じ爺放談3(KOGADOの冒険ワークショップ vol.50)
谷:
なんか最近BWS、俺の出演、多くない?
北川:
あー、ほんとは、ワンタクがリリースされたってことで、水曜日ちゃんに話を聞きたかったんですけど。彼女今、すごく忙しいので、まあ社長でもいいのかなと思いまして。
谷:
なるほど。
……ほら、出演が多すぎるとさ、薄まってきて、価値が減るからさ(笑
北川:
なんですかそれw
そんなこんなで、いかがでしょうか?
谷:
そうですね。ワンタクが発売され、やはり以前よりシミュレーションをやるべきであるという主張をしていた僕としては、ちょっとだけ満足したね。
「工画堂らしい作品」っていう表現があちこちで見られて、そういう印象が依然世の中に強くあるのかもしれないですね。ああいうタイプのものは15年ぐらい出せてなかったですよね?
北川:
ちょうど15年ですね。
谷:
にもかかわらず「らしい」って言われるっていうのは、発信をしてくれている人たちは15年以上前からの古きユーザーさんたちということになるんでしょうかね。
北川:
ありがたいですね。でも、裏を返す言い方をすると、この15年間は、工画堂は「らしくないもの」を出し続けていると感じられたんですかね、皆さん。
谷:
そう感じてたのかもしれないですね。
北川:
シーパラ3が2004年なのでちょうど20年前。リメイク作品ではありますが、パワードール1が2009年、ちょうど15年前ですね。PD6が2004年だからやっぱこれも20年前。
谷:
20年前だよ。とんでもないことですよ。
北川:
2004年以降のユーザーの人たちは工画堂といえばキャラゲーというイメージがあるんでしょうかね?
20年前の2004年は、シンフォニックレインのリリースの年ですね。15年前の2009年はソルフェージュです。
谷:
ちなみに工画堂のキャラクターゲームっていうのは、1999年4月28日発売のパルフェから始まってるんですよね。
北川:
この頃はまだそれまでの流れもありますし、PDもシュヴァもリリースがあった時期なので、いろいろあるうちの一つと見られていたんでしょうね。
谷:
ということで、皆さんがどういうふうに感じてくれたのかというのがね、今回わかったなという気がしましたけど。
でもやっぱりあれですよ、パソコンゲームといえばシミュレーションですよ。……って言い切ってしまうと良くないかな。「PCらしいゲーム」ジャンルっていうのがシミュレーションなんじゃないかなっていう気がしますけどね。
北川:
うんうん。
谷:
一方で、今我々が展開しているプラットフォームってPCだけでもないので、PCらしいゲームに寄せると家庭用ゲームらしくないものになってしまうっていう、何というかあれもありますよね。
例えばSwitchへの移植の話をしたりする時に「最適化」って言葉がでるんですけど、つまり最適ではないってわけだからね。
北川:
例えば操作周りとかですよね。
谷:
操作に関する点やプレイする環境においては、Switchとかの家庭用ゲーム機の方が、美少女ゲームやノベルアドベンチャーゲームをやるっていうのは向いている、「らしい」ゲーム感だよね。
北川:
環境ですか?
谷:
ハンドヘルドというか、手に持ってプレイできて持ち運べることや、その状態での操作性っていうのが、設計した人たちの主張があるはずだから、操作感はそこにはまってる分野にあっているんだろうからね。
北川:
アクションゲームとかねですよね。
谷:
うんまあでも、まずは久しぶりのストラテジー、タクティクスが出せてよかったということでしょう。
今日はこれから反省会ってのをやるんでしょ?
北川:
反省会じゃないですよ、感想会ね。反省会ってなんかもう悪いこと前提になってるじゃないですか。みなさんにお寄せいただいた感想を読むという配信です。
※(この記事の取材をしたのは2024/5/31の午後です。アーカイブ公開中:北川注)
谷:
ああそうか。
北川:
あと今日はトラ崎さん(※ワンタクのディレクター)が出演するんです。
谷:
普段出ない人がそういうところに出て、いろいろ話をするってのは楽しいよね、いいことだよ。
北川:
そうですね。うん。
谷:
なんか最近、ASMRなんかもミニコンテンツとして担当者が頑張ってくれてるからさちょっとその面白いじゃないですか。動きとしてね、楽しいよね。
北川:
リリース頻度が多いからかもですね。ニュースとか外に発信できる頻度というか。
谷:
そうだね。やっぱりパブリッシャーっていうのは常に宣伝し続けなきゃ駄目なんですよ。
北川:
とはいえ、何でも出せばいいってものでもないっていうところも……。
谷:
もちろんもちろん! 最低限のものでないと。
北川:
またこれ最低限なんて言うけど、最低限を維持することも難しいんじゃないかなと思っているんですけどね。条件のあるなかでの最低限ですから。
まあでもその辺は置いといたとしても、でもやっぱりリリースするっていうのはお祭りごとだっていうことですもんね。
谷:
うんそうだよね。ディベロッパーだけをやられてる会社さんはこの喜びがひとつないわけだからね。
北川:
ディロッパーとしてはやっぱそれが社会に出るのは喜びなんじゃないですか。そうでもないのかな。
谷:
いやそれは自分たちが関わったものが出るのは嬉しいのは当然だと思うけどさ。やっぱり感覚的には違うんじゃないかな。
北川:
私がマーケティング側にいるから全部見てきてるじゃないですか、関わる深さの違いはあるにしても作る側も見るし、出すまでも見る、出した後も見る。どこかだけを集中してやるってケースが今まですくないので。
逆に言うと BtoBのチームっていうのは発売とかあまり密に関係しないじゃないですか。納品したら一段落だとすると、ずっとそういう気持ちで働いてるってことですよね。
谷:
そうだね。わが社のデザイン制作部の会議に出てるとさ、5月の現時点で12月の商品の話とかをしていて。デザイン部の人たちはそれが普通だしその上でしっかりとやってんだけどさ。
北川:
良し悪しではなくてね。そういうものですもんね。
谷:
我々だってそうだったでしょ。ワンタクは先々週ニュースだして、翌週すぐリリース、すぐ結果が見えるって感じだったけど、これをパッケージで出すってなったら今回のこのスケジュールでは進まなかった。何か月も先のものを今一生懸命宣伝するって意味では気持ちが乗らないんだよ。乗らないなんて言ったらだめだけど。
北川:
はいはい。ありますよね。
谷:
なんでこんなに盛り上がってきたのに3ヶ月先なんだよ、みたいなさ。
北川:
ありますあります。締めのタイミングで露出を多めにしようとか、すっごく手前過ぎてね。なんというか。
谷:
今回は発表からリリースまでが短くて、勢いをそのままに、この今の盛り上がりに繋がっている感じはするよね。
北川:
PCゲーム一本でうちがやってたときって、大体ひと月ぐらいだったじゃないですか、いや、ひと月もなかったかな。マスターを入れて発売までって。もうみんな何日も家に帰ってなくって、「マスター送り出しました」ってなってああやっと帰れる、みたいな安堵があって。
谷:
うんそうだった。
北川:
でも何かトラブルがあるかもしれないから、明日もちゃんと出社してねとか言ってね。マスターを入れてから発売までの期間は緩やかにテストをしながらバグ見つけるなよー!とかへんな空気が流れてて。そうやって1ヶ月間ぐらいを過ごすみたいな。
谷:
そうそう。
北川:
当時は宣伝販促とかももうちょっと緩やかでしたしね。ウェブやSNSで日ごとの展開なんてなかったので、マーケの人間もわりとのんびりだったかもしれないですよね。デバッグに駆り出されたりもしたけど、ひと時は一緒に安堵してるみたいな。
谷:
月刊誌合わせだったりしてるからね、展開も。
北川:
自社のウェブサイトでの展開が増えてきた事と、あとはやっぱりTwitterの出現ですかね。
谷:
うん、大きいね。速度は上がった。うちはそんなにSNSをモリモリできてる気はしないけど、周りの速度が速くなっちゃってると相対的には上がってるしね。
TikTokとかもやればいいんじゃない?Instagramとか。
北川:
いやあ、余裕があればやれるんでしょうけどね、Twitterだけでもやり切れてないし。
谷:
YouTubeもね、ASMRのおかげで再生回数が増えて、人の動きもう多少は変化が見られるんじゃないかな。
北川:
欲しいものだけ手に入れられるようになっちゃったじゃないですか。見たいものだけを飛び石のように移動できる。プラットホームの滞在時間は稼げるけど、とどまらず、どんどん飛んで行かれてしまう。そういう一定範囲の嗜好性でも楽しめるように作られているので、そこをどうとどまってもらえるか、興味を持ってもらえるかですよね。チャンスにはなっているわけですから。
谷:
このコンテンツが好きだなって一つでも思ってくれれば、それがきっかけになって、この会社は他に何をやってるのかなって調べてくれるかもしれないしね。チャンスだよ。
北川:
今日も某社さんからバンドル販売を提案されて。拡販になるってリアクションで「いいですよ!」って答えちゃったんですけど、ちょっと時間がたって、これって効果あるのかな?って考えちゃったんですよね。それでちょっと考えるために取り下げてもらいました。
谷:
ほう。
北川:
でも、ここまでの話の流れで考え直すと、ブランドは作品の為に、作品はブランドの為に、双方にメリットになるようにって考えると、やっても良いかもですね。
谷:
今日Xで、どなたかファンの方が書いてたのを見て、古いユーザーである自分としてもすごく満足であるって書いてた人がいたんだよね。だから少なくともそういう印象を持ってもらえたんだっていうのはよかったなと思っていたけど。やっぱりそういうゲームがうちらしかったのかなあと。
北川:
僕が印象的だった書き込みは、自分はPDユーザーだったから、PDっぽいゲームが出るっていうことで嬉しくなったが、すぐそのあとに、あんな難しいゲーム、今はもうやりたくないって思い直したと。
谷:
うんうん。
北川:
でも説明をみたら簡単になってるらしいと、それなら嬉しいっておっしゃってて。行ったり来たりしてるんです。
谷:
なるほどね。
北川:
あの当時のユーザーさんたちにもアジャストするという意図が、今回は恐らくマッチしていて、その判断とさじ加減がトラ崎さんの手腕だったんだろうなと思うんですね。
その方以外にも、程よい具合になっているっていう意見が多くみられるって、さっき金曜君にも聞いて。
谷:
我々からしたら、言ってみれば一番目の肥えたユーザーさんたちだったんですよ。
北川:
そうです。我々がずっと怯えていた、厳しいユーザーさんたち。これは○○と違う、これじゃない、って言われちゃうんだろうなっていうことに怯えていたんだけれど、今回いいチャレンジだって言ってくださっているようで。
谷:
うん、つまり一定は認めてもらえて、心強い方たちが味方についてくれたってことかもしれない。
北川:
これからそれ以外の、評判を聞きつけた新規ユーザーさんたちが流入してくるんですよね。下駄を履いていないその方たちの評価で全体がどう変わるのかというのも注目ですね。
谷:
双方に大満足してもらうものっていうのはなかなか難しいかもしれないけれど、でもなんか、それでもちょっと興味持ってもらえるものになっていればいいんじゃないかなとは思うんだけどね。
北川:
そうですね。
谷:
自負があるじゃないですか、やってもらえれば良さはわかるという。なかなか伝わりにくいけど、どんなものでもそういう苦労は同じだなと思うんだよね。本を読んだり映画を見たりするのと一緒だと思うから。「あの映画見た」「いや見てないよ」「見てみなよすごくいいよ」っていう会話だよね。そういう興味を持って接してくれたら、まさにコンテンツ制作側として、嬉しいなって感じがするよね。
北川:
そうですね。あとはあれです。昔、オムニショップで「ちーむTシャツ」って作りましたよね。胸のところに「兎」とか「黒猫」とか書いてあった。
谷:
ああ、あったね。
北川:
今は実質「何とかさんちーむ」って分類が解体されているというか、しづらくなっている。けどその入口にもう一回戻ってきた感じがあります。
谷:
どういう?
北川:
あのTシャツを作った時ってちょうど硬派なゲームとギャルゲーとが混在していた活気のある時期だったんですよね。工画堂ファンだという事を自ら宣言してもらうためにあのTシャツを作ったんですけど、同じ工画堂ファンであってもうさぎ系なのか、くろねこ系なのかってのがあって、そこは反目しあうのではなく認め合って主張しあうってのがいいよなって思ってたんです。グループに属していることの楽しさや気分の高まりみたいなものを感じてもらえたらなって。
谷:
ファンでいる人たちは一緒に歴史を共有できてるわけだからね。大きいよね。
北川:
そういう緩やかなグループみたいなものを作っていけたらいいなとずっと思っているので、彩りが増えたのは嬉しいです。
と、そんな感じですかね? ありがとうございました。
谷:
今日のこれ、どのくらい記事につかえるんだろうか笑
(かなりカットしました:北川注)
谷:
久しぶりの工画堂のタクティクスゲームに注目してくれて、ご購入いただいた方にまずは感謝を申し上げます。僕の小さな夢の一つでした。
……っていうところから、書き出しておいてください。
北川:
わかりましたw
谷:
じゃあこのあとの反省、じゃない「感想会」でね。
誰かを楽しませ、喜んでもらうために、みんな生きてるんだなってことに気づく対談でした。
社長も太鼓判の新作、『One-inch Tactics』は、Steamで好評発売中。
●公式サイト
●Steam 販売ページ
今週はこの辺で。
また次回。
※「KOGADOの冒険ワークショップ」では、ソフトウェア開発部の北川がその時思いついた事柄を駄文にしたためております。取り上げて欲しい事柄などありましたらお気軽にリクエストください。
コメント欄、またはTwitterメンション、DM、またはユーザーサポートメールまでどうぞ。