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能年玲奈(現 のん)さんの本名を使用させないことを当然と考える芸能界と日本のマスコミの問題点

荒井禎雄さんが指摘する能年玲奈(現 のん)移籍の問題点

 私は荒井禎雄さんのnoteの購読者ですが、ジャニーズ事務所の問題点については師である梨元勝さんの薫陶を受けてきていることもあり、ジャニーズ事務所をはじめとする芸能界の問題点については深い見識をお持ちです。

 芸能プロダクションのゴタゴタと芸名をめぐる問題として最初に私が思いつくのが「加勢大周」という芸名をめぐる問題です。加勢大周さんは所属する芸能プロダクションから別の芸能プロダクションと専属契約を締結したところ、元の芸能プロダクションが「加勢大周」の芸名を用いる芸能活動を禁じようとし、この争いが裁判所に持ち込まれました。

 第一審の東京地方裁判所の判決では元の芸能プロダクションの請求を認め、「加勢大周」であった男性はその芸名を用いることが認められませんでした。この際、元の芸能プロダクションは別の新人に「加勢大周」を名乗らせ、「新・加勢大周」という珍妙な表現が流行っていたのを思い出します。しかしながら、控訴審の東京高等裁判所は専属契約が更新拒絶の意思表示によって終了しているものと認め、晴れて「加勢大周」を名乗っていた男性はその芸名を名乗ることができるようになり、「新・加勢大周」は「坂本一生」を名乗ることになりました。

能年玲奈(現 のん)さんの場合

 能年玲奈(現 のん)さんは、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」でブレイクした後、事務所の移籍に伴うトラブルが週刊誌などに報じられるようになりました。この中で報じられたのは、本名である「能年玲奈」という芸名を用いることが専属契約の中で制限されていることでした。芸能プロダクションの側としては、「能年玲奈」を売り出すために投資をしているのだから、その使用を制限させるのは当然であるという意識で専属契約を締結しているのでしょうし、その考えは理解できなくもありません。しかしながら、「能年玲奈」は本名です。本名で芸能活動をすることは、芸名と自身のプライベートがリンクしやすいというリスクをタレント自身のみが負うことになるということでもあります。そのようなリスクを所属タレントに負わせたうえ、高々数年間「能年玲奈」という芸名のタレントに投資した程度で、親からの最初のプレゼントである本名を名乗ることを制限することができると考えている芸能界の意識そのものがおかしいのです。そして、それがおかしいとも思うこともなく、あるいは思っていても忖度して何ら批判しようとしないマスコミに報道に携わるものの矜持などは微塵も見ることはできません。