まじめなオタク、まじめにオタク(KOGADOの冒険ワークショップ vol.39)
北川:
先週、水曜ちゃんから金曜君をここに出してほしいっていうリクエストがあったんだよ。
金曜:
何故なのか、気になるところではあります。
北川:
なんか金曜君がどういうことを考えているか、金曜君だったらどう答えるかっていうのに興味があるって言ってましたね。ミステリアスな男ということになってるみたいだよ。
金曜:
確かに、自分の感情を表に出したところでどうなるか、みたいに思っているところはあるかもしれません。
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今日のゲスト:金曜。
工画堂ソフトウェア開発部のXアカウント金曜日担当。水曜というのは言わずもがな水曜日担当。
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北川:
最近どうですか、何か思うことありますか。
金曜:
思うこと、いっぱいありますけど、
北川:
軽そうなのをひとつw
金曜:
うーん、最近というか今日の朝会*で思ったのは、やっぱり「好きなことを人前で話す」って、良い事であると言われているように思うんです。
なんか、この人はこういうのが好きなんだなっていうのがパーソナリティになるって。
*注:ソフトウェア開発部は、毎週水曜の朝にみんなで集まって雑談会を行っています。朝会というのはそのこと。
北川:
うんうん。
金曜:
でも、逆に、嫌いな物を語るのはちょっとネガティブに捉えられると思うんですよ。本来、同じ枠のはずなんだけどな、って思うんですよね。
北川:
うん、でも最近で言うと「評論家気取り?」みたいな批判もあるよね。何かにつけて斜め評価するみたいな風潮、をさらに非難する風潮とか、そういうのの事をいうんじゃないかな。それもある種のパーソナル形成の一環なのかね。
金曜:
本来は二つの視点が要ると思うんですよ、その作品を見る時って。単純に自分が好きか嫌いかっていう視点と、それと別に、自分以外の人がどう思うかなっていうのを想像する視点ですね。僕はこの作品あんま好きじゃないけど、こういうところは分かりやすいし、ここを面白いって人が多そうだな、とか。僕はこの作品好きだけどこういうところが難解だしハードルが高いから、あんまり他の人におすすめし辛いな、とか。
北川:
好きだけどおすすめできないっていうのは確実にあるよね。
金曜:
ありますね。
北川:
でもさ、金曜君がコンテンツ発信側にいるから、制作側の視点で物事を見る癖があるのであって、一般の人ってそういう人いっぱいいるのかね。意外ともっとシンプルに好き嫌いでスパッと言い切っちゃう感じだったりするんじゃない?
金曜:
そっちの方が多数の気はしますね。
北川:
だからこそネガティブにいうことで差別化をはかるみたいな考えの人も出現するんじゃない?
金曜:
知ったかぶりたい人とか、したり顔で言うみたいな人ですね。本当にその作品を見た上で語っているんだったら、僕は良いと思うんですけど、今の時代、検索しただけである程度情報が出てきたりとか、それこそ倍速視聴みたいなものもあるんで、見た気になるだけだったらハードルが下がっちゃいましたね。
北川:
そうだね。全部見るのは時間的にも難しいしね。
金曜:
僕はやっぱりそういう人たちに対してはあまり好意的な感情は持てないんですけど、でもそういう人たちも少なからず居るわけで、そこは割り切って考えなきゃいけないのかな、って思うんです。
北川:
実際に見てるか見てないかはともかく、大きな声で批判をしてくる人たちは、やっぱり影響力とかも考えてしまうよね。一概に無碍にはできないというか。
金曜:
どうでしょうね。何かを見て、批評しようとする人っていうのは、その作品がある程度有名じゃないと出てこないとは思うんですよね。流行っているのを聞きつけて、わざわざ乗っかっている訳なので。そういう人たちが出てきてるっていうことは、その作品が流行っている証明にもなるんじゃないかとも言えますよね。
北川:
そうね。
金曜:
結局、好きにせよ嫌いにせよ、作品を見た上で感想を語ってるっていう共通点があるんですけど、そこで僕が言いたいのはやっぱり何を言うにしてもリスクはあるよねってことです。
北川:
リスク? 何に対してリスク?
金曜:
好きを表明するのは良い事であると思われがち、と僕はさっき言いましたけど、相手や場所によっては「この人こんな作品好きなんだ」ってなるじゃないですか。
北川:
ある!それはあるw 好きって言いづらいときあるよね。
金曜:
相手が気難しい方とかだったら、自分が好きって言っても肯定されないだろうなっていう状況とか。
北川:
うんうん。
金曜:
ちゃんと自分の中で明確な芯があって、理論や意思があるんだったらどんな意見でも尊重されるべきだとは思うんですけど、たまにあるのが、何でもかんでも嫌いって言ったりとか、何でもかんでも好きって言ったりとかって、やっぱりそれは何か、こだわりがないなって思っちゃうんですよね。
北川:
何でもかんでも好きっていうのも、駄目なんだ。
金曜:
あくまで僕は、ですけど。この人はこだわりとかあんま無いんだろうなって思ってしまう。
北川:
なるほど。好きに関していうと許容範囲が広いんだなっていうぐらいにしかあんまり思わなかったな。
金曜:
こだわりが強い人間が好きなんですよね、僕自身がそうっていうのはあるんですけど。嫌いが明確にあって、その嫌いにちゃんと理由があれば。自分はこういうものが好きだから、その逆のものは嫌いであるって、その人なりに理論がちゃんとあって、それを言語化できているんだったら話は聞けます。
僕が何かを話す時に一番嫌いな言葉があって、「人それぞれだよね」って言葉がすごい嫌いなんですけど。そりゃそうだろみたいな。
北川:
ははwww そりゃそうだ。
金曜:
それこそ1対1の会話でそれ言ったらおしまいじゃないですか。あなたと私しか今居ないのに、人それぞれも何もないし。その言葉の意味するところは、あなたと私は違います、っていう対話拒否なんで。だからやっぱり、嫌いと言うにもちゃんと理由があって、それが自分のパーソナリティに繋がってる人だったら、会話してて楽しいなと。それが本当に極端な例だったらちょっと変な人なんだなとは思いますけど、納得はできますよね。
北川:
でもさ、感覚によるところとかあったりするじゃない? 大衆映画はあんまり好きじゃないんだよねって例えば言う人とかがいたりして。そこってもう完全に好みの問題だったりするじゃん。
金曜:
いや、どこまでいっても個人の好みや感想の話ではあるんです。理論なんていうものは感情を正当化する為にあるものなので、まず感情が先にあっていいんですよ。その感情をちゃんと理論で、理論武装して正当化してみせてくださいっていうのがやっぱ自分の考えではあるので。
例えばその例でいうなら、大衆向けに作られているものだから、あんまり深いテーマがない、とか。アクションがすごくてお金かかってるけど、逆に低予算だからこそ作れる細部へのこだわりがあまり見られない、とか。これは例ですけど、そこまで言われたら確かにそういう考えの人もいるなってなるんですよね。
北川:
そうだね、うん。その人の中で深掘りされてない意見っていうのはつまらないなってことか。
金曜:
何でもかんでも好き、何でもかんでも嫌いっていう人はやっぱり、その辺の言語化能力が低いのかもなって思っちゃうんですよね。
北川:
何となくで全部片づける人もいるでしょ。
金曜:
そうですね。その人が勝手に楽しんでるだけなんで、もちろん感覚的であることそれ自体は悪くないんですけど、人におすすめする時に、何となく面白いって言われても、少なくとも僕はそれで見たいとは思わないなって。
金曜:
何かを語るにおいてはまずは何かを知る必要があるので、「アンチはファンよりも作品見てる」みたいなことよく言われますけど。もちろんアンチが良いみたいな話ではなく、肯定するにせよ否定するにせよ、ちゃんと作品見ないと無理だよねと。で、作品をちゃんと見るっていうのを定義するなら、何クールあるドラマとかだったら、少なくとも最初の数話分はちゃんと見るとか、倍速視聴しないとか、そういう話になるだろうなと。
北川:
金曜くんは、毎クールのアニメは、まず5分くらい観て継続するか判断するって言ってたね。
金曜:
だからその作品について語ることはできないですね。最初の5分だけ観て切りましたねっていう事実だけが残る、僕から言えることはそれだけですっていうことですね。
北川:
それをもってあの作品は駄作だとは言わんよってことか。
金曜:
叩くために最後まで見る、みたいな人もたまにいて、そういう人たちは凄いなとも思うんですけどね。自分はなかなか出来ないですね。
北川:
辛抱強いよねw でもさ、これもしかしたら最後に面白くなるんじゃない?みたいな感じでさ我慢して見続けたけど最後まで面白くなかったとかって言ってない?w
金曜:
ありますけど、そういう作品って、序盤がつまらないっていうのは、もう明確な事実じゃないですか。強いて言うなら面白くなりそうという雰囲気が出てたってのはプラスなんでしょうけど。
北川:
そっかそっか。
金曜:
それこそ引きだけ、次回何かありそう、みたいなシーンで毎回毎回終わるドラマとかは、そういう感じなんでしょうけど。
北川:
うん。あれ、何の話だっけ。
金曜:
作品を語るときに、好きとか嫌いとしか言わない人とはなかなか深いとこまで話せないみたいな話とか。
あとは、好きって言うのは気楽なイメージありますけど、やっぱリスクもありますよっていうのは思ってます。なので、自分が本当に好きで、他人にもおすすめできるものとか、あるいは他人におすすめはできないけど自分の中ではちゃんと理屈があって好きなものとかじゃないと、好きって表明する事すら怖いと思ってますね。
北川:
なるほど。
こないだとある小説を俺、読んで、すごい面白いなって思ったね。でもSNSとかでそれをここが面白かったですって、ちょっと書けないなって思って、それは俺があんまり本を読んでないのがばれちゃって、なんなら馬鹿だと思われちゃうんじゃないかって恐怖して、躊躇しちゃったんだよね。
金曜:
僕はX(Twitter)とかで、作品をみる時も、見ましたとだけ書いて感想は書かないようにしているんですよね。やっぱ怖さがあるわけで。
北川:
そうだよね、知識の多い人から刺されちゃうんじゃないかって恐怖があるよ。
金曜:
結構社内の人間に対してもそれをやっちゃってるから、僕がミステリアスとか言われちゃってるのかなって。
北川:
ははは。
金曜:
作品について聞かれて、「こういう作品ですよね」って情報とか知識だけをよく言ってるので、感想ではなく。「○年前に流行りましたよね」とか。
北川:
感想を言わないのは?
金曜:
やっぱり言うのはリスクだし、自分の弱さを見せているということなので。本当に好きなものとかだったら喋るんですけど、中途半端にしか知らないことを喋ったら、やっぱり自分の浅さがばれるし、嫌いなもの喋ったらその人が好きだった場合その人が不快になっちゃうので。
北川:
確かに金曜くんは尋ねると、「○○したぐらいは知ってます」とかっていう言い方をするもんね。「ちょっとプレーしたぐらい」とか「1作目をちょっとやったぐらいは知ってます」とか。
金曜:
そうですね。その辺は自分の立ち回りというか、癖ではありますね、確かに。
北川:
映画って1ヶ月に何本ぐらいみるんだっけ?
金曜:
いや少ないですよ自分、毎週1本は基本見てて、たまに多いときは週に3本になるくらいなんで。
北川:
十分多いように感じるけどな。毎週1本は見ようって決めてるの?
金曜:
決めてるというか、映画館で新作出てるな、で気になってるの見てたら、一、二週間に1回は映画館行くことになってるという感じです。
北川:
別にアニメ作品だけじゃないでしょ?
金曜:
だけではないですね、洋画とか、話題のものとか。特にジャンルに偏りはそこまではないかな。ホラーとかは苦手であんまり見ないですけど。
あとは純粋に、あんまり期待してないけど、義務で見てる作品とかは、それはそれでもちろんありはします。
北川:
履修感覚ってこと?
金曜:
履修ですね。勉強するという感覚で。
北川:
なるほどね。ふうん。
あ、結構長くしゃべってるね。この辺で。
金曜:
なんか、あんまり面白いこと言えなかった感はありますけど。
北川:
全然全然。いいんですよ。
お疲れ様ですありがとう。
自分よりすごい人がいるんだから、自分は多くは語れない。
これがオタクの矜持ですね。
今週はこの辺で。また。
※「KOGADOの冒険ワークショップ」では、ソフトウェア開発部の北川がその時思いついた事柄を駄文にしたためております。取り上げて欲しい事柄などありましたらお気軽にリクエストください。
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