婚活11日目

都心から少し離れた地域にそびえ立つ摩天楼この30階でオープン形式の
婚活パーティーが19時から始まる。
瑠璃は30分前に最寄り駅に到着。行き場所もなく建物の前をグルグルと徘徊し、10分前に大きな屋外型展望エレベーターに足を踏み入れると、吸い込まれるように30階へと向かっていく。

エレベーターの乗客は全て参加者と思われるような格好をした人たちのみであった。瑠璃の中で既に緊張は高まった。

受付で名前を伝え・ボールペン・プロフィールカード・番号札『25』を渡され男性・女性に別れプロフィールカードを書き始めた。

開催によって、プロフィールカードには書く内容が多少違ったりするので戸惑ってしまう部分はある。

『どうしよー好きなテレビ番組?私、見ないんだけどなー』

プロフィールカードには必ず名前・年齢・婚姻歴・喫煙の欄は
必須項目として存在する。喫煙者にとっては最も避けたい箇所である。

瑠璃が参加したのは回転寿司方式の婚活パーティーで女性は基本的に着席男性が隣に移動し、一人1分~2分程度の自己紹介が始まる。

それが終わると次の人が隣に来るこれを参加者の異性全員と繰り返す。
参加者は男性が20人前後で女性はそれに対し、3人足りなかった。

全員の自己紹介が終わると、男性・女性に別れて一直線に並び司会者の一言
「それでは、フリータイムスタートです!」
オープン形式の婚活パーティーの幕が切って落とされた。
男性はもたついた様子で女性へと静かに歩みよってくる。

姿勢を伸ばし立っている女性に男性は声をかけ一人・また一人と静かにエスコートをされドリンクを飲みながら話していく。

途中で気付いたのだが、3人足りないと言うのは余ってしまう人が出てしまう計算であった。更には人気のある女性は二人から声をかけられている人などもいる。

瑠璃の隣の女性はあまりにも売れ残るのが早い女性たちの様子を見てすごく不安な表情を浮かべ唇を噛み締めている。

しかし、彼女は瑠璃より先に男性に声をかけられた。辺りを見渡すと5人ほど女性があまり行き場所を失った。その中の一人に瑠璃の姿はあった。

女性たち同士で特に会話をすることなく、ただ沈黙の時間を過ごしスマホを触り始めた。個室形式では、気付かなかったがこれが婚活パーティーの現実を目の当たりにした。

個室形式では、作り笑いしてくれた男性達も自由に話したい人を選べるパーティーではかなり大きな差を感じた。

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