一般社団法人Colaboはなぜいわゆる「法律しばき」を過激化させたのか 2 ~東京都監査事務局への取材から~
「第199条第4項」の答え合わせ
かつて、私は次のようなnoteを公開していました。
このnoteを公開した後、何人かの方がどの法令の第199条第4項であるかの考察をしており、推理を楽しんでくださっているなら非常に執筆者冥利に尽きます。地方自治法第199条第4項に基づく東京都の定例監査が完了して令和5年9月11日に監査委員から東京都知事に報告がなされ、その報告の中で福祉局に若年被害女性等支援事業に基づく委託契約に関する指摘事項がなかったことが一般社団法人Colaboのいわゆる「法律しばき」を過激化させたのではないかというのが私の仮説です。
東京都への取材の経緯
私は次のように東京都に取材を行いました。東京都ウェブサイトで若年被害女性等支援事業の担当部署を調べ、東京都福祉局少子社会対策部育成支援課が若年被害女性等支援事業の担当部署であることを確認しました。
ただ、東京都では令和5年4月に組織改編が行われており、令和4年度の担当部署が育成支援課ではない可能性があるため、育成支援課の担当者に聴き取りを行い、令和4年度、令和5年度のいずれにおいても若年被害女性等支援事業を育成支援課が担当していることを確認しました。このような面倒な取材を行う理由は、令和4年度の事業を対象に行っている東京都監査事務局の定例監査の対象部署の確認のためです。
そして、東京都監査事務局に取材を行いました。私が確認したいことは令和5年9月11日に報告が行われた定例監査の対象として若年被害女性等支援事業に基づく委託契約が対象となっているかどうかです。監査事務局に定例監査の対象部署を確認すると、福祉局少子社会対象部全体が監査の対象となっているため、育成支援課も監査の対象となっているとの回答でした。なおも首を傾げる私に対して監査事務局の職員はこう尋ねました。
「何か確認したいことがありますか。」
「ええ、若年被害女性等支援事業に伴う委託契約が令和4年度事業対象の定例監査で監査の対象となったのかどうかを確認したいのです。」
この私の回答に監査事務局の空気が急に凍りついたような印象を受けましたが、取材を行ったのが昼休みで担当職員が不在とのことで翌日に改めて確認してほしいとのことでした。
翌日、担当者との会話で私はこう聞きました。
「東京都は様々な部署があり、その部署においても様々な事業や契約を行っていると思います。したがって、定例監査でその全てを監査の対象とすることは不可能であると思います。したがって、定例監査では監査の対象となる部署を抽出するとともに、監査対象となる部署に直接訪れて監査を行う事務局の職員の方も監査事務局の一定の監査方針に基づいて事業や契約を抽出しているのではないかと思います。例えば、委託契約を最低何件監査の対象とせよ、現金や金券類の取扱いがあればその出納の状況を監査の対象とせよという具合です。東京都の定例監査もそのようなやり方で行なっているのですよね。」
「おっしゃるとおりです。」
「その中で育成支援課の定例監査の対象として若年被害女性等支援事業に基づく委託契約が対象となっていたかどうかを確認したいのです。」
「個別の事業が監査の対象となったかどうかについてはお答えできません。」
以上の取材から、若年被害女性等支援事業を所管する育成支援課が定例監査の対象となりましたが、その監査の対象に若年被害女性等支援事業に基づく委託契約がなったかどうかについては情報公開していないということがわかりました。また、定例監査の結果報告書から、若年被害女性等支援事業に基づく委託契約に関する指摘事項がないこともわかります。
一般社団法人Colaboは、おそらく私ほど定例監査について調べていないと思われますので、定例監査の報告書に若年被害女性等支援事業に基づく委託契約に関する指摘事項がないことを確認して、定例監査でも適正だと認められたと受け取り、いわゆる「法律しばき」を過激化させたのではないかというのが私の見立てです。