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二世警察官は有利なのか?

警察官になってわかったことは、二世警察官が多いといこと。二世警察官とは、父親と母親の両方または、そのどちらかが警察官である(であった)ことを言う。一般的に二世警察官は、採用試験に通りやすい。

家族に警察官がいるということは、警察組織を裏切らない可能性が高く、それだけで身辺調査はほぼクリアだ。僕は親類に警察官はいなかったし、採用試験も失敗して苦労した経験があった。

だから彼らが羨ましくて、ひがんだ目でみていた。彼らに対して「人生における就職という大きな苦労をスキップしやがって」と思っていた。だけど今となって思うのは、彼らは採用試験などで優遇されて、その後も親の七光りなどのメリットはあるけど、絶対的に有利かと言えばそうではないと思う。結局は実力次第だから。親が名の知れた幹部だと、必ず比べられるし、彼らにはメリットと同じくらいデメリットもある。

新卒で警察官になった僕は二世警察官に嫉妬していた

父親や母親が警察官の2世のパターン以外にも、親類が警察関係(警察職員を含めて)の人も多かった。いわゆる「警察一家」なんて言葉も警察官になって初めて知った。

二世警察官や警察一家が多いことは、警察の常識なのかもしれないけれど、僕にとっては驚きだった。だって、僕は父親と同じ職業につきたいとは絶対に思わないから。社会人になっても、父親に仕事に関して口出しされるなんて絶対に嫌だった。

劣等感の塊だった僕は、二世の彼らが最初から一歩先に進んでいる優等生だと思っていた。同時に「こいつらには負けたくない」という反骨心もあった。正直に言うと、単に彼らが羨ましかったのだ。父親が警察官ということにではなく、警察官のスタートの時点で大きなアドバンテージを持っていることに対して。

二世警察官のメリットとデメリット

二世警察官は以下の3点で圧倒的に有利となる。

① 警察に溶け込みやすい。

父親や母親が警察官であれば、子供の時から警察のことを少なからず知る機会がある。また、父親・母親が働く姿を見て警察の勤務体制や異動などについても無意識に把握できるだろう。二世でない普通の警察官は、「警察の常識(世間の非常識)」に驚きながら徐々に対応していくが、二世警察官にとって「警察の常識」は家族の常識だから、スムーズに組織に溶け込むことができる。

② 相談できる人が身近にいる

仕事で悩んで、誰かに頼りたい時に警察官の家族に相談できることも大きな強みだ。僕が警察の悩みを家族に相談しても見当違いの回答が返ってきて、余計イライラするだけで解決にはならないが、二世警察官は身近に仕事の理解者がいる。本当に仕事で精神的に参ってしまった時のことを考えると、家族に警察官がいることは心強い。

③ 親が名の知れた幹部なら優遇されやすい。

親が実績のある幹部であれば、子供も一目置かれる。自動的に親の実力が子供にも継承されている思われがちである。
有名な幹部を親に持つ警察官は、同期と一緒に新任配置されても、一人だけ真っ先に名前を憶えてもらえるなどの利点がある。さらには、交番に配置後も、早々に内勤から引き抜かれることが多い。これが親の手まわしなのか、周りが親に忖度しているのか、本人の実力なのかわからないが。

一方、二世警察官にもデメリットがある。それは、親と比較されることだ。
親の七光りで持ち上げられても、その期待に応えられない場合は悲惨だ。これまでちやほやしていた人たちは、手のひらを返したように離れていく。それだけならいいが、陰口を言われたり小馬鹿にされたり、酒のつまみにされることが多い。

僕が地域課で仕事をしていた時に、警視を父親に持つ新任が配置された。彼は、貸与品をなくしたり、同じミスを繰り返したり、時間にルーズで問題行動の多い、いわゆるやらかしタイプだった。彼は親と比較されているわけではなかったが、周りからは「親が幹部なのにどうしてそんなこともできないんだ」という目でみられていた。

一番の問題は本人が失敗から学ばないことだった。でも、彼を見ていると、親が幹部で、「お父さんはすごい人だ」と聞かされて甘やかされて育ったため、本人も警察官になったら、自動的に父親のようになれると勘違いしてしまったように感じられた。

二世警察官は、有利なこともあるが、結局は実力次第

二世警察官は警察官としてのスタートラインに立った時から数年の若手時代は、親の七光りなどで有利になるケースがあるが、その後は実力次第でなので二世かどうかは関係なくなる。

だから、二世警察官は、親の七光りを利用できるところは最大限に利用して、希望する係に入るきっかけにして、あとは努力して実力をつけていってほしい。二世ではない普通の警察官は、拝命して数年は二世に対する不公平を感じるかもしれないが、それも20代前半までだ。

二世に対する闘志を密かに燃やして、着実に実力をつけて30代で逆転しよう。警察組織は、身内の繋がりやメンツに重きを置くが、個人が頑張りさえすれば、その努力が報われるようになっている。二世かどうかに関わらず、自分の目指す道に向かって努力を続けて、最終的に大きな目標を達成してほしい。

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