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砂のお城とカタストロフィ

昔、虫を殺した。

蟻は踏み潰したし、蚊は手で叩き潰した。
ミミズは木の枝でバラバラに切ってまだうねうねと動いている肢体に小石をぶつけて遊んだし、なめくじには塩をかけてどんどん干からびていく様を見ていた。

虫なんてのはすぐに死んでしまう。どいつもこいつも人間に無抵抗に殺されてばかりだ。そりゃあ毒を持ってる虫もいるから、全てがそうとは言えないけれど。

だったら、どの虫もみーんな、毒を持ってれば良いのに。
そうしたら、そう簡単には殺されないのに。

でも、もしそんな世界になったとしても、どうせ、僕は、一生、毒なんて、持てない。

人間だって一緒だ。肉体は脆い。そうだなぁ、例えるなら砂で出来たお城の様に、すぐにボロボロと崩れ落ちてしまう。
ではお城という形すら保つことの出来ないただの砂だったら、崩れ落ちるどころか、風に飛ばされて跡形もなく消え去っちゃうよね。
それが、精神。

昨日は、お腹。
今日は、頭。
どんどんどんどん崩れていく。
明日は、何処だろうね?
明後日は?その先は?

抵抗無き虫の様に、地べたに這いつくばっていても、辞めてはくれない。崩壊が、止まらない。

お城が壊滅するのも時間の問題だなぁ。

砂は、サラサラと、どんどん無くなっていく。飛ばされていく。

もし全部飛ばされちゃったら、僕は僕を鼻で笑ってやるんだ。

嗚呼、大惨事だね、って。

end

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