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皇位継承に関する私見 1 ~「天皇の退位等に関する皇室典範特例法に対する附帯決議」に関する有識者会議報告書について

職務放棄した有識者会議


 上皇陛下の譲位に伴う特例法の付帯決議で求められていた安定的な皇位継承に関する検討は、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議に付され、その有識者会議が安定的な皇位継承に関する議論を封印して皇族数の確保を熱心に議論するという職務放棄そのものの意見書を提出するという結果に終わりました。

 有識者会議は、皇嗣殿下、悠仁親王殿下という流れをゆるがせにしてはならないなどとおっしゃっているようですが、皇嗣とは単に皇位継承順位一位の方という意味で、皇太子や皇太孫などと異なって必ず次に天皇になられる方という意味ではないのです。
 上皇陛下は天皇在位時に皇室のあり方については皇太子と秋篠宮に話を聞いてほしいとおっしゃっており、秋篠宮殿下(当時)は、皇族数が少ないということは経済的な面からよいことだと思いますとおっしゃっていました。つまり、安易に国民を皇位を継承し得る皇族にすることについて、上皇陛下、天皇陛下、皇嗣殿下の間で好ましくないという認識が共有されていたことがうかがえます。そして、秋篠宮殿下が皇嗣となられることを異議なく受け入れたことで、上皇陛下、天皇陛下、皇嗣殿下の認識がどのようなものかを更に忖度することができるのではないでしょうか。

憲法違反の疑いがあるいわゆる「旧皇族の皇族復帰」案

 いわゆる「旧皇族の皇族復帰」案には、憲法で禁止された門地による差別にあたるという問題があります。その問題点は二つの方向から考えられます。
 一つは、内廷費や皇族費を受給する特別な存在である皇族であり、皇位を継承する候補者となる人物を、国民の中から旧11宮家の男系男子に限定することが問題であるということです。男性皇族の配偶者として皇族になられた女性は、あくまでも婚姻により皇族という家庭に入られたわけですから問題はないわけですが、法令などにより特定の国民をそのような特別扱いをすることは門地による差別にあたります。
 二つ目の問題点は、皇族、それも皇位継承候補者である皇族は、世間の様々な厳しい目に晒される存在であるとともに、旧11宮家の末裔の男系男子が皇族になるという意思がなかったとしても、「皇統を断絶させるのか」という厳しい批判が予測されるからです。
 眞子内親王は、小室圭さんと婚姻されて小室眞子さんとなって皇室を離れられましたが、皇族と婚姻されただけの小室圭さんに対するバッシングは筆舌に尽くし難いものでした。皇位継承候補者となる皇族に国民がなってしまうということになれば、そのバッシングはそれ以上となるかもしれません。マスコミがそのようなバッシングを行う理由は、民事訴訟のリスクがないからということも一因だと思います。皇族に対する名誉毀損などについては、内閣が代わって対応することになりますが、皇族から訴えられたということになると世間に与える影響が大きすぎるため、内閣が皇族の名誉回復のために民事訴訟を行った例はなく、マスコミもまた訴えられるとは考えていないでしょう。旧11宮家の末裔の男系男子に対し、断ってもバッシング、受諾してもバッシングという地獄のような状況に追い込み、それで継続される皇位や天皇に国民が敬愛の情を抱くことができるでしょうか。