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最新の監護者指定実務を学ぶ

トップは拾い物にしてみた


急に議事録が2回分公開された

ゆっくりのつもりが、急展開、明日から、議事録読みになる
その前に、最近のおまとめと、ストックしていた読書メモをのこす

DV概念論

からの、#連れ去りはDV

新しい離婚訴訟のイメージが見えてきた

スペースなる機能について、まだ慣れていないから聴くばっかりだけど、連夜素敵にあったかい空間が繰り広げられているらしい

Coそミィもいい よき盛り上がり

読書していこう


研究中

主たる監護者が絶対のものではない、ところまでわかった

親と子との愛着関係や心理的絆が形成されていることが「主たる監護者」であるとすると、もともとall or naothing の判断ではなく、監護実績を実質的に検討した上で考慮の対象とすべきであり、子どもとの接触時間の長短や家事の分担の多寡等の量的側面だけではなく、監護の内容や子との関わり方について考慮する必要がある。・・・個々の子に応じて具体的に検討される必要があり、・・・機械的に当てはめられるものではない。

第7章 監護者の指定について~「子の利益」再考察 中山直子

ここの注釈も丁寧に指摘する

日々の世話の回数や保育園の送迎の回数を競う当事者の主張を多く目にしている。その背景には、接触時間が他方よりも多ければ、「主たる監護者」と認定され、「主たる監護者」であれば、他の比較衡量要素よりも優先して尊重されるとの誤解があるように感じている。

注釈25

かなり、強い思いで、現状の不毛な争い・競い方を憂いているのだと感じられる

さて、面会交流の許容性も監護者指定の子の利益を判断する基準となるものと明確に位置づけている

 「面会交流の許容性」は、別居や離婚後も別居親が子と面会し交流することが広まるにつれて、監護者指定の際の1つの基準として提唱されるようになった。子の監護者・親権争いについては、家庭裁判所が決するよりも、当事者の自主解決(子の最善の利益に適い、両親の間に子の監護についての協力関係が保たれる合意)が大切であり、その前提として、当事者双方に一定の信頼関係と相手に対する配慮が存することが必要であることから、他方の親に対し寛容的であるか、面会交流を認めていけるかを確認することが大切であるとするものである。本来、未成年の子は、双方の親と交流することにより人格的成長を遂げるものである。・・・実際に親の別居や離婚を経験した子を対象とした研究の結果、離婚後の生活によく適応し、心理状態が最も良好であったのは、別居親と定期的に交流を持ち続けた子であり、双方の親が養育に関わることが子の自尊感情を高めることが明らかになっている。別居親との交流の機会は、極めて大切であり、この基準は、同居親に子と別居親との交流を促し、双方の信頼関係を築くことにもなり、離婚後も子の成長に父母の相互補完作用のある監護環境を維持できる点で優れている。

第7章 監護者の指定について~「子の利益」再考察 中山直子

実際の裁判例も紹介されている
面会に対し拒否的であることを理由とした親権者の変更を認めた例にも言及している

平成15年1月20日/東京高等裁判所/決定
なんかもしっかり押さえておきたい

その他、子の意思やきょうだい不分離の基準についても触れられているが、より注目すべきは、監護開始の態様の違法性だろう

 監護開始の態様が法律や社会規範を無視するような態様、すなわち有形力を行使する、あるいは、詐欺的な連れ去り、面会交流の合意に反する監護開始の場合は、監護者としての適格性に疑義が生じる一要素となりうる。監護開始の態様が暴力的なものであった場合、奪取行為が子の心身に影響を与えることを考慮する必要があることは言うまでもない。最近では、別居時に他方の同意や承諾なく子を連れ出した場合について違法な監護開始であるとの主張がされる。「主たる監護者」優先の原則はなく、主たる監護者であるとしても承諾なく連れ出すことを当然視することはできない。子の年齢やその意向、連れ出すに当たっての具体的な経緯及び態様を総合的に考慮することになり、生活環境の変化が子に与える影響(生活環境の継続性)と併せて判断することになろう。

第7章 監護者の指定について~「子の利益」再考察 中山直子

ここでも判例が紹介されており、批判されていることを指摘している。
平成17年6月22日/大阪高等裁判所/決定
これが、「主たる監護者であれば、承諾なく従前の環境から子とともに家を出るのは当然とした」ので批判しているという。

そして、山口先生の意見も紹介

一方親による無断別居がDV等から逃れる手段として行われることがあるが、自力で家を出て別居することしか手段のないわが国の制度に問題があることを指摘し、無断別居を正当化することも許されず、根本的対策の必要を指摘する。

注釈34

こうした基礎を踏まえつつ、社会の変化という観点も考慮し、考慮要素の再検討の必要へと展開していく

どんな社会の変化があったのか?

 かつての専業主婦世帯の収入を共働きにより補い、父母がそれぞれ仕事を抱える中で家庭生活を維持しているといえよう。
 そのため、監護者指定の調停や審判では、父母双方ともに自分が「主たる監護者」であると主張するが、子は、監護者とされなかった親及び祖父母などの監護補助者との間にも一定の愛着形成がされている。監護者として指定された者も、他方の親と子との情緒的な交流を維持する必要があり、「面会交流の許容性」も求められる。「生活環境の継続性」も子の年齢から機械的に考慮すれば足りるというものではない。「子の意思」も、もともと思春期の子は言動が変動しやすことに加え、これまでの父母との関係性や環境の変化によっては、子の意向が審理の途中であっても揺れ動くことも珍しくない。

第7章 監護者の指定について~「子の利益」再考察 中山直子

いざ、審判するときは、いろいろ考えるものなのね~
痛ましいので、面会交流が100日を標準となれば、少しは平穏に思う

月に1回というのは、単独親権制時代のものよ

他にもいろいろ鋭い指摘が続く

「一般的なケースでは、多くは、双方ともに子を監護養育するについて支障はないと判断されるのであり、・・・選ばれないと親として失格であるとの誤解から、父母の非難の応酬に発展することは、紛争の早期解決につながらず、子に様々な負担をかけることになる」、との指摘も的確だ

共同親権制の整備が必要だろう

監護者として指定されなかった親や親権者でもない親も養育費等の支払により経済面で監護の一翼を担い、面会交流により子との情緒的な交流を継続する必要がある。調停事件の中には、保育園の送迎の分担や別居親が日常の世話を分担するなど共同監護に近い形で父母が子に関与している事例も見られるところである。子の養育を共同して分担している事例では、非監護親(非親権者)の親としての立場を法的に位置づける必要もあり、現行法での解決として、離婚後の親権・監護権の分属も選択肢として検討する余地がある。

第7章 監護者の指定について~「子の利益」再考察 中山直子

これは、実務でも果敢に挑みたい

そして、共同監護の維持が相当なケースでは、紛争防止の意味で養育計画の取決めをするなど、実務の工夫が求められることになろう、とも指摘している。注釈でも、調停には社会の新しい問題に対応する機能、当事者の調整及び合意による工夫も相当と考える、とある。

令和の子育て支援弁護士が、いかにクリエイティブな取組に期待されるかがわかる

最後のまとめの方にも、これからの未来に向かう道筋が描かれている

「親権」は、親の権利ではなく、第一義的には親の子に対する義務であり、離婚が子にもたらすマイナスの影響を最小限にとどめ、離婚後も父母ができる限り協力関係を築き、ともに子に責任を持ち続けることが「子の利益」に適うことに異論はないと思われる。
 子の監護者の指定では、ある程度の長期的な予測をもって「子のニーズ」を捉えて判断するが、現在の社会状況や今後の社会の変化に照らすと、子が独立するまでの長い期間を一方の親のみが「子のニーズ」にすべて応じ切れるものではないだろう。・・・離婚後も父母双方の信頼関係が継続しているからこそ、・・・「子の利益」が維持できる。そのため、家庭裁判所では、父母の一方を監護者あるいは親権者に指定するとしても、「子の利益」のために父母の協力関係を維持するための調整も欠かせない。

第7章 監護者の指定について~「子の利益」再考察 中山直子

一番共感する記述を見つける

 家裁調査官の調査では、「子のニーズ」の観点からきめ細かく、子の心情や置かれた状況を検討した報告がされる。調査結果は、父母が子の心情や置かれている状況をなどを理解し、親として何ができるかを考えてもらうための資料としてまず活用される必要がある。調停では、離婚後の子育てについての協力態勢(夫婦から父母への役割転換)を得られるように、子どもの視点への転換、破壊的な対立から建設的な協調関係へと誘導することが可能であり、実情に即した解決案を模索することができる。

第7章 監護者の指定について~「子の利益」再考察 中山直子

そうやって、締めくくりはやや厳しい

監護者指定の審判が離婚訴訟の前哨戦となり、離婚訴訟においても親権を巡り紛争が長期化することは、避けたいところである。・・・子の監護者指定における「考慮要素」は、諸要素のどの点を重視するかという重み付けの問題であり、「子のニーズ」の把握なしに行えるものではない。・・・「子の利益」の実現のためには、具体的事案に即して判断する家事事件の特性に留意する必要がある・・・

第7章 監護者の指定について~「子の利益」再考察 中山直子

注釈で補足している
養育ルールの早期合意解決は、父母の関係性を離婚紛争から「子の最善の利益」実現志向に再生することにより実現する、ということや、個々の子の特性や現在必要とするニーズに目を向けることなく、離婚後の共同親権を進める立場、あるいは、これを否定する立場からの主張の応酬は、いたずらに父母の紛争を激化させ、子の利益に沿うものではない、と

子の利益の実現のために何をすべきか

裁判官にも指示している

当然のことであるが、家事事件を担当する裁判官も行動科学の知見等への理解を深める必要があり、専門家である家庭裁判所調査官とのカンファレンスは欠かせない

注釈53

法曹全体のアップデートが求められている

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弁護士古賀礼子
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