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京都朝鮮第一初級学校の主張する35年前の三者協議による公園使用許可の脱法性~在日特権を許さない会メンバーらによる京都朝鮮第一初級学校威力業務妨害事件を考える 2~

中村一成著「ルポ京都朝鮮学校襲撃事件」の驚くべき表現とその誤り

 京都朝鮮第一初級学校威力業務妨害事件というヘイトクライムによって、在日特権を許さない市民の会、主権回復を目指す会、チーム関西のメンバーらが民事、刑事で制裁を受けることになったのはご存じのとおりです。ただ、京都朝鮮第一初級学校がヘイトクライムの被害者であるがゆえに見逃されてきたものもあることは確かです。
 京都朝鮮第一初級学校威力業務妨害事件を取材してきた作家の中村一成さんは「ルポ京都朝鮮学校襲撃事件」において次のように述べています。

 同胞の拠り所として、集住地域に開校した第一初級学校だが、それゆえの問題があった。運動場がなかった。陶化小時代からの懸案は解決されていなかった。道路の向こうには当時、誰が管理しているかも分からない空き地同然の公園があり、学校はそこをグラウンド代わりに使い始めた。

中村一成「ルポ京都朝鮮学校襲撃事件」

 中村一成さんが京都朝鮮第一初級学校を擁護する立場で記事を書いていることは明らかですが、その気持ちが先走るあまり筆が大きく滑ったと思われる表現であるとの感が否めません。勧進橋児童遊園の規模なら都道府県が管理する公園ではないことがわかりますから、京都市か、団地建設によって建設された公園であることは明らかです。そして、京都朝鮮第一初級学校の近隣に公園を設置しなければならないほどの大規模開発の団地はありませんから、京都市であることは容易に想像することができます。ただ、この中村一成さんの記述を丹念に読むと、京都朝鮮第一初級学校が、他人の所有物である公園を何の許可も得ずに勝手に使用し始めたということが、勧進橋児童遊園を校庭代わりとしたきっかけであることがよくわかります。そして、その無許可使用を誤魔化すために中村一成さんが「誰が管理しているかわからない」とか、「空き地同然の公園」などという表現を用いたのでしょう。

占用によって可能な公園の独占的な利用

 京都朝鮮第一初級学校のような校庭として公園を独占的に使用するためには、占用の許可を得る必要があります。これは、在日特権を許さない市民の会がデモの出発地点としてしばしば利用していた東京都新宿区の大久保公園で開催される「大つけ麺博」のように目的と期間を明らかにして公園管理者に占用の許可を申請して、許可がなされることによって可能となります。したがって、中村一成さんが述べている京都市と地元町内会と京都朝鮮学園の三者協議などというもので35年も公園を校庭として利用する許可がなされるはずがなく、中村一成さんがその協議の証拠として主張するメモなどは紙切れにすぎません。ましてや、不法占拠している催しに京都市が来賓として参加したから正当な利用権があるなどとする主張は言葉は悪いですがヤクザの因縁に近いものを感じます。

 しかも、特筆すべきは、京都朝鮮第一初級学校が自前の校庭を有していないことが遠因となって、在日特権を許さない市民の会、主権回復を目指す会、チーム関西などがヘイトクライムをなすことになったにもかかわらず、京都朝鮮第一初級学校威力業務妨害事件の民事訴訟の準備書面において、勧進橋児童遊園よりも学校から遠く交通量の多い道路を横断しなければならない公園を校庭として利用する予定であると記載していたことは、京都朝鮮第一初級学校に通う児童のことを考えていないという批判を甘受しなければならないと思います。