先日、いわゆる「Dappi」名誉毀損裁判を傍聴するにあたって、事件について様々な調査を行ってきました。その中で的外れの分析があったことも確かでした。
有田芳生参議院議員(当時)のツイート
有田芳生元参議院議員は。参議院議員在職当時に熱心に「【Dappiの素顔】」と題するツイートを発信していました。
この有田芳生元参議院議員のツイートで触れていない点があります。それは、小西洋之参議院議員と杉尾秀哉参議院議員に提訴された株式会社ワンズクエストがウェブサイトを開設しているという点です。
考えてみれば当然のことで、ウェブサイト制作を業務とする会社が自社のウェブサイトを公開するということは、ウェブサイト制作に関してどのような技術をもっているのかとかどのようなセンスを有しているのかを広く世間に知らしめる重要な広報手段であるからです。たとえば、レイシストをしばき隊に所属していたことで著名な清義明さんが代表取締役を務めている株式会社オン・ザ・コーナーもウェブサイト制作を営んでいますが株式会社ワンズクエスト同様にウェブサイトを公開しています。
株式会社ワンズクエストのウェブサイトを閲覧すると、株式会社ワンズクエストにはドッグイベントクラブ事業部、企画制作部、システム開発部の部署を持ち、特にドッグイベント事業部においては先輩社員のメッセージが掲載されており、社員やアルバイトの採用に積極的であることがわかります。UR賃貸住宅の一室を本店所在地とする株式会社オン・ザ・コーナーと比較すると、かなり成功した株式会社オン・ザ・コーナーが株式会社ワンズクエストであると考えてよいでしょう。
ただ、問題は有田芳生元参議院議員がなぜウェブサイト閲覧でわかるような事実について触れることがなかったのかという点です。
有田芳生元参議院議員の国会議員としての活動を調べると、質問主意書の提出数や国会や委員会での発言数などでも有権者として満足することができるものではないことがわかりますが、おそらく立憲民主党の有田芳生元参議院議員に対する評価も同様なものであると思われます。参議院議員通常選挙でどうしても当選させたい候補ではないというのが立憲民主党内での有田芳生さんの評価であったのではないでしょうか。そして、立憲民主党内での自らの立ち位置がわかっていたからこそ、立憲民主党の参議院議員が原告となった民事訴訟の相手方である株式会社ワンズクエストをおどろおどろしく描いて自由民主党に対する批判に結び付ける必要があった、そのため、採用に積極的である面など株式会社ワンズクエストがちゃんとした会社である印象を与えるような情報に触れられたくなかったというのが真相なのではないでしょうか。
りそな銀行の口座開設に関する単純な疑問
有田芳生元参議院議員の一連のツイートで一番疑問に感じるのは、このツイートです。
りそな銀行は、銀行法に従って業務を行っているわけですが、そのりそな銀行衆議院支店が口座開設にあたって国会の通行証を保有していることを前提に口座開設を認めるなどということがあるのでしょうか。口座開設においては、犯罪や不正防止の観点からの検討を加えたうえで、顧客からの必要な情報提示と書類の提出があれば認めるのが当然で、通常提出すべき書類に加えて国会の通行証の提示を求め、通行証を保有していないから銀行口座開設を認めないという業務執行をなしていたならば、顧客の利益に反する行為となって銀行として非常にまずいことになるのではないでしょうか。
そもそも、ある支店に口座を持つということは、その支店で口座を開設する必要などなく、顧客の都合を理由として別の支店で開設した口座をその支店へ移転させればできることです。有田芳生元参議院議員の一連のツイートは、元ジャーナリストらしからぬ裏付けのないもので、かつての雑誌「噂の眞相」の一行記事なみのデマに近いものであるということはないのでしょうか。
小西洋之参議院議員、杉尾秀哉参議院議員の民事訴訟に対する大きな疑問
いわゆる「Dappi」名誉毀損裁判で最も疑問に感じている点は、民事訴訟の相手方です。「Dappi」アカウントの管理者が株式会社ワンズクエストの端末からツイートをなしているということで、株式会社ワンズクエスト、同社の代表取締役を提訴するのはわかります。ただ、同社の取締役として名を連ねている者を提訴するというのはどうなのでしょう。会社法の考え方では、株式会社の取締役はもともと有していた代表権を制限されているのではなく、もともと代表権を有していない存在です。そのような者の担当部門も確認せずに被告とするのは、持ちうる権限が非常に強大で提訴そのものが民間人への威嚇になりかねない国会議員がなす民事訴訟として適切なのでしょうか。