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『One-inch Tactics』開発者のノート:コンセプトメモとプロトタイプ編

お世話になっております。工画堂スタジオです。

 今回は、『One-inch Tactics』開発前に書かれたコンセプトメモの一部を、初期プロトタイプ版の画像を交えつつ公開します。



■ゲーム性がどこにあるのか?

エフェクト指定ミス
  • 攻略条件にバリエーションがある

    • ミッション毎に攻略目標が異なり、攻略方法も異なる

    • ユニット毎に役割を与え、装備を組み合わせる

    • ユーザー毎に独自の戦略になり、展開が変わる

  • 極論、非対称型のPvEでありキャラクターが乗ったパズルゲームになる

    • ストラテジー型のRPGではないし、PvPも成り立たない

    • 効率を求める難易度は詰将棋になる

  • 想定通りには上手く行かない、そこをどう対処するか

    • ミッション開始時は常に「状況不明」

    • 情報の不備、目標の変更、敵の増援、等が後から発生する

    • 難易度を作るのは不意打ちでしかない

  • 基本的に、情報部がアテにならない、からゲームが始まる

    • とは言え、完全な騙し討ちは避けておく

    • 突然の目標変更は、できるだけメッセージを経由する


■行動の再構築

移動と武器選択
行動選択
  • 攻撃コマンドの統一

    • 精密射撃を削除

      • D0型は基本精密攻撃しか使わない、他の武器では使用不可

      • D0型を通常射撃するケースは少ない(と思う)

      • 命中率補正とAP増加で対応、通常攻撃として合流させられる

    • 対空射撃を削除

      • 対空射撃を選んでから対空武器を選びヘリを選ぶ、の順になっている

      • 射撃を選び、武器を選んで、対空可能ならば、ヘリを選択可能にする、で問題ないはず

      • 対空対地における射程の切り替えはなさそう

      • 特殊な地上ユニットとして扱うような挙動になる

  • 移動コマンドの統一

    • 警戒移動を削除

      • 警戒移動と索敵が排他的な存在になっている

      • 警戒移動があれば、行動としての索敵はいらない

      • 索敵を行動化するなら警戒移動は削除できる

    • 高速移動を削除

      • 残すべきか迷う

      • 移動速度とダメージリスクを天秤にかける機能

      • 比較的マップが小さく、移動時のコストも調整が入る

      • リスクを認識しないと正しく運用できない

      • 削除してもゲーム性は確保できる

  • 担ぐ/下ろすの削除

    • バケツリレーは面白いが限定的すぎる

      • そして悪用できそう

    • 脚部破損が無くなるならば、必要性は大きく下がる

  • 装備品の受け渡しを削除

    • ポケット用品としてのマガジンを削除

    • あってもいい要素ではあるものの、必要性は減ったと判断

  • 武装タイプや、弾頭と装甲の相性は継承

    • 直射や曲射、臨機射撃も継承、ミサイル迎撃も


■視界と索敵

視界の概念
視線は段差の影響を受ける
  • 索敵範囲はユニットに追従させる

    • ターン頭での全体更新ではなく、索敵範囲ごと移動するように

  • 索敵ミスったら死ぬのは継承

    • 最終的には、人員や装備品といったリソース管理のゲームになる

    • 在庫と補給量が限られている状況なので、被害を出さない事が要求される

      • 隊員のロストと能力値固定は、押し引きの判断材料に加わる

    • 一方的に攻撃する、あるいは戦闘を避ける事を考えるようになる

      • 撃ち合いになった時点で、長期的には不利になる

    • 結果、索敵が重要になる

  • 視界内だけど発見できない、を作り直す

    • 旧作は固定値の固定判定だった(っぽい)

    • 敵ターン後に敵ユニットが消えるケースを作る

    • 隠蔽値と索敵値のバランスは要調整


■隊員の扱い

HPとAPゲージ
  • 隊員の使い捨てを防ぎたい

    • どうせ後で戻って来るから、囮に使っちゃえ

    • どうせ後で戻って来るから、工作終了後そのまま破壊されちゃえ

    • シンプルにロストを入れる

      • 元々はロストがあったが、いつの間にか消えていた(っぽい)

    • デメリット

      • 難易度の上昇、詰みの発生、心理的圧迫

  • 稼ぎを防ぎたい

    • マラソンを防ぐ

      • プレイヤーの裁量によるものの、それ前提にされるのは避けたい

    • 育成済みデータを使う事による、シングルミッションの難易度の振れを消したい

    • パラメータ固定にしちゃう

      • ひとつひとつ、行動の必要性を考えるように仕向けられる

      • シングルミッションの難易度が安定する

    • デメリット

      • 育成を経由する隊員への思い入れが作れない

      • ロストに対する恐怖心が減る

  • スキルを0/1から段階へ

    • スキルを持ってないから使わない、の軽減

    • スキル持ちロスト後のフォロー

    • 基本は段階的コスト減少でいいはず


■削除した物

  • 部位破損を削除

    • 完全ランダムで起こるバッドイベントは外しておきたい

      • 敵味方関係なく発生するとはいえ

    • 降下直後に足を破損した時のリトライは、ゲーム性と関係がない

  • ポケット用品としてのマガジンを削除

    • 種類の切り替えとしては、榴散弾と徹甲弾しか機能してない

      • グレとスモークもあるけど

    • リロードが消えるので継戦能力は大きく減る

      • 単一武装だけでマガジン持ち込み、AP確保ができなくなる

      • 部隊全体での弾薬管理になる

    • 付随してポケット総数を減らしておく

      • 最大で4にしてみる

  • 広域マップを削除

    • ゲーム性の大きな肝ではあるものの

      • 大きな遊びにくさを抱えてる所でもある

    • ゲームが始まる前に終わる事を防ぎたい

      • ユニットの輸送を削除、航空機による制空権争いも消える

      • 部隊管理をユーザー主導にでき、多段階に登録する必要がなくなる

      • 出撃までの手数を軽減させる

    • 作戦プラン選択も削除

      • これも重要な要素ではあるけど……

      • マップのどこに何機配置するか?を選べるようにはしておく

      • 最大出撃数と合わせて、偏りを作れるように



以上。

 実際、このような段落付きの箇条書きで考えをまとめる事が多く、結論に対する理由付けを後ろに入れる形を好みます。思考を掘り進めると段落が深くなりネタが広がると縦に伸びていくような感じ。句点を省略しがちなのは、1行を1文で構成するので「句点が入る=行を変える」という書式になっちゃってるからですね。(トラ崎)

 開発者の頭の中を垣間見た、開発者のノートでした。


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