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負のループから抜け出すには

年が明け、2020年を迎えた。昨年、一年を振り返る文章を毎年不格好でも必ず出すことを自分に義務付けた。上手く書けず早速、約束を破ろうか迷ったが今年も書く。2019年抱えたマイナスと2020年のプラス。

マイナスループ

書く度に承認されようとしている自分の姿が目に浮かぶ。それがとても嫌だった。表現者に対して「承認欲求の塊だ」と後ろ指をさす自分を殺しきれないまま、自分も表現者になり、「承認欲求の塊」になる。自分のダブルスタンダードに反吐が出る。

スタバでオシャレにPCで仕事する人を斜めに見てきた人は、スタバでPCは開けない。アイドルオタクをバカにしてきた人はアイドルのライブではしゃげない。過去に自分が否定したものを受け入れるには自分が間違っていたことを認め、自分を改める必要がある。僕はそれが苦手だった。自分の過去と違う行動を取ることに何故か抵抗があった。きっとくだらないプライドだろう。「散々、一年も書いておきながら今更なんだ」とも思うが、書く度こいつとは毎度向き合ってきた。

これだけならまだよかった。さらに、こう書くことによって「こんなに考えてる」アピールをしている自分を爆誕させる。わかってますアピールすることで、まるで自分は、過去自分が否定してきた存在ではないように主張できる。自己否定から身を守ろうとして、新たにめんどくさい自分を生む。

残念なことにそれにも気づいているから、自分に反吐が出る。すると次は「実はこれもわかってて書いてるんです」の自分が顔を出す。以下無限ループ。否定から始まる地獄生活。

これを感覚としてではなく、ちゃんと理解したのが2019年だった。自分は自己肯定感が低いことにも気づいたのも2019。これが普通だと思っていた。

でも、承認されることは悪いことではないことも理解し、納得もした。自分が承認されないことが怖くて、承認を否定するだけの小心者なことも気づいた。そんなにビビることはないこともわかった。

過去から変わっても誰も怒らないことも知った。「誰かが見ていると思うのは自分だけで、誰も見ていないことは知っている」が本当なことを学んだ。自己肯定感の下げは、ビビリな自分への予防線であるとちゃんと向き合った。

自分の嫌な部分に向き合い、殴りあう。そんな一年だったと思う。それでもまだ負の感情は心にべったりで拭いきれてはいない。まだまだ殴り合いは始まったばかりだ。

いつまで続くのやら、そもそも飼い慣らせる度量はあるんだろうか。でも、ちゃんと対戦相手が見えてるのは大きな進歩だって僕は知っている。多分こうやって強くなるんだ。

星マーク

話は打って変わって2020年の話。

早速昨年の約束を破ろうとしている年始に1通のメールが届いた。どうせ何かの広告だろうと思いながら、アプリを開くと見知らぬアドレス。?マークを浮かべながら開くと、「神戸市 消防局」の文字。頭の上の?マークの数が増える。自分は愛知にいるのに神戸市?消防って自分悪いことでもした?と考えを巡らせるが心当たりがない。不安になりながら一文ずつ丁寧に読み進める。

内容は簡潔に書くと
2018年に君が書いてくれた「ダイレクトロード」の記事に感謝したい。
もっと早くお礼を言いたかったが連絡先がずっと見つからなかった。
遅くなってしまったけれど、ありがとう。執筆頑張ってください。

読んでも意味がわからなかった。ロボットが初めて感情を得たときのように「アリガトウ?」と復唱し、やっと理解が追いつく。

本当に嬉しかった。

さっきの振り返りにつながる話で、僕は僕に対して自信がない。自分が書いたものにも自信がない。これが良くないことは知っていて、変えようとしているが、性根はすぐには変わらない。

そんな僕にとって、この感謝は心に突き刺さった。一切僕を知らない人が僕の文章だけで、ありがとうとメールしてくれる。こんなにわかりやすい承認じゃないと、僕にはわからなかった。たまたま僕が担当した記事だった、と言われればそうなのだが、それでも僕にとっては大きかった。

自分に自信を持っていいってこういうことなのか......と妙に納得した。自信の付け方をイマイチ理解できていなかった僕にとっては、経験として降ってきたこの機会はうってつけだった。同時にインターンで、大したことしてないのに異様に褒められるのは何故だろう、という疑問も解消した。

自分は頑張っていないと感じても、自分がした行動でプラスに働いた事実は、ちゃんとそこにあるのだ。だから、人は褒めてくれるし、お礼を貰えるのだ。自分の目線が全てではないのだ。こんな簡単なことに気づくのに22年かかった。

マイナスとの殴り合いから、机に着いての話し合いに進展した。

メールを閉じて、インタビューの取材に向かう。まだまだ浅い自分の返し、動揺からか歯切れの悪いインタビュー。それでも、いつもより緊張することなく望めた気がした。失敗への不安がちょっとした自信で薄れたのだろうか。

帰宅後、すぐにメールを返す。お礼のメールにお礼を返す、不思議なメールを送信した。そして、最初にもらったメールにお気に入りマークをつけた。数少ない星マークはこれからもずっとメールボックスで輝いていく。2020年は星マークをいくつ増やせるだろうか。


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こが
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