性交同意年齢の引き上げは成熟の問題でもある
刑法改正論議の中で、強制性交罪を不同意性交罪に、性交同意年齢を16歳に引き上げるという改正が国会で審議されています。
この性交同意年齢の引き上げは、未成年者が成年者となっていく過程で成熟をどう考えるかという問題でもあります。つまり、性交同意年齢未満であるということは、相手方が犯罪となることによって、未成年者自身が性的な自己決定権が認められないほど未成熟で保護すべき存在であると看做されているということを意味します。ただ、この未成熟な未成年者が、16歳の誕生日を迎えてからわずか2年で国や地方公共団体の行く末を自分なりにちゃんと判断することができる存在であるとして選挙権が与えられます。性的な自己決定権すら認められないほど社会的に成熟していない15歳の未成年者の16歳の誕生日前日から18歳の誕生日前日までの成熟を随分と過大に評価しているものだと感じるのは私だけでしょうか。
そして、性交同意年齢の引き上げに伴って5歳以上年上の相手が刑罰の対象となるということですが、これは15歳の高校生と20歳の大学生の交際を認めないということでもあるわけです。こう考えれば、この性交同意年齢の引き上げがまともな議論を経て立案されたものではないことを示しているということが明らかです。