栗原俊雄さん執筆の毎日新聞記事の出鱈目さ
「補償」の意味をわからずに政府を批判する愚
栗原俊雄さんが毎日新聞に先の対戦に関する報道や政府の姿勢について記事を書いています。ただ、その内容が「少しは調べたのか」というレベルで眩暈がしています。
最も大きな誤りが、「補償」という言葉に関する理解です。「補償」とは、国や地方公共団体などの正当な業務によって損害を受ける者に対する金銭などによる損害の補填で、違法や不当な行為によって損害を受けた者に対する金銭などによる損害の補填である賠償とは意味が異なります。
戦争は軍服を着た兵士の殺し合いによって国際紛争を解決しようとするもので、侵略戦争でない限り国際法上違法ではありません。しかしながら、原爆投下は最初から兵士だけでなく民間人の殺害を目的とするものですから、その責任を米国に課すとしても、政府に課すとしても、その被害を「補償」することなどあり得ません。「補償」という言葉にこだわる栗原俊雄さんは、ひょっとして原爆投下が国際法で認められた正当な行為であるとでも考えているのでしょうか。
なお、栗原俊雄さんが嫌う「慰謝」という言葉ですが、これは原爆投下によって死亡したり怪我をしたりしたという目に見える損害を補填するのが「賠償」で、精神的な苦痛に対して金銭などを支払うことを「慰謝」と言います。したがって、「補償」よりはよほどまともな表現であると考えるべきであると思います。記事を書いた栗原俊雄さんも何もわかっていませんが、この記事を校正したはずの毎日新聞の校正担当はまったく機能していなかったと言ってよいでしょう。