現在過去終始形
昔の自分が羨ましいと思うときがある。
もちろん、今より昔の方が未熟だった。考えが甘かった。青かった。こうしときゃ良かったのに、ああしときゃ良かったのに、なんていう反省点は山積みだ。
だけれど、その頃の自分の方が、今の自分より幾分マシだったんじゃないかって、そんなことを思ってしまう。昔はもっと自由奔放だった。寝たいから寝る、食べたいから食べる、遊びたいから遊ぶ。気の向くまま、自分の思うがまま、好きなことに時間を費やしていた。
では今の自分はどうだ。数えきれない程のしがらみに囚われ、思うように呼吸が出来ない。一歩進んで二歩下がる状態を繰り返し続けている。他人にも自分にも正直になれず、達成感も、喜びも、どうやらどこか遠くに置いてきてしまったみたいだ。
人生の成熟は、時にその人の成長を妨げる。なのに成熟も成長も求められるだなんて、なんと理不尽な世の中なのだろう。だけれど、そんな世の中に甘んじて生きている私達は、生まれたときから理不尽という色に染まりきっているのかもしれない。
end