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映画の回想シーンについて🎬/落下の解剖学の秘密/瞳をとじて/aftersun



誰かが想像した回想シーンのある映画3選

「瞳をとじて」
「aftersun/アフターサン」
「落下の解剖学」
この3本の映画から、現実ではない『誰かが想像した回想シーンについて』の感想や考察をして「落下の解剖学」の秘密に迫ります❕
この記事の内容は全てkogaoの個人的な感想や解釈によるものです。

①瞳をとじて (2023)

ワシはこう考えることにする…そんな風に語りながら
ミゲルが1990年に失踪したフリオを回想するシーンがあります。
セリフ(モノローグ)で説明していてミゲルによる妄想と思われるシーンだった。私は完全に想像だと思ったのですが、何割かの人は実際あった事と捉えている。
映像で観たものを現実と捉えやすい。
(想像が当たっていたかどうかはさておきます。)

②aftersun/アフターサン(2022)

映画の中の一連のあるシーンについて
一切説明がなく映画の構成上ラストまでギリギリを狙って伏せられているような部分なので"実"と捉えられても仕方はないところがあります。

①と②は想像のシーンを虚実の"実"と捉えると物語の筋が少し変わってしまう。

③落下の解剖学(2023)

とある回想のあるシーン』にて、虚実どちらにも意味を持つシーンがありました。

鑑賞中
その『回想シーン』を""として
現実の話だと観た人は捉えます。

すると『一件落着ムードのハートフルな展開』
に落ち着きますが、その後はわずかに引っかかりを覚えるシーンが続いて結末を迎えます。
(ここまでが映画内の話となります。)


鑑賞後
あの回想シーンが""なのか?
と考えはじめる。

その場合は物語は変化し『ああ、すごい決断をしたのかとまた違う感動を覚える展開』になり、同時に『謎はさらに深まるが…面白い!』という感想を抱く。

仕組みとして考えてみると、まず回想シーンの虚実両方のストーリーに大きな意味を併せ持つ状態を作ります。

『このシーンは初見で十中八九現実だと思うでしょ』と監督が考えた。…かどうかは定かではありませんが、観客が回想シーンを現実と捉えやすい特性を知っていて応用したかもしれないという個人的な意見です。

そして、確かに引っかかりを覚えるように映画を終わらせる。

しばらく経ってから、あの回想のシーンは""だったかもと思わせるようにして。

引っかかりがその回想シーンに結び付くように、回想シーンには特に引っかかる演出の仕掛けがあります。(観れば誰もが気になってしまう演出があります。)

映画の外、つまり鑑賞後までコントロールされていて回想シーンから2つ目の物語が浮かびあがる。1つ目の感動も素晴らしいし、2つ目の感動も衝撃的なので、映画によくある「もう一つのエンディング」を上手く繋いで両方を一本道で楽しめるようにした。初見で回想を現実と捉える鑑賞者の特性を応用してそんな事を可能にした。そう感じました。
また事件に関してもこの回想シーンで白と黒がそれぞれ描かれており、混ざりあって全体的にグレーを印象付けるシーンになっている気がします。

また、人によっては最初から気付いて2つ目そのままのストーリーになる場合と1つ目のストレートな物語を好きでいたいという流れもあると思います。どちらでもなく全然違うという人もいたり、結局は人それぞれの解釈なのですが、基本となるようなラインを一本化して考えてみました。

この秘密が正しければ、異次元レベルのテクニックで観客がぽかーんと置いてけぼりくらったとしても、それは正しい反応だったと思います。
『すごく面白かったんだが、引っかかる終わり方のために言語化できない』という感想も仕組みがわかるとまた評価の上がる可能性のある映画なのかもしれない。

仕組みさえ解れば、同じようなパターンで濃いグレーの余韻を残す物語を創作したり、別の応用もできると思うのでどこか片隅に覚えておきたい気がします。

まとめ

何が言いたかったのかというと
映像や漫画において現実ではない想像の回想シーンやトリックがあった場合に人は視覚的な情報を優先し、思った以上に「目で見たものを信じやすい

「瞳をとじて」「Aftersun/アフターサン」のように映画の内容が少し変わってしまうものもある。
それを応用した「落下の解剖学」はストーリーの構成がすでにトリックであり映画の内容も含め極上のミステリーでもあったのだと思います。普通の物語に飽きてしまった人には特に面白い映画かも。

これまで書いてきた事は全て
ワシはこう考えることにした
レベルの話であり、この記事を書いたkogaoの個人的な解釈によるものなのでご了承ください。

どちらにしてもいい映画!?
夫婦の立場や抱える問題が現代的で非常にリアルでしたね。事件が絶妙なバランスで観ている側にとって迷宮入りし、息子と母親と犬の家族と裁判の行方がとても白熱していました。2024年アカデミー賞の脚本賞は納得。

事件の白か黒かについて
この記事的には白から黒へと変わっていくので
限りなく黒に近いグレーとしておきます🩶
…が先程書いたとおり、観た人それぞれでしょう!
他にも事件のヒントになるところが散りばめられた映画なので、観直したり色々な人の推理が知りたいところです。最後まで読んで頂きありがとうございました🙏

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