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集団自決の犠牲者を心底馬鹿にしている安田浩一さん

安田浩一さんの人間に対する洞察力皆無の集団自決に関する記事

 成田祐輔さんという変なメガネをかけた学者風の方がいらっしゃいますが、その方のYouTubeでの過去の発言が炎上しています。

経済学者の成田悠輔氏が約1年前に実業家の堀江貴文氏のユーチューブチャンネルに出演した際、「高齢者は老害する前に集団自決」などと発言。この発言が今、改めてネット上で炎上している。

「高齢者は老害する前に集団自決」成田悠輔氏の過去発言が炎上!露出が増えて注目?

 この炎上騒動に便乗したのが作家の安田浩一さんです。

「集団自決」がネット上で議論を呼んでいます。そこで、昨年7月に書いた記事を再掲しました。【無料公開】です。──17年前の夏を振り返る~「強制集団死」を生き延びた金城重明さんのこと - 「ノンフィクションの筆圧」安田浩一ウェブマガジン

@yasudakoichi

 ただ、この安田浩一さんの記事についても、集団自決の犠牲者である沖縄県民を誹謗中傷するも同然の内容となっています。

 有色人種には人権がないとでも言わんばかりに日本軍兵士の捕虜をほぼ皆殺しにし、その遺品を奪い去り、遺骨すら土産や記念品として持ち帰る米軍兵士の残虐さは、「鬼畜米英」というフレーズが戦意高揚のためのスローガン以上の意味があったことを彷彿とさせます。そして、それ等の事実は最前線となってしまった沖縄県民に広く伝わり、自国を守ってくれる日本軍のいなかった当時の沖縄県の離島島民にとっては、米軍の上陸はまさに現実の恐怖であったといえます。そして、それが島民の集団自決につながったのだと私は思います。

「集団自決」を「強制集団死」と述べる洞察力のない人々

 何度も申し上げますが、当時の日本人は現在とは比べ物にならないほど家族の絆が濃密でした。その中でも沖縄県民は、大正デモクラシーなどで封建的な家族観から徐々に解放されつつあった本土、特に都市部の日本人と比較してもその格差は顕著であるほど家族の絆が濃密でした。安田浩一さんが沖縄戦の取材においてそれを痛いほど感じていないはずがありませんし、それほど固い絆に結ばれた沖縄県民が、「命令に従わなければ殺す」などと軍に銃口を突きつけられて脅迫されたわけでないばかりでなく、軍自身が集団自決の時点で鬼畜米英の米の方(あえてそう述べさせていただきます。)への対処にかかりきりで沖縄県民、それも沖縄本島でない離島の住民が避難している箇所に兵を派遣することすらできなかった状況のもとでどういうどういう軍による強制があったと言うのでしょうか。そもそも、鬼畜米英の米の方の捕虜となれば生命や人間としての尊厳が守られるという神話は、戦時中の一次史料を丹念に読めば崩壊していることがわかるはずですし、鬼畜米英の米の方は、日本軍をはるかに上回る捕虜虐殺や民間人の殺害を目的とした攻撃をなす鬼畜であることもわかるはずです。それは鬼畜米英の米の方による民間人殺害を目的とした日本の都市無差別爆撃と広島、長崎に対する原爆投下でも明らかです。
 取材により、それらの事実がわかっていたはずの安田浩一さんの記事がこのように無惨な状態となってしまったのはなぜでしょうか。私は、安田浩一さんの記事を読む者の期待通りに記事を書かなければならないという周囲の期待という圧力に負けた結果ではないかと考えています。その結果として、戦時中の沖縄県民は陸軍の兵士に対してのみ発せられた戦陣訓やあったかどうかもわからない軍の命令に対し、その場に軍がいないにもかかわらず、米軍に助けを求めれば生命と人間の尊厳が守られるのに、感情を持たないロボットのように戦陣訓や軍の命令に従って愛する家族を殺害し、自らも死を選んだという存在であると決めつけているわけです。これが戦時下の沖縄県民への誹謗中傷でなければ一体何なのでしょうか。