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法制審家族法制部会第19回会議議事録4~戒能委員・池田委員

旅に来ている(仕事の出張)

そんな中で、今日の梅村みずほ議員がすごい


議事録を読んでいこう~


○戒能委員

 戒能です。ありがとうございます。私は報道を一つ見ましたが、それから本日もテレビのニュースで報道しておりましたけれども、様々な意見があるという程度の説明で、どうして先延ばしになるのかというきちんとした説明はなしに解説が進められていったということだと思います。
 私は個人的には、ここまでやってきたと、それで、今、座長がおっしゃったように、大変難解な問題、複雑な問題を、様々な立場の委員の方々が参加して、私もそういう趣旨でこの委員に就かせていただきましたが、そういう議論の積み重ねの中でようやくここまで来たという感が非常に大きい。もちろん課題はありますけれども、パブリック・コメントをやるわけですから、それを受けて更にブラッシュアップしていくという筋道だと考えておりましたので、大変衝撃を受けております。
 それで、個人的に言えば、できるだけ早く中間試案を出したほうがよい。中間試案が何か最後の結論みたいに誤解をしていらっしゃる方もどうもおいでのようなのですけれども、そうではないわけです。パブリック・コメントを受けて、そこからその先どうするのかという、どのくらいのタイムスパンなのかということは分からないわけですが、そこはまだ明らかになっていないわけですけれども、しかし、そこで審議を尽くして、先ほどから皆さんがおっしゃっているように、市民の生活に深く関わる重要な問題ですので、十分に議論して、誰でもが賛成するということは無理かもしれませんけれども、合理性を持って納得のいくような、少しでも納得していただけるような案を作っていくというのが法制審議会の部会の委員としての責務だと考えております。
 そのときに、先ほど、政治家の意見に左右されないというのは、本当にそれは大原則だと思います。その政治家の意見が意見のワン・オブ・ゼム、一つにすぎないということよりは、私はもう少し大きな意味を持って受け止めております。内容が分かりにくいというようなことはあるかもしれません、整理がまだ不十分だということがあるかもしれませんが、それ以上に、内容の中核部分についての、余り法務部会の意見を聴かないで決めるなんてというような意見がある新聞では報道されておりましたが、そこのところはとても重要で、中核部分に関しての、意見の本当に一つにすぎないということ以上の意味を持ったことでありますから、そういう中身にわたる介入は絶対に避けなければいけない、拒否しなければいけない。そうしなければ、この審議会、法制審というものはきちんと法的な根拠を持って、諮問を受けて答申を出すわけですから、そこの姿勢はきちんと守るべきだと思います。
 それで、今日どういう結論になるか分かりませんけれども、残念ながら見送るという結論になるのかもしれませんけれども、パブリック・コメントが非常に重要だと思います。ですから、その期間は十分に取っていただきたい。パブリック・コメントで、これは説明したり、必要なのかもしれませんけれども、それは法務省が十分お考えになるということだと思っておりますけれども、そこが大事でありますので、パブリック・コメントの期間を削ってやるというようなことには絶対にしないでいただきたいと思っております。
 それで、もう一つ私が危惧するのは、パブコメの段階であのような報道があったということ等を考えますと、今後どうなるのだろうかと。今まで法制審議会では、96年のお話も先ほどお伺いいたしましたけれども、どういうことが考えられるのかということも考慮すべきだと思うのです。ですから、ここできちんとした家族法部会としての姿勢を示すことで、審議会できちんとやるのですよと。政治家の方々はまた機会があるわけで、国会に上程いたしますから、そこで十分議論をしていただく。それから、外部の声を聴く機会もまたあるわけです。ですから、そういう意味で今後、最終的な結論に至るまでいろいろな重要な段階があるわけですよね、そこでまた同じことが繰り返されるのか。そういうことがないように、是非きちんとした姿勢を示していかないと、その上で最終的には国会の決めることで、国会議員のお仕事ですから、そこに最後はお任せするということがあると思いますが、でも、それも国民の負託を受けた議員ですから、十分に意見を聴いて、そして、マイナスになるような結論にはしないというようなことで、是非政治家の皆さんには進めていただきたいと。
 それで、一つ、これからもう少し委員の意見を伺って、それからお話しになるのだと思っているのですが、今後の進め方のことはまだお話しくださっていないので、例えば、9月、10月、11月、それから、最後はどの辺りになるのかとか、そういうことも含めて、もし今の段階でお話ししてくださることができるような内容がございましたら、お話ししていただきたい。この中の議論は透明にしていただきたいと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からたくさんの御指摘を頂きましたが、まず、この場での議論の評価を頂いたと思っています。先ほども述べましたけれども、非常に難しい問題を回を重ねて議論をしてここに至ったことを重く受け止める必要があるのではないかという御指摘を頂いたと思っております。その上で、中間試案の位置付けということについて誤解があるのではないかということを御指摘になったと思いますが、その辺を説明することも非常に重要なことなのではないかと思います。中間試案は中間試案ですので、この後、まだパブリック・コメントがあり、それもふまえて議論をした上で、最終的な案に至ることになるということも十分に理解をしていただくことが必要なのではないかと思いながら、御指摘を伺いました。
 それから、これは最初の水野委員の御発言以来、全ての方が共通におっしゃっていることだと認識しておりますけれども、法制審議会の部会の役割について、法務大臣の諮問を受けて部会で議論をし最後に答申をするということで、外部の方々の御意見を聴く機会としては、これまでにもヒアリングの機会を設けてきましたし、この先にパブリック・コメントもあるので、部会は部会としての役割を果たす必要があるのではないかという御意見。これは石渡幹事が先ほどおっしゃったことですが、この先の法制審の運営にも関わりますし、これまでの法制審の伝統にも関わる重要なポイントなのではないかと思って伺いました。
 最後に、パブコメの時間が削られるようなことがあってはならないという御指摘と、それから、スケジュールはどうなるのかという御質問がありました。これはまとめて後で事務当局の方から可能な範囲でお答えを頂きたいと思います。取りあえず質問については後に回させていただいて、池田委員、赤石委員という順番でさらに御意見を伺いたいと思います。

見送りは残念ながらでも受け入れつつ?


○池田委員


 弁護士の池田でございます。まず、事務当局におかれましては、この8月30日の取りまとめに向けて非常に大変な作業をしていただきました。部会資料19-1の微修正ですとか、部会資料19-2はもう100ページにもわたる大部の資料ですので、このような作業を短期間でやっていただいたということについて、感謝申し上げたいと思います。にもかかわらずこういう事態になって、非常に大変な思いをされているだろうと思います。それは私たち委員、幹事としても同じところですので、少しこの点について、今まで御発言された委員、幹事の方々とほぼ重なるところではあるのですが、私からも意見を申し上げたいと思います。
 今回、報道にありますとおり政府与党における議論を受けて中間試案の取りまとめが延期されたということになりますと、事実上ではありますけれども、この部会の委員、幹事でない方の意向によって、私たちの議論してきた案というのが変更されるということになります。こうした事態はこの部会の存在意義に関わりますので、大変憂慮しているところでございます。しかも、今申し上げた「部会の委員、幹事でない方」というのが、今回については政府与党という政治的組織であったという点に特徴があります。この点に着目しますと、更に憂慮の度合いというものは大きくなります。本部会で取り扱っている論点はいろいろな意見がありますところで、最終的に政治、つまり民主的過程において十分な議論がなされ、判断されるべきであることはもちろんです。ただ、民主的過程においては生の利害というものが対立しがちで、対立の激しい論点については収拾が付かないことになったり、あるいは議論が尽くされないままに単純な多数決で決まってしまうというような事態も危惧されます。そうした事態にならないためには、民主的過程における議論の土台となり得るしっかりした一定の枠組みというものを示す必要があるのではないかと思います。そこで、学識経験者を構成員とする法制審議会において、長期的かつ比較法的な視点に立って学問的、臨床的知見を持ち寄って審議をして取りまとめを行い、しかる後に民主的過程に移行していくというプロセスがこれまでとられてきたのではないかと思います。
 しかし、今回の出来事によって、その従来のプロセスが違えられたのではないのかと危惧します。もちろん民主的過程におきましては、政党あるいは議員の方々が主として議論をリードされることが期待されておりまして、現時点においても、そのための議論がなされるということは大変重要なことと考えております。ですから、私が今、感じている問題点は専ら、先ほど申し上げた、これまでのプロセスが違えられたのではないかという点です。もしこれが常態化しますと、私たちの議論の末に作り上げた最初の答申の取りまとめの段階においても、外部的な、そういう政治的な承認を得なければ発表できないということになりかねないのではないかと思います。そうしますと学問的、臨床的知見による議論の過程と民主的議論の過程というのが混在することになってしまって、法制審議会の存在意義が失われてしまうのではないかと、そういう憂慮を持っているところでございます。
 今申し上げた原理原則的な話は、多くの先生方がおっしゃっていたところですが、議事録を通じて国民の方が御覧になっているということもあって、私からも少し詳しく申し上げたところです。
 さはさりながら、広く関心のある事柄を議論しておりますので、いろいろな御意見をやはりこの部会においても取り入れながら議論を進めていくべきというところは、私も賛成でございます。ですから、今日取りまとめを無理にするということではなくて、引き続きそうした御意見も踏まえてもう少し議論を進めるということについては、結構なことだと思います。
 ただ、その際に、棚村先生もおっしゃいましたように、どういう修正をするかということについては、例えば、一つの案に絞るとか、あるいは一定の選択肢を削るとか、新たに付け加えるとか、そういう内容に関わる修正ではなくて、より分かりやすくするという修正にしていくべきかなと思っています。
 それから、少し話がずれるのですが、より分かりやすくという観点から申し上げますと、やはり中間試案を示すときに、一般の方も分かりやすいように、例えばイラスト的にフロー図を一緒に付けるとか、そんな工夫も必要かなと思っています。それを随時ホームページにアップしていくということもあっていいのではないかと思います。
 それから、もう一つ別の観点から言いますと、今回のテーマというのが父母間だけではなくて子どもに関わる施策であるという側面がありますので、子どもの権利条約12条2項のところで、子どもの意見をやはり聴くということが求められていますので、この中間試案に対しても子ども、若者が意見を言えるような形で、とても分かりやすい別バージョンといいますか、そんなペーパーを作っていただくということも御検討いただければ有り難いと思っています。
○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からは最初に、現在の状況について憂慮が表明されたと理解いたしました。これまでの法制審における議論の進め方に大きな変更を加えるようなことになるのは避けるべきだという御趣旨だと理解をいたしました。しかし、そうではあるけれども、内容についてはともかくとして、表現などについて更に検討するということで、今日は見送るということについてはそれはそれでよいのではないかという御意見を頂きました。具体的な御提案も頂いて、前にも図表化できないかといった御意見がありましたけれども、そうしたことも含めて説明を改善するといったことを考えるべきではないかという方向で御意見を頂いたと理解いたしました。

さはさりながら、結局池田委員も先送りに賛成?



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弁護士古賀礼子
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