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法制審議会家族法制部会第18回会議議事録4~棚村委員・窪田委員・北村幹事・原田委員

特別な日常シリーズから考えたい!

まずは、新聞を買い揃える

共同親権支援というアプローチへ

連れ去りも話題になっていく

そんな中で、議事録を読んでいく

○棚村委員

 早稲田大学の棚村です。原田委員がおっしゃったように、未成熟子という概念は法律を専門とする者についてはかなり一般化していて理解できるのですが、要するに、年齢とは関係なくて、本当に自分で自立して稼いだり、いろいろなことが自分だけではできないという人を指しているということなのです。
 ただ、この事務当局の趣旨について、私も少し質問したいのは、少年法の適用年齢をめぐっても、18歳の問題で、特定少年みたいなものを作って、適用年齢はそのままにして、20歳未満ということで対応しようということが今回の改正でも行われました。それから、児童福祉法でも18歳というので切っていたのが、だんだん上がってきて、切れ目のない支援というので、年齢だけでやるべきではないという考え方になりつつあります。
 そういうことを考えると、逆に言うと、対象者については、未成年とか成年という客観的な年齢による区別や分かり易い線引きをしながら、どういうふうな形で扶養の義務というのを親としては負担しなければならないかという問い掛けをしていくというのは、私は割合と合理的なことなのかなと思った次第です。つまり、成年と未成年という年齢の目安で分けて、今までのように、親権から脱して、親は、全く自立して自分でできるというイメージから、そうではない、成年になっても、例外的に、若年者とか、少年法のときもそうだったのですけれども、特定少年というような微妙な年齢の人たちを含めて個別にその成熟度や扶養の必要性など、具体的に対応していこうという流れが法律の世界全体の中であるように思います。
 そのときに、未成熟子という概念で聴いたときに、一般の人たちが戸惑わないか、つまり、年齢という客観的な明確な要件でもって一応こういうふうな形で、成人年齢が18歳に下がって、それも今年の4月からということですよね。そうすると、誤解される方もいるので、むしろ、原田委員がおっしゃったようなことは補足説明のところに是非書いていただいて、ほかの法律でも年齢だけで判断をしていないということを書いた上で、未成年者の扶養義務は重い責任が父母にはあるという基本的ルールを聴くというほうが、誤解がないとか、分かり易いように考えます。
 今回の中間試案で、未成熟子という概念を採用するということになりますと、またそれが、英語でいいますと多分、ディペンデントチャイルド(Dependent Child)とかいう話になってくると思うのです。そうすると、ディペンデントというのはどういう状態を指しているのかというようなことで、法的評価や解釈の基準をどう書き込むかという別の議論が多分出てくると思いますので、今回の中間試案ということを考えたときは、私自身は、未成熟子という概念を導入して、それを解釈に委ねるという聴き方もあるとは思うのですけれども、未成年の子ということで、ああ、そうかという年齢をベースにした小さい子のイメージで伺ったほうがよいのではないか、成人年齢も引下げになったなというようなことで、正にQ&Aのところで聴かれていますよね。子どもに対して父母は未成熟子ということになると、一体いつまで扶養の義務を負わなければならないのかとか、これまで決めたことは一体どうなるのかと、いろいろ議論されていますので、私自身の考え方としては、成年か未成年かというのは、正に年齢で今、一応区分をしているわけです。その上で、成人に達しても何らかの形で支援が必要な人がいるので、それについてどうしますかというようなことを聴いておられると思っていましたので、私自身は、事務局の御提案通りの聴き方で、補足説明の方に丁寧に書き込むということでよろしいかなと思います。原田委員の、2を削除して、未成熟子という概念をそこに持ち込んで、解釈に委ねるという大きな改正の提案になりますと、私自身は一般の人に分かりやすくなるかどうかというのが少し心配だなと思いましたので、発言させていただきました。
○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、原田委員の御懸念を理解しつつも、聴き方としては現在のような聴き方の方がむしろ分かりやすいのではないか、御懸念については補足説明で説明した方がよいのではないかという御意見を頂きました。
 窪田委員から手が挙がっていて、それから、事務当局の方から今の点について少し御説明を頂こうと思っていますが、どちらを先にしましょうか。窪田委員、もしよろしければ、先に御発言を頂いてと思いますが。

未成熟子概念論


○窪田委員

 

 私も、このままの案で残していただきたいと考えております。二つ理由はあります。一つは私自身が、未成年の子に対する扶養義務と、未成熟子と呼ばれるものですけれども、成年年齢を超えてから必ずしもまだ経済的に自立できていない子に対する扶養の在り方というのは、必ずしも同じではないのではないかと考えています。したがって、原田先生のようなお考えがあるということは承知していますけれども、それだけではなくて、別の意見もある以上は、残していただきたいというのがまず第1点です。どちらがいいというのではなくて、少なくとも私自身はそう考えているということです。
 2点目として、原田委員の方からは、従来の考え方を維持する意味で、未成熟子に対する扶養義務一本化ということであったのですが、私自身は必ずしも従来の考え方がそうであるとは認識しておりません。なるほど18歳に成年年齢が変わっても、まだ二十歳を基準とするという実務があるというのは分かるのですが、これは未成熟子の議論ではなくて、成年年齢は下がったけれども、未成年という概念について実質的には従来のものを維持するというものであって、未成熟子一本化ということではないのだろうと思います。年齢も全く示さずに未成熟子という概念で決めて、そして、未成熟子という概念について検討していきましょうというのは、そういう考え方はあるとしても、それは全員の共通の認識ではないというのが2番目の理由です。
○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員からは、実質的な観点から見たときにも異なる考え方があるので、このような形で出しておくのがよろしいのではないかという御意見を頂きました。事務当局の方から御説明を頂きたいと思いますけれども、この第1の2の(1)は、年齢の問題をどうするかということが話題になっておりますが、直系親族間の扶養義務よりも高い義務を課せるのかということについて、これまで根拠が明らかでないという問題がありましたので、まずその点を定める規定を置く、その上で、どこまでの範囲にそれを広げることができるかという書き方になっているのではないかと私自身は思っていますが、その点も含めて、事務当局から補足の説明をお願いいたします。

未成熟子概念迷走中~成人年齢引き下げは親権の縮減だと思うけどね


○北村幹事


 事務当局でございます。今、部会長の方にまとめていただいたとおりでして、親子間での扶養義務というものをどう考えていくのか、それが未成年の子に対して重いものを負うのかどうかについては、解釈はあったけれども、その点についての規律がない、そこで、そこをはっきりさせる、その上で、成年に達した後、いつまでどのような義務を負うのかというのがこの部会での議論であったかと思っております。この点については様々な御意見を頂いていたところですので、そこの対立点が分かるように記載させていただいたつもりです。未成熟子についての言及、部会の中でも何度も頂いておりますし、そこは従来、民法、成年年齢引下げの際にも十分御説明させていただいたところでもありますので、その辺りの議論の状況というのは当然、補足説明の中で御説明をさせていただくことになるかと思います。事務当局としては、飽くまでもこの部会の中で御議論いただいていた形を今回、試案にまとめさせていただいたという理解でおります。
○大村部会長 以上のようなことで、原田委員の御意見はよく分かりますけれども、今のような御意見がありますので、本文についてはこれをこのまま維持するということを基本とし、説明について十分な注意をしていただくという形で引き取らせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。全体の意見としては、そういうことかと思って伺いましたが。

未成熟子の扶養義務を親の責任にすることで、かえって社会支援が後退するっていう
反対意見あったよね


○原田委員 

補足説明で十分説明していただきたいと思います。
○大村部会長 はい、分かりました。原田委員、もう1点、先ほど留保された点がもしあれば、この際おっしゃってください。
○原田委員 第3の2の甲①案のところなのですけれども、子の監護に関する事項という意味が、これに何が入るのかと、あるいは、合意が調わない場合はどうするのかということの規定がないので、甲①案の3行目の、とした上で、のところの後に、子の監護に関する事項の範囲及び、これを協議上の離婚の要件とすることについて、引き続き検討するというふうに入れていただきたいなと。子の監護に関する事項はいろいろあって、それを全部決めないと駄目なのか、一部でもいいのか、協議が調わない場合どうするのかというのはいろいろなことがあるので、協議上の離婚の要件とすることと、子の監護に関する事項の範囲を引き続き検討するものとする、としていただきたいと思います。
○大村部会長 子の監護について必要な事項ということで例示されていますけれども、その例示との関係でいうと、どういうことになりますか。
○原田委員 
 例えば、これを全部決めないと駄目なのか、一部でもいいのか、ほかにあるのかと、そういうことです。
○大村部会長 分かりました。今のような点について少し説明が必要だという御意見だと受け止めさせていただきたいと思います。(注)で説明をするのかあるいは補足説明になるのかというようなことを含めて、事務当局の方でお考えいただければと思います。
 原田委員、あとは第5、後の方でよろしかったですね。

協議離婚の要件になるのか


○原田委員 

 いや、もう一つ。今の、父母が協議をすることができない事情というのは、協議が調わないという事情はどうなるのかということがあって、協議をすることができないの中には、協議をすることが本当にできないというのと、調わないというのがあるので、合意ができない事情がある旨の例外的な事情としてはいかがかと、合意ができない事情がある旨の申述としてはどうかと思います。御提案です。
○大村部会長 そこも少し表現を検討いただくということにしたいと思います。第4までの範囲については、それでよろしいですか。
○原田委員 はい。
○北村幹事 事務当局でございます。今御指摘いただいたところですけれども、協議ができる環境にありつつ、最終的に調わないという場合には、家庭裁判所へ行って家庭裁判所の判断に委ねるということが想定されており、協議をすることができないというのは、そもそも協議ができないような事情、全く話合いがDVなどでできない、あるいは一方が出ていったといったような事情を想定しておるので、その辺りも含め、少し補足説明の中で御説明をさせていただければと思います。
○原田委員 原田です。そうすると、親権者、監護者だけでなく、養育費が決まらない、面会交流が決まらない場合も協議離婚できないということなのですね。
○北村幹事 この甲①案は、要件とするということですので、決まらないと原則離婚ができないという案でございます。それに対して甲②案というのを付けているものになります。
○原田委員 分かりました。
○大村部会長 ありがとうございます。補足の説明をしていただきました。

協議離婚が変わる?


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