけなくなるという事態にも考えられるのではないかと思います。それから、親権者でない実親の意見を聞くという点については、これを入れるんであれば、裁判所が関与して、緩やかなフェーズにして、裁判所の裁量によって意見を聞くことができるという程度にした方がいいのではないかと。
 皆様の御意見を聞かずに申し上げて、申し訳ありませんけれども、以上です。
○大村部会長 ありがとうございます。休憩前に議論をしていた要件の方のお話だったかと思いますけれども、要件の加重について、裁判所の関与を求めるという意見が多く出されましたが、それに対する慎重論をお述べになったと受け止めました。そのほかに、年齢引下げと裁判所関与の関係について整理が必要ではないかという御指摘と、父母の関与については、裁判所の裁量に委ねる御意見、この裁量が可能なのかという点について休憩前に議論がありましたけれども、そのような御意見として承りました。
  そのほかいかがでございましょうか。

弁護士の意見やばいね


○久保野幹事


 ありがとうございます、幹事の久保野でございます。未成年養子縁組の効果の(1)のアの②につきまして、この共同して行使するということを、具体的な規律を設けていくという方向で検討するのは、少し難しいのではないかと思いまして、発言をさせていただきます。
 私も、この点、特に比較的解釈が明確になっているところは、明文化する方が望ましいと当初は思っていたんですけれども、しかし、今回の資料のまとめ方に即して申しますと、13ページの2のところで、先ほども議論がありましたとおり、離婚後に父母双方が親権をともに有している場合は、別途検討することとして、そうではなく、離婚後に片方の親が親権を持っているときについて、1で検討し、場合によっては明文化と分けているわけですが、1の方で実務上、学説上、解釈運用として定着していると言われているものが、現行法の文言のみでは直ちに導ける結論ではなく、考え方としては、12ページの下から6行目に、818条3項を包摂した規定という、2項よりも3項をより優先的に適用するような考え方になっているのではないかという方向で書かれており、その3項を優先して読むような方向性というのは、養親と実親が婚姻して共同生活を送っているのであれば、共同親権にする方がよいというような考え方を3項が示しているものとして、共同で行使させると考えている可能性があるのではないかと理解しているのですが、現行の実務上の解釈、運用が、仮に今申し上げたような考え方に基づいているのだとしますと、先ほど別途検討となっている2の方で、離婚後の親権の在り方について、共同で行使していくという方向性について、どうなるかは分からないとはいえ、それを検討するということが今、課題になっていることを考えますと、そことの関係を整理しないと進めないという問題を、1の方が含んでいると思います。御提案も明文化しましょうとまでは書いていないので、先回りして心配しすぎかもしれませんけれども、なかなか難しい点を含んでいるのではないかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。(1)のアの②を明文化するのは難しいのではないかという御指摘でした。それは、離婚後に、括弧付きの共同親権というのが認められることによって、従来の前提が崩れてくるので、これを明文化するのは難しいのではないか、少なくとも整理は必要なのではないかというお話だったかと思いますが、従来は安定した考え方でやっていたので、明文の規定はなくても何とかなっていたけれども、離婚後も括弧付きの共同親権が可能ということになると、久保野幹事がおっしゃったように整理が必要になって、整理の結果を明文化しないと、より混乱することになりませんか。
○久保野幹事 そういう意味では、先ほどの事務局の御説明もそのようなご趣旨であったかと、今伺っていて思いましたけれども、離婚後について、改めて整理をしっかりして、従来の実務上の扱いを明文化したにとどまるものとは違う意味を持つ可能性があることを、しっかり盛り込んでいく必要があると思います。
○大村部会長 ありがとうございます。そのような御意見として伺いました。
  ほかにはいかがでしょうか。

養子縁組論だけでは済まなくなっていく

○落合委員

 今のところと先ほどの発言との関係なんですけれども、先ほどの発言は、実質に養育に関わる人は何人もいるけれども、それと親権は別でとおまとめいただいたんですけれども、もう少しはっきり主張しますと、親権は3人でもいいと思っているんですね。4人以上というのはまた難しいかもしれませんが、少なくとも3人は同時に親権を持てるという考え方は可能なんではないでしょうか。それは、実親2人と、それから一番最近に養親になった人で、養親がもし交代していくというか増えていくんでしたら、最新の人ですとかくらいに整理しておかないとややこしくなると思いますけれども、実の親との関係というのは続くという形で考える方が、筋が通るのではないかと思うんです。養育料を払う責任などもずっとあるとすれば、その方が筋が通ると思うんですけれども、いろいろなお考えあると思うんですけれども、そのように考えて、実親プラス養親1人と、そうですね、全くの養親にしてしまうというのもありますね、連れ子養子ではなくて。そうすると、4人になるんですかね。その辺りまでは、親権が拡大することもあり得るのではないかという考えを、ちょっと述べておきます。
○大村部会長 ありがとうございます。落合委員がおっしゃった御意見は、パターンとしては、1組の、2人の親が持つというところから出発して、そこから拡大してどこまでいけるかということですね。3人はいいのではないか、あるいは4人もいいかもしれない、しかし、余り増えるのはまずいだろうといった御意見だったかと思いますが、どういう制度が仕組めるかということで、皆様の方から強い御要望があって、制度化が可能であれば、その方向で考えていくという形で受け止めさせていただきたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
 この問題は、先ほど水野委員がおっしゃった点とも関わっていて、親がたくさん増えていくということになった場合に、今の議論はかなり厄介な問題を引き起こすように思います。養子縁組が解消されないとすると、養親は潜在的な扶養義務を負っていることになりますので、たくさん養親が増えていくときには、その人たちにも親権を認めなければいけないということになりそうで、その辺りをどう整理するのかといったことも出てきそうな気がします。現実的な問題として、どのぐらいまで増やすことが実際の必要としてあって、かつ可能性があるのかという形で考えるということかと思って伺いました。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 この部分については、現在の規律はこうではないかということで、事務当局の方から御説明を頂いたのに対して、皆様からほぼ同意を頂いた点もありますけれども、しかし、そうではないのではないか、あるいは不明瞭な点があるのではないか、あるいは、新たに離婚後の親権ないし監護について規律を設けるということになると、それとの関係で調整が必要な問題が出てくるのではないかといった問題を提起していただいたと思いますので、それを引き取った形で、更に事務当局の方で御検討を頂くということにさせていただくということかと思います。
 養子の問題はこの程度にさせていただきまして、先に進ませていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

養子ってなんだろね

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