婚活13日目
この状況ではもう手をつけようがない。一応、ルールでは割り込むのはマナー違反ではない。現に男性6人に対し女性1人と言う状況も存在していた。
でも、婚活パーティーで合う事のできた人と言うのはもう一生会えない可能性が高い。仮に街ですれ違ったとしても気付かない存在に違いない。
しかし、瑠璃は動けない。会場内のど真ん中で硬直状態となっていたが、奇跡は起きた。
16番の男性は小柄な女性に手を振り瑠璃の元へと近寄ってきた。
「さっきはすみませんね。僕に話しかけてくれようとしましたね?」
『はっはい!』
「あちらで座ってお話しましょうか?さあ!どうぞ!」
男性は瑠璃を先に座らせ大人の男性らしい対応で迎え入れてくれた。
『あのー猫のお話聞かせてもらえますか?』
「はい。僕はスコティッシュフォールドって種類の猫を2匹飼っています。
両親が猫が好きで今、マンションに住んでるんですけど、一人が寂しくて飼ってます。瑠璃さん?どんな種類の猫を飼ってるんですか?」
瑠璃の気持ちは有頂天となり、自分の猫についての経緯を彼に話し始めた。
彼はとても聞き上手で会話の中心を女性になるように進行してくれていた。
ここ数回の婚活パーティーがこの日が何よりも楽しかった。得意分野は誰においても強い。自分の有利な場で戦うのは定石である。
三回目のフリータイムは瑠璃にとっては楽しく、最終希望投票も16番の彼1人に投票を入れた。
この日は6組のマッチングしたとの司会者のお話である。
「そして、最後の発表です!男性番号16番・・・女性番号・・・」
瑠璃は慶太が待つ公園へと向かった。既に慶太はブランコに座っていてネコに戯れながらハンバーガーを食べていた。
【お疲れ様!はい!これ瑠璃の分!】
慶太は瑠璃の分をセットで購入し手渡してくれた。
『ありがとう!あっ!私一番これ好きなんだよ!』
瑠璃は慶太が購入したハンバーガーに肉が2枚チーズも2枚入っている物を分かっていたかのように購入していた。
【チキンナゲットも食べる?半分ぐらいネコにあげちゃったけどね】
『うん!美味しいよね!』
【そんで、またダメだったんでしょ?】
『まだ何も言ってないでしょ?ダメだったけど・・・』
【確かに化粧はするようになったけど、それじゃー全然ファンデーションにばらつきあるし。アイメイクもムラだらけ!化粧に慣れていませんって外見に現れてるよ。それじゃー男も選べないよ】
慶太は自分のスマホを鏡モードにし、ハンバーガーを食べる姿を映した。