戒能です。ありがとうございます。私は報道を一つ見ましたが、それから本日もテレビのニュースで報道しておりましたけれども、様々な意見があるという程度の説明で、どうして先延ばしになるのかというきちんとした説明はなしに解説が進められていったということだと思います。
私は個人的には、ここまでやってきたと、それで、今、座長がおっしゃったように、大変難解な問題、複雑な問題を、様々な立場の委員の方々が参加して、私もそういう趣旨でこの委員に就かせていただきましたが、そういう議論の積み重ねの中でようやくここまで来たという感が非常に大きい。もちろん課題はありますけれども、パブリック・コメントをやるわけですから、それを受けて更にブラッシュアップしていくという筋道だと考えておりましたので、大変衝撃を受けております。
それで、個人的に言えば、できるだけ早く中間試案を出したほうがよい。中間試案が何か最後の結論みたいに誤解をしていらっしゃる方もどうもおいでのようなのですけれども、そうではないわけです。パブリック・コメントを受けて、そこからその先どうするのかという、どのくらいのタイムスパンなのかということは分からないわけですが、そこはまだ明らかになっていないわけですけれども、しかし、そこで審議を尽くして、先ほどから皆さんがおっしゃっているように、市民の生活に深く関わる重要な問題ですので、十分に議論して、誰でもが賛成するということは無理かもしれませんけれども、合理性を持って納得のいくような、少しでも納得していただけるような案を作っていくというのが法制審議会の部会の委員としての責務だと考えております。
そのときに、先ほど、政治家の意見に左右されないというのは、本当にそれは大原則だと思います。その政治家の意見が意見のワン・オブ・ゼム、一つにすぎないということよりは、私はもう少し大きな意味を持って受け止めております。内容が分かりにくいというようなことはあるかもしれません、整理がまだ不十分だということがあるかもしれませんが、それ以上に、内容の中核部分についての、余り法務部会の意見を聴かないで決めるなんてというような意見がある新聞では報道されておりましたが、そこのところはとても重要で、中核部分に関しての、意見の本当に一つにすぎないということ以上の意味を持ったことでありますから、そういう中身にわたる介入は絶対に避けなければいけない、拒否しなければいけない。そうしなければ、この審議会、法制審というものはきちんと法的な根拠を持って、諮問を受けて答申を出すわけですから、そこの姿勢はきちんと守るべきだと思います。
それで、今日どういう結論になるか分かりませんけれども、残念ながら見送るという結論になるのかもしれませんけれども、パブリック・コメントが非常に重要だと思います。ですから、その期間は十分に取っていただきたい。パブリック・コメントで、これは説明したり、必要なのかもしれませんけれども、それは法務省が十分お考えになるということだと思っておりますけれども、そこが大事でありますので、パブリック・コメントの期間を削ってやるというようなことには絶対にしないでいただきたいと思っております。
それで、もう一つ私が危惧するのは、パブコメの段階であのような報道があったということ等を考えますと、今後どうなるのだろうかと。今まで法制審議会では、96年のお話も先ほどお伺いいたしましたけれども、どういうことが考えられるのかということも考慮すべきだと思うのです。ですから、ここできちんとした家族法部会としての姿勢を示すことで、審議会できちんとやるのですよと。政治家の方々はまた機会があるわけで、国会に上程いたしますから、そこで十分議論をしていただく。それから、外部の声を聴く機会もまたあるわけです。ですから、そういう意味で今後、最終的な結論に至るまでいろいろな重要な段階があるわけですよね、そこでまた同じことが繰り返されるのか。そういうことがないように、是非きちんとした姿勢を示していかないと、その上で最終的には国会の決めることで、国会議員のお仕事ですから、そこに最後はお任せするということがあると思いますが、でも、それも国民の負託を受けた議員ですから、十分に意見を聴いて、そして、マイナスになるような結論にはしないというようなことで、是非政治家の皆さんには進めていただきたいと。
それで、一つ、これからもう少し委員の意見を伺って、それからお話しになるのだと思っているのですが、今後の進め方のことはまだお話しくださっていないので、例えば、9月、10月、11月、それから、最後はどの辺りになるのかとか、そういうことも含めて、もし今の段階でお話ししてくださることができるような内容がございましたら、お話ししていただきたい。この中の議論は透明にしていただきたいと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からたくさんの御指摘を頂きましたが、まず、この場での議論の評価を頂いたと思っています。先ほども述べましたけれども、非常に難しい問題を回を重ねて議論をしてここに至ったことを重く受け止める必要があるのではないかという御指摘を頂いたと思っております。その上で、中間試案の位置付けということについて誤解があるのではないかということを御指摘になったと思いますが、その辺を説明することも非常に重要なことなのではないかと思います。中間試案は中間試案ですので、この後、まだパブリック・コメントがあり、それもふまえて議論をした上で、最終的な案に至ることになるということも十分に理解をしていただくことが必要なのではないかと思いながら、御指摘を伺いました。
それから、これは最初の水野委員の御発言以来、全ての方が共通におっしゃっていることだと認識しておりますけれども、法制審議会の部会の役割について、法務大臣の諮問を受けて部会で議論をし最後に答申をするということで、外部の方々の御意見を聴く機会としては、これまでにもヒアリングの機会を設けてきましたし、この先にパブリック・コメントもあるので、部会は部会としての役割を果たす必要があるのではないかという御意見。これは石渡幹事が先ほどおっしゃったことですが、この先の法制審の運営にも関わりますし、これまでの法制審の伝統にも関わる重要なポイントなのではないかと思って伺いました。
最後に、パブコメの時間が削られるようなことがあってはならないという御指摘と、それから、スケジュールはどうなるのかという御質問がありました。これはまとめて後で事務当局の方から可能な範囲でお答えを頂きたいと思います。取りあえず質問については後に回させていただいて、池田委員、赤石委員という順番でさらに御意見を伺いたいと思います。