見出し画像

週刊文春側は本当に有利に裁判を進めていたのか ~松本人志「性加害」名誉毀損裁判雑感 2~

被告らによる性被害を訴えた者の人証請求が不可能となることについて

 被告らがA子とB子の人証を請求することが不可能となることについてはもう少し説明が必要でしょう。被告らはA子とB子について原告に対してすら氏名を伝えることを拒んでいるのですから、仮にA子とB子の人証を請求することになれば、提供すべき情報を適切な時期に原告に提供しなかったということになりますから、裁判所がこの請求に首を傾げることとなるでしょう。ひょっとしたら裁判所が被告らに対して厳しい質問をなして説明を求めるかも知れません。その模様は「性加害」を追及する「正義のメディア」を装う被告らにとっては明らかにしたくないものでしょう。

人証として想定される人物と書証の評価

 そう考えると被告らが人証として請求する人物として考えられるのは週刊文春記者のもとにA子とともに訪れた弁護士や当事者である週刊文春記者ということになるでしょうが、いずれにしてもA子やB子がこう言っていたという証言に留まり、証拠能力が著しく劣ることになります。そこで書証として提出された証拠の証拠能力がこの民事訴訟の行方を大きく左右することになりますが、実はこの書証の証拠能力がおぼつかないのです。
 書証の一つは弁護士に連れられて週刊文春記者のもとに来たA子との聴き取り記録となりますが、A子と弁護士の話した内容の音声記録が提出されていませんので、週刊文春記者とA子及び弁護士との間で本当にそのようなやり取りがあったのかという反論に対する対応が非常に難しくなることが想定されます。
 書証のもう一つはB子との聴き取り記録ですが、こちらは弁護士とA子の聴き取り記録よりおぼつかないもので、週刊文春記者が聴き取り内容をまとめた箇条書きの要約に留まっています。
 A子、B子の証言が最も有力な証拠となることは言うまでもありませんが、次に有力な証拠となるのはA子、B子の聴き取り内容の音声記録、その次に有力な証拠となるのが聴き取った時点での記者の手書きの取材メモでしょう。しかしながら、被告らが提出した書証は記者がワープロ等で入力したものに留まり、いくらでも改変し放題というものです。とある好事家に言わせれば、黒田大輔日本を護る市民の会代表の提出した書証である、スカイプの内容を改変し放題でワープロに入力しただけの「スカイプログ」とまったく変わらないではないかという評価を得ることができるでしょう。
 メディアの報道で、週刊文春側が有利であるかのようなものがしばしば見られましたが、おそらく何も取材せずに書き殴っているのでしょう。